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21 破壊神の寺にて。今日はヒンズー教のお勉強。

インドの三大神、ブラフマ、ヴィシュヌ、シヴァの名前はご存知でしょうか。

ブラフマは梵天として仏教にも取り入れられる世界を創造した神、ヴィシュヌは世界を維持する神で、ヒンズーがブッダを取り入れるときに、ブッダはヴィシュヌの化身であると説きます。そしてシヴァは世界を破壊して再生に導く神であり、仏教には大黒天として取り入れられています。

インドの神々は多数の名を持ち、それぞれの名のもとに化身として特性を発揮するのですが、シヴァの破壊神としての別名にバイラワがあります。

そしてこのバイラワ神にもいくつもの名前があって、有名なのはカーラ・バイラワ、黒いバイラワで、ネパールのカトマンズでは王宮広場にこのカーラ・バイラワ(バイラヴとも)の大きな像があって有名です。

そして今ぼくがお世話になっている北インド・ハリドワルのヒンズー寺はアーナンダ・バイラワがご本尊なのです。これは歓喜のバイラワの意味となります。

密教で歓喜仏というと、チベットなどで見られる男女交合の像のことになりますが、ヒンズーの「アーナンダ=歓喜」はその意味ではなくて、悟りの境地に至ったときの澄み渡った純粋な歓びを表します。

ヒンズーでは悟りの境地を「サット(真理)・チット(純粋な意識)・アーナンダ(歓び)」の三つ組で象徴して、そのうちの一つというわけなんです。

そうしてこのベーロウ(バイラワの音が変化してハリドワルの人はこう呼びます)寺でもう一つ大切にされているのがダッタトレーヤという神さまです。

ベーロウ寺は、ジュナ・アカラというヒンズー行者の最大の教団に属しているのですが、このダッタトレーヤという伝説上の神人である行者を教団の宗祖としているのです。

この辺のあり方は、日本の天皇家の始まりが神武天皇という伝説上の人物となっているのと似ているようにも思えます。

初めのほうで、ヒンズー教ではブッダはヴィシュヌ神の化身(生まれ変わり)と見なされていると書きましたが、このダッタトレーヤは何とブラフマ、ヴィシュヌ、シヴァという三大神すべての化身と考えられている凄い神人なのです。

ダッタトレーヤさんはハニービー・ヨーギン(蜜蜂のヨガ行者)とも呼ばれ、これはダッタトレーヤという行者が世の中をあちこち歩いて、真理を集め、人々に知らしめる姿を、蜜蜂が花を傷つけることなく、むしろ花の交配を助けながら、蜂蜜という滋養に富む食べ物を集めることに例えているんですね。

インドのこういう発想は、日本や欧米とはまた違って、おもしろいなーと思います。

このベーロウ寺では、毎日朝と夜の2回、アルティと呼ばれる神を讃える儀式をやっていて、夜のほうは大体毎日出ているのですが、機械じかけの太鼓と鐘がどんどかじゃんじゃんいいながら、それに合わせてさらに行者たちが鐘を鳴らし、ダムルというでんでん太鼓風の太鼓も打ち鳴らし、とにかく賑やかにやるのです。

その音に身を任せているだけでも、瞑想状態になりもしますし、またそれが終わったあとにお経を唱えるときに、正しくは唱えられないながらに、何とか物まねで大きな声で唱えていると、これもいわゆるマントラ・真言の効果で、変性意識の状態がやってきたりもして、心身を調えることのできるよい時間を過ごさせてもらっています。

というわけで今日はアーナンダ・バイラワ(歓喜のバイラワ)神を祀ったベーロウ寺の紹介がてら、ヒンズーの神さまについて少し説明してみました。

ちなみにトップの写真は、ベーロウ寺の一部をなすベーロウ・ガート(沐浴場)から撮ったガンジス川の朝の風景です。

てなことで、皆さまそれではナマステジーっ♬

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