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難しく考えないメタバースイベント

はじめに

 Cluster Creator #1 Advent Calendar 2022 14日目を担当させて頂きますuMe店長でございます。
 13日目はUnityエディタ上で動作する簡単なスクリプトを書いてみるでした。制作中のマクロ的な物が組めたのだなーと驚いております。
 さて、今回はclusterで私が運営しているmXizmを例に難しく考えることなく継続できる形のイベントをご紹介したいと思います。


メタバースのイベント

 いきなりですが私はメタバース特化の技術を持ち合わせておりません。リアル会社ではExcelとグループウェアの承認ボタンをポチポチするのが主な業務です。メタバースのタの字にかすりもしません。
 この状態でメタバースでイベントしましょう!って言われたら身構えますよ。スタッフさんがいっぱい居てすごいワールドがあって有名なゲストさんが来てSNSで盛り上がってとか想像しちゃいます。萎縮して一歩が踏み出せないと思います。ここまで読んで「そうだよね!大変そうだよね!」と思った方は安心して欲しいのです。実は私のやったmXizmはこのセオリーに1個も当てはまらなかったのです。

mXizmとは

毎週水曜日の夜に開催されるDJイベントです。
 イベント名は「水曜日は踊りたくなるじゃない」でありmXizmは運営している集団の名前というべきでしょうか。集団と書きましたが基本ワンオペです。2022年3月末に「なんとなく」を理由に始まったと記憶しています。読まれている方は「ずいぶんといい加減じゃないか」と思うでしょう。実際なにか煮詰めて計画していたとかないのです。
 初回延べ参加者数63人からはじまった集まりも9ヶ月ほど継続し、平日の夜ですが5倍近い参加人数となっております。

クラスター社プロダクトマネージャーのとみねさんの記事に使われた写真がmXizmのフロアで驚いたなんてこともありました。

なぜそんなイベントが継続できたのか

驚かれるかもしれませんが「シンプルなことを繰り返す」が答えでした。

KISS の原則 (英: KISS principle) とは、「Keep it simple stupid.」(シンプルで愚鈍にする)、もしくは「Keep it simple, stupid.」(シンプルにしておけ!この間抜け)、もしくは「Keep it short and simple.」(簡潔に単純にしておけ)という内容の、1960年代の米国海軍において言われた、経験的な原理・原則の略語。その意味するところは、設計の単純性(簡潔性)は成功への鍵だということと、不必要な複雑性は避けるべきだ、ということである。

KISSの原則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

9ヶ月後にどこに着地するやどんな体験をなどの計画は一切ありませんでした。コンセプトと聞かれましても「みんなが楽しいこと」くらいです。

一問一答 運営形式

スタッフはどのくらい居ますか?
 ゼロです。ほぼ1人でやっています。
 最近、フライヤーやイラスト、撮影などで協力してくれる方もいらっしゃいます。気が向いたら自由参加という感じです。束縛されない活動参加については来年のアドベントカレンダーにでも。

企画などは計画期間は?
 
最短2日、最長2ヶ月です。
 
画面共有が実装されたときは2日ほどでイベントで使用しました。これは失敗しても関係者として自分に迷惑がかかるだけだったので即決でした。
 逆にゲストでDJさんをお呼びする場合は1-2ヶ月ほど時間をかけています。何度も足を運び実際の音を聴いたりSNSで日頃のやりとりなどを含めて精査させて頂いております。
 クリティカルな問題が発生しない、自分以外の関係者に問題が及ばない場合はトライアンドエラーでやっています。箱をちょっと改装して1回使ってみたけど思った感じではなく次に戻っていたなどもありました笑

有名なゲストさんのブッキングは必要?
 
これはケースバイケースかと。ネームバリューで数字を取るはありだと思います。ただ私がブッキングする場合は来場者に満足頂ける音であることが一番の要素になります。cluster初登場でやって頂いたりレアなレコードを掘り起こしてくるようにいい音のDJさんを見つける場合もあります。
 また、9ヶ月で感じたことは知名度よりもお互いの認識に差がない状態が大切かと感じました。例えばですが派手な音をやる方をうちの箱に入っていただいても物足りないであろうし、聴く側も想像と違うだろうし、私もその雰囲気を感じで凹みそうですし。
 そうならぬようバックサイドのタスクとしては一番重要かと思います。

ワールドがかなり質素ですよね?
 ぶっちゃけますと自分に派手なワールドを作る能力がないのと、やっている音のジャンルが比較的ストイックに打ち込む感じでリアルのハウスやテクノの箱もあのくらい渋いのが好きだったのも強く反映されていると思います。逆に質素な箱であの狭さだったものでclusterで1-2を争う人口密度と言われる感じとなりました。

SNSの利用は?
 こちらから発信する情報としては倍率1.0を心がけています。
まずやらないこととして「盛った言葉でお知らせしない」「私が○○しました!のような表現を入れない」などがあります。こちら側の都合が濃いですし多くは現実とのギャップが生まれてしまいます。なのでストレートな表現で楽しそうを伝えるようにしています。

3つの要素ではじまりました

  1. 自分の出来ること→DJとして音楽をする

  2. 来場者の出来ること→フロアで踊る

  3. ワールド→倉庫イメージの簡素な箱

開始当初の様子 シンプルな箱のスタイルは既に確立されていた

1.自分の出来ること

 メタバースに特化のスキルではないけどDJができました。今でこそ突発のDJイベントがありますが2022年3月当時は珍しかったようです。そして翌4月に画面共有が実装されました。これは本当にラッキーであり追い風となりました。clusterのモニターでDJ機材の操作を配信することができたのです。
 余談ですがDJ歴は15年ほど。みなさんが想像されているより遥かに地味な世界だと思います。

2.来場者の出来ること

 フロアで音楽を楽しみ踊って頂くことでした。
 新しいアバターや服を手に入れると誰かに見せたくなるものです。VRデバイスを買ったときにも動く自分を表現したくなるでしょう。イベント色々あれどDJイベントで一番輝くのはダンスフロアです。つまり来場者の方です。実にメタバースのアバター文化にマッチしてると感じました。
 またclusterのアップデートにてノリノリやウキウキなどダンスの動きも追加されたためフロアで踊るイメージが体験としてより解像度があがりました。

3.ワールド

 倉庫イメージの簡素な箱は写真の通り殺風景でした。
これが逆に知る人ぞ知る穴場的な雰囲気となり私のやっている音との相性もよかったです。そしてメタバースでありながら適度に狭いこと。
 狭い場所で写真を撮影するとフロアの誰かが映り込みます。clusterは直接Twitterへシェアできるのでタグでイベントの写真を見つけやすい利点があります。たまたま自分が写り込んでたりでSNSでの繋がりが増えて楽しんでいる一体感となりました。

基本はこの3つのシンプルな要素で構成されています。
延べ参加者数が5倍近くとなった現在も変化はありません。

メタバースの水戸黄門

 時代劇の水戸黄門をご存知でしょうか?
ご隠居一行が道中に困りごとを解決して助さん格さんが悪人をやっつけて印籠でトドメの定番コースです。展開がわかっているのにご長寿番組でした。
 mXizmの水曜日は踊りたくなるじゃないは5月くらいには定番の展開が確立した気がします。毎週水曜日22:00-24:00の2時間。狭い箱でハウスをゴリゴリとプレイして踊りまくる。
 その結果、clusterでの第二のホームのような場所となりいつ来ても安心する感じと感想を頂くようになりました。
 マンネリの危険性もあるのですが、毎週まわすイベントで企画運営をワンオペと考えると定番化は「ハズレ無し」の立ち位置になったかと思います。

ね、簡単でしょ?

 絵を書き上げたボブにそう言われて「全然簡単じゃないし!」と思うのですがmXzimの運営形式は本当に簡単でした。逆に難しくしないことが難しいのかもしれません。イベントが大きくなると難しいことしたくなりますし。

低予算、低姿勢、低カロリー

蛇足ながら要素までは行かずともマインド的なのも含めて気にかけていることなど

  • 音はフロアが輝くために

  • 楽しむことのレールを敷かない

  • すごいではなく楽しいの言葉を頂けるように

  • 盛った表現でお知らせなどをしない

これもあまり難しく考えていないと思います。
正確には至った結論は簡単だけど過程は面倒くさいかもしれませんが笑

 こんなシンプルな要素で9ヶ月間イベントとまわして5倍規模となりました。正確には「なっていました」かと思います。
 色々と難しい目標を掲げていたなら最初の一歩を踏み出すことができなかっただろうし、タイミング的にもラッキーな部分が多かったかもしれません。野球だとここぞの1本ホームランなのか毎回のヒットなのか。そのような感じかもしれません。
 もしイベントの一歩が踏み出せない、少人数でもしくは1人で継続したイベントをやってみたいなんて場合には参考にして頂けると幸いです。

あとがき

今回はじめてCluster Creator Advent Calendarに参加させて頂きました。ここまで書いてあまりクリエイターな事を書いてないと若干青ざめております笑。こうやって筆を取っている(令和にこんな言い回しはひどい)のも熊猫土竜さんことぱんもぐさんの「書いてみたらー」とのツイートが原因です。ぱんもぐさんとは自分がclusterで初のDJをやらせていただいたワレシラズオドル2のMCで名前を呼んで頂いてからの繋がり。色々な縁がぐるぐるしていますね。
 そして少しリアル事。自分は師匠の店に飛び込んでDJや夜の世界の特殊な人間関係を教えてもらいました。正確には曲を繋ぐ技術的なことよりも人が繋がることを魅せてくれたと思っています。それが今になって最新技術が集まったメタバースで少し何かの力になっているのかもしれません。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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