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もしも金融業がなかったら

友人が「もしも電気がなかったら」を書いていて、電気ないとどうなるかなぁと想像して楽しかったことと、ちょうど一冊、わりとセンセーショナルな本を読み終わって、とても疲れたので、「もしも金融業がなかったら」の思考実験をしてみようかな、と思ったので、書いてみます。

そもそも金融とは。

「金融」って何?
お金の余っている人が、お金の不足している人に、利息を支払うことを条件にお金を融通することがあります。銀行をはじめとした金融機関がこのお金の橋渡しをすること、つまり、資金の融通をすることを、略して「金融」といいます。

(一般社団法人 全国銀行協会)

なるほど。金融の「融」は、「融通すること」からきているのか。

読んだ本は、「Goldman Sachsに洗脳された私」。事実を元にはしているが、時系列や登場人物を変えるなどしてるのでフィクションです、というものだ。関係者が読めば自分のことだと当然わかるが、「違う、本当は…」と否定するためには実際はどうだったのかを言わなければならず、それはとても表に出せない、という感じなのだろう。

暴露してるのはあらゆる差別と違法か違法スレスレの取引の数々。こんなことが、1998年から2016年に行われていたなんて酷いと思うと同時に、エピソードの、とりわけセンセーショナルな部分をマイルドに丸めれば、それは日本でも起きていたことだろうし、今も表に出てこない形で続いていることだという気がする。

ない方がいいに決まってるが、権力側の人たち(この本における高学歴で血筋が良く高収入を得ている一流企業の白人男性)の悪行悪癖を兇弾するだけでは問題は解決しなくて、なぜこの人たちがそんな行動をするのかを考えて根本を変えなければ、いくらでも再生産されてしまうと思う。

…というようなことを考えていて、ジェイミーの言葉が蘇ってきた。

私がやりたかったことは、金持ちをもっと金持ちにするような仕事じゃない。

(Goldman Sachsに洗脳された私)

幼い頃、脊髄の病気で手術や療養を余儀なくされ、不自由さを乗り越えてきたジェイミーは、本当は、自分のように困っている人を助けるソーシャルワーカーの仕事がしたかった。
けれども裕福ではない中、ジェイミーの療養と教育に必死で「投資」してきた両親は、より大きな稼ぎにつながるGoldman Sachsへの就職を望んだ。

ジェイミーは、「お金を稼ぐ」ことを目的にこの仕事に就き、その目標は達成され、年収100万ドル(1億越えだ)を稼ぎ出す稀有な存在となった。そして、この組織の内側で行われていた差別と違法行為に苦しみながら、自分自身もその再生産に加担する立場の中で壊れそうになり、ギリギリのところで抜け出したのだ。

ここで引用したフレーズに戻る。

「金持ちをもっと金持ちにする仕事」

そのために酷い思いをしながら全てを犠牲にして働き、大金を稼ぐ。
出世し、さらに金持ちを金持ちにするための大きな仕事を任され、また、大金を稼ぐ。

こうして書いてるだけで、息苦しくなってくる。何のために?金のために。金のために金を投資し、その見返りはお金。そんなん、しんどいに決まってるやん。

もしも金融業がなかったら

表題に戻って書いてみる。

お金は存在するけれど、お金を融通することはできない世界。銀行とか証券会社とか、利子とかお金の貸し借りができない世界ってことか。

持っているキャッシュでしか買えない。お金が余ってるからといって、それだけではお金は増えない。

何かを仕入れ、仕入れ値より高値で売れば差額は儲かるのは? あ、これは先物取引になるからダメか。

そうか、自分が消費する目的以外でものを買うことをオッケーにしてしまうと、売るために買うことになるから金融になってしまうのか。

難しい。
結局、お金が発明された時点でもうこうなることは必然なのか。

自分の生活レベルで考えてみよう


できないのは、貯金と借金。カード決済、キャッシュレス。ネットショッピング…は、前払いか、代引きならいいことにしよかな。

毎日の生活費は、現金支払いで生活してた頃のことを思い出せばイメージできる。何か買いたいものがあっても、お財布の中身を見て、あーお金ないから我慢しよ、という感じ。飲みに誘われても、今月厳しいからごめーんと断るみたいな。

パソコンとか、エアコンとかテレビとか、10万超えるようなものは、今はカード決済してるけど、それも、現金下ろすのが面倒だったり、クレジット決済したら楽天ポイントが貯まるから、という理由。もちろん一括払い。なので現金決済でも問題ない。

難しいのは高額なものか。

教育費みたいなものも高額だけど、金融がなくなれば納め方も変わって毎月払いとかになるだろうから、ここもクリア。

車とか、家とか。

この辺りが無理そう。車は頑張れるかー、なんとか。現金一括。家はどうしよう。買うか?買えるか?ウン千万の一括払い。痺れるわー。

そうか、車は、なくても生活できるから、その間にお金貯められるけど(銀行ないのでタンス預金やけど)、家は、ないと生活できないし、借りてる間はお金払わないとならないから貯められない。つまり一代では買えんな!

家を買う、所有する、ということが始まったあたりから、金融ってのはでてきたのかも。

家はいったん諦めよう。
買いたかったら、安い賃貸で節約してお金を貯めて、次の世代でやっと買える、ぐらいだと思うので、子ども世代は買う、という選択肢を持てるように節約する、と。

そんなに困らない気がする

網羅できてる自信はないけど、家以外はなんとかなる気がする。
儲かった!みたいなテンション上がる出来事は起きないけど、損することもないし、何より、ジェイミーのように「お金のために働く」ことはできなくなる。たくさんのお金を持つことが、幸せだとか成功だとか、そういう価値観は薄まっていくかもしれない。

時々ひょいと顔を出す私の中の悲観主義者が、「それならそれで、他の方法を考えるさ」と言ってるけど、とりあえず今日はこれでおしまい。

もしもシリーズ、なかなか面白いな。


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