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トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第36回 食堂のカイゼン

■利用者は毎日6万5000人

 トヨタの国内従業員数はグループを合わせて約37万人。従業員食堂の数だけで全国で107もある。毎日、食堂を利用する人数は約6万5000人。食堂のひとつ、本社工場で炊く米の量(1日)は約8000人分だ。

 そして、ご飯を作る側のスタッフ総数は1800人。ちなみに餃子の王将チェーンの店舗数は737店で、従業員数は2200名。トヨタの従業員食堂は大手外食チェーンとほぼ変わらない規模だ。ただし、外食チェーンの店舗よりも一店当たりの規模が大きいこと、さらに、利用者が食べにやってくるのが昼食時間だけという特徴がある。

 それだけの規模で、しかも時間が限られているから、利用者(客)は行列を作るしかなかった。そこで、コロナ危機の前から運営主体のトヨタ生協はトヨタの経営企画部、生産調査部とともに食堂全体にカイゼンをほどこしたのである。

 目的は食事を出すリードタイムを縮めて、行列、混雑という密をなくすこと。調理時間などをくふうするとともに、利用者の動線を変え、利用者と働く人が満足する場所にカイゼンしている。

 工場開設とともに食堂のカイゼンは自主的に進められてきたのだが、2010年からはトヨタの生産調査部が関わる本格的なものになっている。

 カイゼンすべき個所はふたつだ。

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