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トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第44回 そして、eパレットへ

■オリンピックを支える

 トヨタとトヨタコネクティッドの協業が結実したモビリティがeパレットだ。

 コネクティッド、EV、自動運転、シェアリングとCASEのすべてを具現化したモビリティで、初のお目見えは豊田章男が「トヨタはモビリティサービスになる」とスピーチした2018年1月のCES会場だった。

 eパレットはバスのようなボディの四隅にタイヤがついた箱型の乗り物で、自動運転のEVである。

 2021年の東京オリンピックでは豊洲にある選手村のなかを24時間走り、選手たちをピックアップしていくために使われた。なお、eパレットの運用だけでなく、選手や役員を競技場へ送っていく車両計画、運用計画を担当したのは吉岡輝だ。生産調査部、業務改善支援室の出身で、トヨタ生産方式のエキスパートである。吉岡はオリンピックの選手移動をトヨタ生産方式の考えで計画した。選手を乗せたバスが都内を遅滞や滞留なく移動できるシステムを整えたわけだ。

■「企画書、まとめろ」

 さて、eパレット自体はトヨタのグローバルデザイン部が提案し、開発したものだけれど、それにモビリティサービスというスパイスをふりかけたのは豊田章男と友山茂樹である。

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