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23 青空の下で懸案がひとつ解決

北インド、ヒマラヤの足元にしてガンジス川のほとりの聖地ハリドワルは、昨日今日とよく晴れて陽射しが暑い。

とはいえ、西日以外はほとんど入らない巡礼宿の部屋は特に暑くなく、気候は快適である。

パンデミックによるビザ延長措置が、あれこれ変わって、今月末の出国を前に、exit permit というものが必要になり、先月末に奥さんの分と合わせ、2通の申請をネットでしていた。

これがなぜか、ぼくの申請は数日後には許可が下りたのに、奥さんの分が「処理中」の表示が出たところまでで止まってしまい、その後の進展がないので困っていた。

乗り合いの三輪オートで5分ほど行ったところに、外国人登録を担当する事務所があって、奥さんともどもそこには2度ほど行った。

ぼく一人で行くと、ガキの使いにしかならなくて埒があかないもので、交渉上手の奥さんにも同行願うのである、

けれども今回は事態がなかなか手強く、状況は好転しない。

けれども、事務所を訪れてひとつ分かったことは、同じ書類を提出したにも関わらず、ぼくの方は問題なく申請が通ったが、奥さんの方は書類の不備で申請が下りない状態にあるということだった。

とにかくデリーの事務所に連絡しなさいということなので、メイルを出すが返事がなく、電話をかけるがお話し中や、呼び出しても応えがなくてつながらない。

そんなこんなで、昨日まで大変消耗していたのだが、今日になって朝からまたデリーの事務所に電話をかけていたところ、昼前についに電話が通じた。

通じたんだから喜ぶべき場面だが、こちらは英語でのやり取りが苦手なので、一気に緊張して冷や汗状態である。

でたらめな英語でとにかく状況を説明すると、電話の向こうでこちはの話が一区切りつくごとに「よし、分かった」という意味の力強いうなずきが聞こえてくる。担当者がしっかりした人なのがはっきり伝わってくる。

電話の横で話を聞いているうちの奥さんが、このことも聞いて! とメモを差し出してくれもして、書類の不備を直し、再度申請するためのやり方を分かりやすい英語で伝えてもらい、今日の最大の山場を越えることができた。
(インドでは英語が使える人は多いのだが、訛りが強かったり、言い回しが独特のインド英語だったりするので、聞き取りがむずかしいことが多いのですよ、おまけにぼくは耳も悪いし……。だから電話はヘッドセット装着でしてるんです)

さて、今日の山場は越えたのだが、書類を作成するために、お寺の責任者に一筆書いてもらう必要があって、これがまた一苦労だなあ、などと重い気持ちでいながらも、奥さんと必要な作業の打ち合わせなどしつつ、飯を食ったりしていたら、電話をかけてから3時間ほど経った時点で、携帯がぴーひょろ、とメイルの到着を知らせたのです。

ん、何のメイルだ? と思って確認すると、何と「exit permit の申請が許可されました」というお知らせのメイルだったのです。

どういうことかというと、申請するにはこちらの居場所を証明する書類を提出する必要があるのですが、今滞在しているお寺ではその書類を作るのがやっかいなので、以前いた宿で取った証明書を使い回すというインチキな申請を「ばれなきゃいいや」というインチキな態度でわたくしめが行なっていたのです。

それで、ぼくの分は通っちゃったんだけど、申請を処理する担当者が違ったのでしょう、奥さんの方は「居所の確認できず」ということで許可がおりないでいたのでした。

それが何故いまになって許可されたのか?

午前中に電話を受けてくれた担当者の方が、「こちらがハリドワルから申請していて、書類の不備で自分の妻の許可が下りないでいる」という話から、申請内容をチェックして、この程度の書類の不備ならば許可してもオーケー、と判断してくださったに違いありません。

いやー、本当にありがたい。心の底から感謝いたします。もうデリーの方向には足を向けて寝られません。"thank you, india! thank you, frro officer!!" と、日本では絶対考えられない、インドのお役人さまの柔軟で鷹揚な態度に感激するわたくしめなのでございました、あああ(感涙)。

というわけで、単なる暇つぶし以外にはほぼまったく役に立たない話を、最後までご精読ありがとうございました。

それではみなさん、ナマステジーっ♬

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#随想詩 #短編小説 #エッセイ #コラム #望洋亭日乗

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