段取り八分、仕事二分

ハム戦1勝1敗、ホークス戦1勝2敗となった週でした。
私個人の感想としては、やきもきさせられて苦しかったです。
特にホークス戦が。
木曜日のホークス×マリーンズ戦を見て予感はありました。マリーンズ先発の美馬が、ボコボコにされていましたので。
イーグルスファンの皆様はよくご存知のとおり、美馬は回を進めながら調子をあげて行くタイプです。が、きっかけを全くつかめず、ことごとく叩かれていました。インコースを突いても踏み込んでくる、かわすピッチングをしても腕を伸ばして付いてくるという状況。
ホークスは監督が交代して体制がかわり、新たに強力な顔ぶれも加わり、チーム全体が野球をする喜びに満ち溢れているように見えます。小久保監督も新監督ですから、シーズンが進むうち浮沈もあるでしょうが、今の時期はちょっと手がつけられないなと思いました。
よくて1勝2敗、ともすればスイープになるかもしれない……などと覚悟を決めて臨んだ週末でした。

第一戦。
早川が打ちこまれてしまいました。
開幕戦で降板後の早川が、声がけに行った今江監督を視界にすら入れようともしなかったのは記憶にあたらしいところです。
彼の責任感と集中力がさせたことだったのでしょう。今の若い人にはめずらしい、昭和の俳優のような剝きだしの闘志にゾクゾクした人も多かったはずです。
今回は自信球を弾きかえされてしまいましたので、降板後に今江監督がとなりに腰掛け、懇々と語りかけているようすが伺えました。
その後テレビに映し出された早川の表情は、おどろくほど穏やかなものに変わっていましたから、なにか得心したことがあったのでしょう。次回のピッチングに注目ですね。

第二戦。
荘司が見事でしたね。
開幕シリーズでは気負いもあったのか、フォームのタイミングがズレたりして、彼本来のピッチングではありませんでした。
ところが今回はしっかりと修正し、七回1安打自責1の好投。
前述のとおり、今のホークス打線は乗りにのってます。それを真っ向勝負で受けて立ち、この成績。
現在地を知る試金石として、満額の回答だったのではないでしょうか。
今シーズンに向けて準備をしてきた彼にとって、手応えになったはずです。
次回が楽しみですね。

そして第三戦、藤井。
彼は前述二人ほどの速球を持ち合わせていません。
ところが堂々と逃げることなく、要所を抑えるピッチング。
あらためて先発とは何かと問えば、それは試合を組み立てること。チームの士気と体力を削ぐことなく回を中盤まで運び、セットアッパーに渡すことだと思います。
五回2失点。
藤井はしっかりと先発の仕事を果たしました。
つづいてマウンドに立った藤平もみごとでしたね。
150キロ台のストレートを連発して柳田、山川、近藤を封じました。
藤平が活躍するカギはストレートだと思っていましたが、あとはシーズンを通じてどれだけコンディション管理をできるか。課題のステップは次へと移っていきます。
試合は六回表の藤平のピッチングが流れを呼び、下位打線で同点に。
そして酒居、宋、則本がつなぎ、九回裏のサヨナラへ――

三戦をつうじ、チームとして目下の課題は、いわずもがな打線の起動。
選手個々の肉体的な仕上がりに着目すれば、よい準備をしてきたはずですが、やはりペナントレースとなると勝手が違って当然なのでしょう。

ですが解決策と模範を、ベテランの大地が示してくれました。
ヒーローインタビューの大地曰く「もう狙いとかそういうものはない。とにかく打ちたいという気持ちだった」との金言。
今江監督は「チームにとっても大きな1勝になった」とコメントしていますが、まさしくそのとおりで、なぜ大地が長年第一線で必要とされ、結果を出して来られたのか。若い選手たちが学ぶべき答えが詰まった場面、記憶にきざむべき打席であったと思います。

さて現在、順位としては5位。
とはいっても、まだ8試合が終了して残り135試合もあります。

昔から段取り八分、仕事二分とも言います。
不毛地帯のモデルとなった伊藤忠元会長の瀬島龍三氏は、「準備が全てだと僕は思っているんで、準備の段階で試合は始まっている」と語ったのだとか。
シーズンの準備はとうに出来ています。
試合がはじまってから迷えば遅れをとります。
個々の試合について磐石な準備をあと135回繰り返し、積み重ね、打席ではフルスイングをしてほしいところです。

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