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個人的慰安旅行(糸魚川)

夏の暑さが少しずつ和らぎ始めた9月初旬。白目向きながら深夜に風呂に入っていた私は、某鉄道会社のキャッチコピーよろしく、あのフレーズが脳裏によぎった
「そうだ、糸魚川に行こう」

糸魚川と私

そもそもの糸魚川を私の出会いは、学生時代にさかのぼる。
当時金はないが暇がある大学生だった私は、ヒスイが採れると噂される糸魚川に行ってみようと思い立った。
その当時は北陸新幹線などなかったから、約半日かけて新潟市から糸魚川まで鈍行を乗り継いで、当時借りていたジョジョ第6部の最後を読みながら糸魚川駅に降り立った。
当時はヒスイ海岸に護岸用のテトラポットがなかったため、ヒスイ海岸で石拾いができた。一泊した私は翌日に半日くらいかけてヒスイ海岸で悪戦苦闘し、それっぽい石を5個くらい拾って、当時の観光協会の方に見てもらった。運よく1個だけ白ヒスイがあり、その場で穴を通してもらいネックレスにしてもらった※。
偶然とはいえ、光を通して白くぼわっと輝くヒスイがとてもきれいだったと記憶している。今となっては青春時代のかけがえのない思い出だ。
※10年以上前のことであり、現在はこのようなことはできません。

久しぶりに訪れた糸魚川はテトラポットだらけだった

そして時は流れ、2022年。激務で疲れ切っていた私は9月に1週間の休みをもらい、ふと思い立ち久しぶりに糸魚川に行こうと思い立ち、2回目の糸魚川に行った。
糸魚川は激変していた。
まず海岸がテトラポットだらけになっていて、昔悪戦苦闘したヒスイ海岸はもはや石拾いできるスペースなど無くなっていた。困った私は別の海岸を探し、昔のヒスイ海岸の面影が残るラベンダービーチで石拾いを再開した。
何個かそれっぽい石を拾ったが、鑑定してもらえるような場所は無くなっていて、フォッサマグナミュージアムで予約制で受け付けているところ以外は糸魚川に鑑定までしてもらえるところはなかった。私は正解が分からないまま石拾いを終えた。

ラベンダービーチはテトラポットがなく、石拾いができた

そして2023年に3回目の糸魚川に

そして2023年。冒頭の思いたちがあり、3回目の糸魚川に行った。運よく連休が取れて、奥さんからも「あたしゃ同人の追い込みがあるから、あんたに構ってらんないから好きにしろ」ということなので、好きに旅行でも行くことにした。旅行ならこの季節は糸魚川しかないな。という流れで、私は北陸新幹線に飛び込み、ビールをあおっていたら2時間もしないうちに糸魚川に降り立っていた。新幹線すごい。

学生時代になかった北陸新幹線。もはやチートレベルの短時間で都心から糸魚川をつなぐ

去年行ったときは、石拾いだけではなく、おいしい海鮮やきれいな景色を自転車で走りとてもリフレッシュできた街であり、糸魚川は今年の私にも最適な旅行先だった。
9月の糸魚川は暑すぎず、雪の季節もまだなのでとても過ごしやすい。そしてなにより海も空も山も落ち着いた鮮やかさがとても美しく、自転車から見る景色が絶品なのだ。自転車を走らせるだけで「すはーっ!」と心が晴れるのである。

画像右側の小さな橋を渡る時の海・空・山が絶品。自然の美しさってこういうことか

3回目のヒスイ拾いは惨敗

3回目の石拾いもラベンダービーチで朝から開始した。
朝飯は近くのラーメンショップでおいしいラーメンをかきこみ、今年から導入したヒスイ棒をたずさえて、もはや負ける気がしなかった。

ヒスイ棒。出発日に西友で風呂掃除ブラシの柄と取っ手付きザルをガムテしたもの

結果、熱中症に近い状態になって何の成果も得られなかった。
今回偶然にも、拾った石を見てもらえる方に出会うことができて、持参していた去年拾った石を見てもらったのだが、そこにヒスイは存在しなかった。その方曰く、年々海岸のヒスイは拾われてしまうので、最近はかなり見つけられるヒスイ自体が少なくなってしまっているそうだ。まぁそもそも私の場合、目の前にヒスイが落ちていたとしても、目利きができないのでスルーしてしまうと思う。2年分の残念な結果となってしまった。

女神様「あんたにヒスイは10年早いわ」※想像です

糸魚川はやめられない

それでも、私は9月の糸魚川が気に入っている。
朝からラーメンショップでラーメンキメて自転車飛ばして海岸突っ込みヒスイ拾いしたら、熱波にやられて3時間くらいでダウン。
それどころか私は懲りずに、小休止の後に、青海のヒスイ峡を目指して自転車で登坂。半分過ぎた頃から道が急に箱根駅伝5区並の坂に急変して、ヒスイ峡は断念。
町中に戻った私は、昼飯の時間帯を外したため、店が空いておらず、駅の観光協会の売店でパンとアイスコーヒーで飢えを凌いた。
一見すると、グダグダな旅なのだが、そのグダグダ含めて私は糸魚川の自然や町をめぐるのがたのしいのである。
たとえるなら、これが私のアナザースカイ(笑)

青海の山中。ヒスイ峡を目指す。まったりサイクリングは前半の3キロまでだった。

日本海は緑がかった美しい青で、小石が敷き詰められた海岸は打ち寄せる波にザワザワと音を立てて行き来する。波音と小石の音が夏の静かな海に鳴っている。その情景に出会うだけで、糸魚川に来てよかったと今年も思うのだった。たとえヒスイが拾えなくても。

この緑がかった青の日本海と、澄み渡る青空のコントラストの海岸で石拾いが最高なのだ

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