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約2年のイベントで見えた社会人のエデュケーション


この記事はCluster Creator #1 Advent Calendar 2023の20日目の記事です。


はじめに

イベントの企画運営等はすべて1人の個人でやっており、あまり参考にならないかと思います。昨年1人運営での記事を書いております。今も当時と変わらぬスタイルですので参照頂ければと思います。


学習の場

エデュケーションとしてclusterが無料開放されたのも記憶に新しいと思います。メタバースや3D空間を学ぶという部分では学童学生を主体とした視点という印象もあり、clusterの中でも教育関係に近い層が中心に活動されるものと感じていました。
ところが、今回中の人が体験したのは…
①clusterというメタバース空間でクラブイベントを開催したら
②1年8ヶ月で延べ参加者数2万人となり
③そこでクラブを疑似体験した方たちが現実で踊り始めた
と言う少し変わったケースでした。特に意識している所はなかったのですが結果的にエデュケーションのジャンルとなったのだろうと思っています。

社会人の学習の場

解説の前に中の人はリアルで普通の会社員、夜はDJとして札幌で活動しています。clusterでもDJのスキルを活かして1年8ヶ月ほど毎週水曜にクラブイベントを開催しております。
そしてこの体験から社会人の学習の場としても優れた場所である可能性を感じることとなりました。

ケーススタディーのジャンルが特殊

ここで1つ質問です。
「DJの居るクラブと呼ばれる場所に行ったことはありますか?」

行ったことがない。数回。の回答が多いかと思います。
営業が夜中心であったり酒類の提供があるため未成年不可であったり、治安が悪そうや怖そうなイメージもあるかと思います。DJの居るクラブは思っているより接点が少ないのです。
そしてDJやクラブはカルチャーであって学ぶことが必要される分野ではありませんし習得の目安がありません。覚えていることをテストされることもないですし点数が出てくるものでもありません。そして世の中に「クラブの遊び方」なんて本もないのです。リアルでは友人や先輩などについて行って空気を学ぶという感じになるでしょう。

いざクラブへ遊びに行こう!となっても学ぶ場所も教える人も居ないと言う最初の一歩からなんもわからんとなるジャンルだったのです。

今回のケースはカルチャーを学ぶ

それではメタバースを使いクラブを体験しましょう。
随分と乱暴な書き方をしてしまいました。
実際にはそんな目的はなく、偶然流れ着いたclusterでクラブイベントをはじめたけどハウスってジャンルを知っている人も少なかったので、ゆるゆるとわかりやす部分から進めて行った。という感じです。
すべて書くと長くなってしまうので一部抜粋にて。

clusterの中で踊り倒しました。
毎週水曜日の2時間を1年8ヶ月。定例開催数は68回。約136時間。

延べ参加者1万人を超えて窓の杜の記事となりYahooニュースにも掲載されちゃいました。

8日間に及ぶ夏フェスも開催しました。
合計すると24時間踊り倒しました。

クラスター社の加藤CEOも遊びにきちゃいました(レアケースらしい)

ついに延べ参加者数は2万人に到達!

ほら、上手く行ったでしょう。
きっとね…現実世界でもクラブ楽しめるハズですよ。
そう。ハズなのです。

これが学びと言うならまだ絵に描いた餅なのです。

何をお伝えしたいのか?言いますと

学習した結果までお伝いしたい。
clusterで踊っていた人たちが現実世界で楽しむところまで見届けたい。
未来を語ることは多いが結果の検証がないのもメタバース。

それならやっちまいましょう!


その時は来た。1年8ヶ月学習の成果 

今年10月運良く大阪でVRSNS関係の方がリアル側の人間として開催するイベントにDJとしてお誘い頂きました。西のcluster民も駆けつけてくれました。

結果から!

clusterで言うピューイなエモート状態(リアル版)

本当にクラブが初めてなの?ってくらいに踊ってました!

盛り上がりすぎて指が天高く上がっちゃってます。
嬉しくてDJしてる中の人もブレブレになっております。
もうチート級でした。
自分がはじめてクラブに行った時をあっさり超えていました。

これは中の人のプレイよりもフロアの歓声を聞いて欲しい。ほとんどが今回はじめて現実のクラブに来るclusterの人です。
低音をオン・オフして強弱を付けて中音域をいじり倒してボーカルをウワンウワンさせるハウスの中でも比較的マニアックなDJテクニックです。clusterでやってる人は見かけないですし、今となってはリアルでやる人も少ないです。これやってウケるのは長年ハウスを聴いている人だと思っています。

どころが中の人がこのテクニックをclusterで1年8ヶ月やり続けた結果、初めてのクラブに来たというのに玄人みたいな盛り上がりなのですよ。

こんなのね。
「1週間でデキる!クラブの遊び方!」
なんて書籍とかDVDを出しても無理ですよ。

ちなみに年末向けに「2023年clusterで聴いた使ったハウス」を募集しました。X(旧Twitter)の仕様変更でYoutubeのURLが歓迎されなくなったので途中でみんなのポストを拾えない状態となりましたがなんとかリスト化し公開しています。
比率だとDJよりもフロアで遊んでいる方の投稿が多いです。clusterの1年8ヶ月でハウスを知った(学習)した方がほとんどです。曲としてはハズレなしの内容になっています。これがゼロから聴き始めた方たちがリストアップした曲ってのは驚きの濃さです。


レアケースだが良い事例

クラブイベントと言う一般社会からは少し距離のあるカルチャーでしたがメタバースを通じて学ぶが予想以上の結果となりました。

clusterでの成功部分

①体験を伴う学習の解像度が高かった
VRやトラッキングデバイスによる踊る体験。非VRでもclusterに実装されているエモート含めクラブという雰囲気を体験するには良い環境であった。

②ストレスなく体験できる環境
毎週、同時接続数60-70人となりスクリーンでのDJ機材操作配信など負荷となる要素が多かったがストレスなくスマホやVR単機で遊べるclusterの環境。

③現実ベースのアプローチ
手前味噌になっちまいますが中の人が現実でDJやってた人間なのでメタバースへのアプローチが現実を反映させたケースが多く、リアルイベントになってもあまり差がない状態を作ることができた(実はメタバースがよくわからなくてこの方法しか思いつかなかった笑)。

良い事例になったと感じた部分!

①現実にクラブを学ぶ機会がない
書籍やクラブに行きましょうなんて講習などが存在しない。学校でも教えてくれない。

②最初から学ぶことを目的としてない
さぁ1週間勉強してクラブに行きましょう!とかではなかった。メタバースのコンテンツとして遊んでいたら身についた知識とスキルになった。

③長期の検証した例があまりない
clusterで1年8ヶ月同じイベントで学んだ結果というのは過去に聞いたことがなかったり。そもそもで長期の検証があまり聞かない。

今後の課題

①メンターとなるべく人材の確保
人に何かを教えるはとても労力がかかります。そして知識とスキルも必要となります。何よりこの世界にも馴染んでいること。
贅沢というと「◯◯を教えます!」ってことではなく自然とその分野をひっぱり学習の成果を体験できるとこまで導くことができる人。
狭き門とは思いますがこればかりは来月から欲しい!と言っても育つわけもなく地道な努力とこの世界に居着いて頂く工夫が必要です。

②クオリティを担保した継続的なイベント活動
一番難しく一番重要な部分かと思います。前項にも絡む問題ですが今のところ個人ユーザーのやりがい熱意でしか継続できません。中の人は15年ほどDJをしていたので始める学習コストはゼロでした。しかし初めてDJをやってイベントを立てて1年8ヶ月継続できるか?と考えるとDJを練習しつつ毎週イベントやっては絶対に心が折れます。続けられないのです。

③そもそもこのような活動が必要なのか論
この手のメタバースはUser Generated Contentsと切っても切れない縁。ユーザーが作るコンテンツが必要となります。今回のようなカルチャーがそもそも必要なのか?というのは中の人が来た時から言われたことでした。言ってしまうとメタバースとは直接関係のない文化やスキルなのです。
過去に家庭用ゲーム機戦国時代が繰り返されました。
ハードウェアがリリースされても主砲とも言えるゲームタイトルを確保できない、もしくは主力タイトルの少なさで淘汰された機種もありました。
ハードウェアとソフトウェアの関係のようにメタバースも技術・環境・コンテンツのバランスが大切かと思っています。

2024年イベンター確保が課題

ここからは少しショックなことをお伝えしなくてはなりません。コロナでの外出制限もなくなり急速にリアルが戻ってきています。中の人も週末はリアルのDJ現場へ足を運ぶ生活に戻っています。先ほど少し書きましたイベンターさんは「やりがい」と「情熱」しか続けることができません。公式サイトを飾る大量のユーザーイベントはすべて「無償」で行われています。そしてイベントがあることが当たり前になっています。
通常の生活が戻ってきた今。この世界を牽引するようなバイタリティのある人はリアルへ戻り始めています。メタバースとリアルの連動する動きも盛んになってきました。育ってきたイベンターがこのタイミングで離れてしまうのは痛手かと思います。

技術は進化して環境は整い、アイテムやアバターが買えるようになっても遊ぶイベントがなくなると使う機会もなくなります。箱庭も着せ替え遊びも1人で出来るじゃないか?と思いますがそれはオフラインでもいいじゃないかと。

マネタイズを求めるではないのですが、イベントがあることが当たり前のように大量消費されるようになりました。

イベンターさんも無敵ではありません。
やりがいと情熱は永遠には続きません。

これは冗談ですが…
ある日突然イベントページが空っぽになるかもしれません。
でも100%冗談とも言い切れない。

2024年は大きな転換期となると思っています。

終わりに

clusterのイベントは良い意味での発展途上の段階。
これからユーザーが作るコンテンツが想像以上の展開に繋がること、そしてリアルのカルチャーにも影響を与えるような存在となることを期待しております。


参考資料 中の人clusterでの活動

2022年3月末
水曜22-24時を中心に毎週のDJイベントを開始。

2022年12月 12時間DJ開催
当時のDJイベントとして珍しい12時間という長尺のイベント。

2023年2月
延べ来場者数が1万人を突破。

2023年8月 STEREOPHONIC開催
clusterのステレオ音源対応を記念した8日間に及ぶDJイベント。
初日会場にクラスター社の加藤CEOがフラっと来場し会場の写真をX(旧Twitter)にアップする珍しい現象が起きる。

2023年9月
延べ来場者数が2万人を超える。

※記事内の2万人という表記はクラスター社が提供するメタバースclusterにおいてイベント管理ページ内にあるイベントの延べ参加者数を合計しております。この数字については機能として提供された数字でありイベント主催者側で計測した数字ではございません。

クラスター社によるイベントの延べ参加者数の実装案内
https://note.com/cluster_official/n/n757994100c96


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