事業変革の方向性を決める事業ドメインワークシート【企画の道具箱 #11】
みなさん、こんにちは!
既存事業を変革するときに、最初にどこから手を付けてよいのか分からないことってありますよね。現場にヒアリングすると目の前の課題が山のように出てくるし、上層部にヒアリングすると高尚なビジョンを語られて具体に落とし込めない。このようなケースが散見されます。
今日は、事業の方向性をざっくりと捉えて言語化するワークシート(事業ドメインワークシートと呼ぶことにします)を紹介します。
事業ドメインワークシートとは
事業ドメインワークシートは、事業の方向性をざっくりと捉えるワークシートです。最初から細かい検討を行うのではなく、核となる事業ドメインの方向性を言語化することに利用します。この位の分量であれば1時間程度のセッションで議論できますし、最初の取っ掛かりとなる仮説構築に利用するなど、何かと使い勝手のよいツールです。しかし、簡単に作れるからといって侮ってはいけません。「事業をどうするために」「誰に」「何を」「どうやって」提供するのか、ポイントとなるところはしっかりと含まれています。
作成手順
基本的にはAs-is→To-beの順に整理していきますが、必ずこの順でやる必要はなく、議論しやすいところから整理していけば大丈夫です。
全体が議論できたら、もう一度俯瞰してみて精度を上げていくことが大切なポイントです。
1. スコープの検討
As-isやTo-beの整理に入る前に、どのスコープで整理・検討を行うかを決定します。既存事業は大きく「全社→事業→製品やサービス」などの段階があります。今回の検討はどのスコープが対象であるか、事前に関係者で認識を合わせておくことが大切です。
例えば、とあるITコンサルティング会社で考えた場合、全社の次の事業として、コンサルティング事業とシステム開発事業があって、コンサルティング事業の中には製造業向けコンサルティング、建設業向けコンサルティング、データ活用コンサルティング…などのサービスがあります。この中のどの範囲を対象に置くのか定めておくことで、関係者で同じ視野と視座を持って議論を進めることができます。
2. As-isの整理
関係者へのヒアリングなどを通じて事業の現状を整理します。
3. To-beの言語化
整理したAs-isを見ながら、ドメイン(ターゲット顧客・提供価値)をどのように変えるのか、どのように実現していくのか(事業の戦略と施策)、どのような姿を目指すか(事業の位置づけ)、言語化します。
4. 俯瞰してチェック
As-isとTo-beの整理ができたら改めてTo-beは本当に目指す姿になっているのか、小さな課題を解決しただけの姿になっていないか、明らかに実現できないものになっていないかなど、俯瞰してチェックします。
作成の注意点
事業ドメインワークシートは検討の初期段階で作るものです(細かい検討を行った後のサマリーの用途としてはあまり使いません)。そこで大切になるのは、細かいことを気にしすぎずに、全体を俯瞰してざっくりと大枠を捉えることです。例えば、As-isの課題を洗い出すと、その施策を考えたくなります。しかし、ここで捉えたいのはあくまで「事業ドメイン」です。
As-isはざっくりと整理して認識を合せたうえで、To-beの「事業どうするために(事業の位置づけ)」「誰に(ターゲット顧客)」「何を(提供価値)」「どうやって(事業の戦略と施策)」提供するのかを検討することに注力しましょう。
テンプレートとサンプルはこちら
おわりに
今日は事業の方向性をざっくりと捉える事業ドメインワークシートを紹介しました。このワークシートは弊社のコンサルタントが現場で実際に利用しているものですが、フォーマットがしっくりこない時は項目を変えて使ったりもしています。また、全ての項目を必ず埋めないといけないものでもないので、ぜひ使いやすいようにアレンジして使っていただければと思います。
それでは、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
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