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パリでコダワリ抜いたヘアアクセ「Blanc Cassé」始めます

「それ、ずーっとやってみたいと思っていたことなの!!!」と興奮気味に答える、アサミさん。
私が「アサミさんはヘアメイクの仕事もしてるし、アクセサリーも作っているから、両方合わせてヘアアクセサリーとかつくらないの? 工場で量産したら、手作りよりもたくさんの人に商品を届けられるし」と、聞いた直後の反応でした。


私たちの出会い

アサミさんは、パリ在住の日本人でヘアメイクの仕事をしながら、アクセサリーも作るという、多くの女の子が憧れるような生活を送っています。
仕事を通じて出会ったのは1年とちょっと前。私がデザイナーとして携わった商品の取材を受けたときに、ヘアメイクを担当してくれました。
その後、彼女のアクセサリー作りの話を聞き、今度は私がライターとしてその過程を取材するという、持ちつ持たれつの仲に。https://www.designstoriesinc.com/panorama/uematsu_vintage/

アサミさんのアクセサリーブランド「Câline Paris(カリーヌ・パリ)」のインスタアカウントでは、アクセサリー以外にも、彼女が巡るパリの素敵なカフェの巡りの日々の様子がストーリーズで流れます。

私は企業でデザインをしながら、webでも記事を書きますが、彼女はヘアメイクをしつつ、アクセサリー作りもしています。全くタイプの違う2人だけど、お互い二足の草鞋を履いているという共通点が、妙に気が合う理由かもしれません。

丁寧な手仕事を大事にするアサミさんと、企業で量産製品のデザインをしている私。アサミさんのセンスやアクセサリーの魅力は常々感じつつも、手作りな分、どうしても量に限界があることがもったいない、と思っていました。アサミさんが徹底的にこだわった製品が、より多くの人の手に渡ったらいいな、もっとたくさんの人にこの素敵な世界観が広まったらいいな、と。

アサミさんは、自分で作りたいもののイメージはハッキリしているけれど、それを人に伝えて作ってもらうよりも、自分で手を動かして作ったほうが早いと思う職人気質。
一方、私は所属している会社で、ブランドの世界観に沿ったものを、色々な人たちの力を借りて具現化しています。あくまでもブランドが軸にあるので、そこに自分自身が表現したいものを入れたいという想いは、あまりありません。

「Blanc Cassé(ブランカッセ)」とは

そんな2人が、この度、新しいヘアアクセサリーのブランドを立ち上げます! 全体のアートディレクションはアサミさん、製造会社を見つけて交渉したり、量産指示をするのが私、という役割分担が自然にできました。
その名も「Blanc Cassé(ブランカッセ)」。オフホワイトという意味で、純白ではなく、すこーし色味のついた落ち着いた白です。

頭文字Cのロゴ

ちょうど、冒頭の会話をしていた前日、アサミさんはそれまでやっていたウエディングビジネスを閉じたところでした。そこに、私からのヘアアクセサリーを作らないか? という提案。
アサミさんにとって、「純白」のウエディングの世界から、新しい白「ブランカッセ」への変化、という意味も込められています。とにかく、白い髪飾りが欲しい! という彼女のアイデアが始まりでした。
色素材のデザインを仕事にしている私にとって、白は単純なようで、とても難しく深い色。素材次第ではそこまで汚れないし、モノトーンで合わせやすいけれど、華やかなアクセントにもなりえる色で、挑戦しがいがあると感じました。

試行錯誤の試作…

そこから、たくさんの試作を重ね、特に色味にはこだわり、いくつもの白いサンプルを比較検討。
素材はアセテートに決まり、何層か重ねたほうが質感が上がることもわかりました。表面に透明の層を重ねたら深みが出るかと思いきや、ビニールホースのような見た目になってしまったり、同系色のアイボリーと組み合わせたらエレガントになりすぎてしまったり。

私は好きだったけど、アサミさんはホースと呼ぶ…

あまりにもやり直しを繰り返し、取引先の製造会社も面倒くさくなってきたのか、段々と進行がゆっくりになり焦る日々…。
最終的には、表面がブランカッセ、裏面がノワールという、シンプルで合わせやすいけれど、インパクトのある組み合わせに行き着きました。それぞれの色の厚みも追求し、ぽってりとしたノワールに、ブランカッセがうすーくのる仕上がりです。

人生色々、白も色々

アセテートという素材は、熱を加えて手で曲げて、形を作っていきます。多くの工程が職人の手作業によるものなので、最初の試作はかなり手作り感がありました。そこから細かく修正を重ね、私達が気になるポイントをわかってもらえるように。

更に手作りならではの仕立てを加えたい、という話になったある日、ふと机の上をみると、アサミさんの金のアクセサリーが試作クリップの上に…。

何気なくのっかっていた、金のアクセサリーとの組み合わせが良い感じ
手元にあった金のツブツブチェーンで試してみる


「あら、この感じ、なんか良いね!」と、その雰囲気をエッセンスとして取り入れる方法はないか、模索し始めました。
そこで見つけたのは、金のツブツブ。これもまた、個数や間隔を色々試してみました。

間隔が変わると印象も変わる

ここまでで、ベースの色はブランカッセとノワール、そこに金のツブツブ。あとは、どんなアイテムを作るか、というところまで来ました。
ヘアクリップを作ろう、と始めたものの、最終的に特にこだわった商品は、ヘアゴムでした。飾りの角度は、キュッと狭まったものが良いというアサミさんの情熱が詰まっています。

アサミさんコダワリの「キュッとした角度」は右側のサンプル

最終的には、ヘアゴム、ヘアクリップ(大)、ヘアクリップ(小)、ヘアピン、カチューシャの5型を作ることになりました。

全部で5種類

ここがイチオシ技術!

また、忘れてはいけないのが、クリップの留め方に採用されている新技術!
通常であれば、金属のバネが使われる部品がゴムになっています。ゴムで閉まる構造になっていることで、クリップを後ろから見てもヒンジ部分が美しく、金属のように錆びることがありません。
また、ゴムの張力で髪の毛が押さえられる分、髪の量に関わらず、ピシッと留まります。このゴムは1万回の開閉テストをパスしてる、非常に耐久性に優れたものですが、経年劣化や破損した場合でも、交換可能という作りで、長く使っていくことができます。

左が金属部品が見えない後ろ姿、右が一般的なクリップ

既にこの世にクリップがたくさんある中で、なにか訴求ポイントがあったら良いなと考えていたので、この新技術は製造会社を選ぶときの決め手になりました。もちろん、フランス産にもコダワリました。

ゴムの張力で、髪の量を問わず留まりやすい

袋にもこだわりを

そして、これらのヘアアクセサリーたちを入れる小袋も、特別にオーダー。生成のオーガニックコットンに、オリジナルのロゴをプリント、黒いタッセルを留める金糸。
これから、カチューシャ用の袋も作らなければなりません。まだまだ、やることはたくさんあるけれど、どんどん素敵なモノが仕上がっていく刺激的な日々。

オーダーした巾着

今後の目標

ずっと形になるか不安だったので、誰にも言わずに2人だけで進めてきましたが、少しずつ最終形が見えてきたので、こちらでご報告したいと思いました。
商品として、2023年末頃にお届けできることが目標です。
確かな審美眼を持った職人気質のアサミさんと、量産製品のデザインをしてきた私が組むことで生まれた「Blanc Cassé」を、多くの方に見てただけたら嬉しいです!

全5種類、揃うとこんな感じ
photo by Taisuke Yoshida

追記:日本からでも買える、オンラインストアができました!
↓コチラからどうぞ!
Blanc Cassé Paris online store


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