見出し画像

水天宮(全国総本宮)で感じた不思議なご縁【散策エッセイ】

自称“スーパーカン”(超還暦)のゆーしんけんです。よろしくお願いします。

   「クスリ」と笑い、「ウルッ」としたり、「うーん」と唸る 
          【原点回帰】自分が書きたいこと

ゆーしんけんのキャッチコピーを考えました


とうとうと流れる筑後川


水天宮本殿を詣でる人々

4月27日、家族で久留米市瀬下町にある全国総本宮 水天宮に参拝しました。

GW前半とあって駐車場にも順番待ちの車が並ぶほど賑わっていました。

水天宮は農業、漁業、航海業者の間に信仰が篤く、さらに子どもの守護神、安産、子授の神として知られます。

多くの参拝客は、本殿でお賽銭を入れて手を合わせたり御祈願してもらうと、社務所でお守りを授かって帰るのではないでしょうか。

かつては私もそうでした。しかし20年ほど前にふとしたことから水天宮を訪れて以来、参拝する神社が増えたのです。


眞木神社

司馬遼太郎さんの代表作『竜馬がゆく』に「久留米の神官、眞木和泉」として登場する人物が気になって、水天宮を散策したのが銅像との出会いでした。

眞木和泉守保臣先生の銅像

幕末に尊皇派の志士として活躍した久留米藩士で水天宮第22代宮司の眞木和泉守保臣。久留米藩改革の際に謹慎となり、やがて脱藩して長州藩を頼ります。

眞木和泉は尊皇派が主流の長州で信頼を得て、吉田松陰の松下村塾で秀才と呼ばれた志士・久坂玄瑞と意気投合します。しかし二人とも禁門の変で生涯を閉じるのでした。

私がnoteに歴史小説『神官と秀才、幕末の京に散る ~真木和泉、久坂玄瑞の絆~』を投稿したのは2022年1月のこと。

水天宮境内にある眞木神社
眞木和泉の銅像と山梔窩(くちなしのや)のレプリカ

それを機に、久しぶりに水天宮を詣でて「眞木和泉守保臣先生の銅像」と「眞木神社」にも参拝したのです。


千代松神社

私はその後、2023年6月に歴史ファンタジー『くちなしや奇譚~小棹と洗蔵~』を投稿しました。


眞木和泉は謹慎を命じられて蟄居生活を送った藁葺きの家を「山梔窩」(さんしか)と名づけ「くちなしや」とも呼びました。

『くちなしや奇譚~小棹と洗蔵~』は眞木和泉の娘・小棹(おさお)と、薩長同盟のきっかけを作ったといわれる福岡藩士・月形洗蔵を主人公とした物語です。

その中で月形洗蔵が宗像三女神(むなかたさんじょしん)に遭遇するくだりを書くため、文献を調べていたら水天宮と按察使局伊勢(あぜちのつぼねいせ)のつながりを知りました。


平安時代末期に平家と源氏が長門国赤間関壇ノ浦(現・山口県下関市)で対決した「壇ノ浦の戦い」をご存じですか。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年)でも描かれました。

平宗盛ら平家軍は、源義経が率いる源氏軍に追い詰められます。覚悟を決めた平家軍は、宗盛の母である平時子(二位尼)と女官がまだ幼ない安徳天皇を抱いて入水するのでした。

その女官が按察使局伊勢です。『吾妻鏡』には伊勢が安徳天皇を抱いて入水したと記されています。一説では伊勢は生き延びて宗像に流れ着き、やがて筑後まで移動して筑後川のほとりに社を建て、自ら剃髪して千代と名乗り平家一門の菩提を弔ったと伝えられます。その社は尼御前神社と呼ばれ水天宮の起源とされます。


千代松神社

水天宮の境内にある千代松神社では「水天宮の創始者、按察使局伊勢命(あぜちのつぼねいせのみこと)」として祀られています。

千代松神社の説明書


秋葉神社

私はこのたび妻と2人の娘とともに水天宮を参拝した際、「眞木神社」と「千代松神社」について説明しました。思いのほか興味を示して「歴史的な価値があるんだね」と感心していましたよ。

お賽銭を入れて手を合わせたところ、千代松神社の近くに建つ「秋葉神社」が目にとまりました。

千代松神社の隣にある秋葉神社


「御祭神 阿遅鉏高日子根神(あじすきたかひこねのかみ) 大国主神の御子で御母は多紀理毘売命」と説明されているではありませんか。

大国主神(おおくにぬしのかみ)といえば、『古事記』や『日本書紀』などで須佐之男命(すさのおのみこと)の子孫と記されており、「国づくり」の神として知られます。

多紀理毘売命(たぎりひめ)は「田心姫(たごりひめ)」とも呼ばれます。宗像三女神の一柱であり、宗像大社のうち沖ノ島にある沖津宮に「田心姫神」として祀られています。

私は小説『くちなしや奇譚~小棹と洗蔵~』で宗像三女神にご登場いただいたのですが、「田心姫神」から生まれた阿遅鉏高日子根神と水天宮のつながりを全く知りませんでした。

水天宮で「眞木和泉」と出会い、「按察使局伊勢命」を祀る千代松神社を知り、そして今回は「阿遅鉏高日子根神」を祀る秋葉神社を知ったのです。水天宮を巡る不思議なご縁を感じました。


全国総本宮 水天宮には、ほかにも本殿の裏に「水神社」があります。こちらの社は、水徳の神様である彌都波能売神(みつはのめのかみ)と安産の神様である鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)が祀られています。

また筑後川の別名「千歳川」から名前をとって名づけられたという「軍艦千歳」の慰霊碑や高浜虚子が筑後川を眺めて詠んだ「汝も この神の氏子や 小春凪」が刻まれた句碑などもあり、見どころ満載です。

軍艦千歳の慰霊碑


眞木神社の御朱印(水天宮社務所にて対応)
水天宮に奉納された御神酒の薦樽(こもだる)


全国総本宮 水天宮の散策エッセイを最後までお読みいただきありがとうございました。もし寺社を巡る際には、歴史的な名所や由来などを予習しておくとより楽しめるのでおすすめします。


関連記事↓





この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?