休校により需要が止まった牛乳乳製品に愛を

酪農家が搾った生乳は、各地域ごとにある指定生乳生産者団体(北海道でいえばホクレン)が、一括買い取り、そのときの需要や、大手乳業の生産動向をみながら、乳業工場へ割り振りします。
そのため、休校により学校給食がなくなったことは、大変なことですが、それによりすぐさま行き場がなくなり、廃棄になるとか、酪農家が廃業になるというデマが流れてますが、それは極端すぎます。
上記の優れた制度があるおかげで、廃棄することないよう必死に農業団体が調整することになるでしょう。

チーズのこえとしては、扇情的な言葉ではなく、正しい情報発信をもとに、みなさんに考えもらう機会をつくりたいと思ってます。

ガイアの夜明けで、この制度が生乳の自由取引を阻害する根源だという偏向した番組作りがなされました。
牛乳用の乳価は、キロ120円くらい、これがほとんどが北海道の生乳になりますが、脱脂粉乳やバター、チーズ向きだと半分くらいになります。みんな120円で売りたいでしょうが、国内に全てを牛乳にするほどの需要はないことから、誰かがチーズやバター、加工品向けの生乳を供給しなければならない。
だから、用途別に加重平均をした金額を受け取るというのが指定生乳生産者制度。

この制度全体像を、酪農家のみならず、消費者目線でもみたとき、自分だけが儲かればよいのではなく、ひとつの用途であまりそうなときには、柔軟にほかの用途にも仕向けることができる非常に優れた相互扶助の制度なのです。
それを、農業団体バッシングをする結論ありきで、言葉狩りをするような偏向した番組をつくったガイアの夜明けを、私は強く非難します。まるで、「自分だけよければいい」と買い占めに走らせる行動を煽るニュース番組と同罪です。

学校給食がなくなり、牛乳に仕向けられる量が減るので、今後ほかの加工用に仕向けられるものが増えるでしょう。
いずれ在庫がダブついたり、オーバーフローすることになるかもしれません。
加重平均して支払われる乳価は、牛乳向けから加工向けが増えるため、酪農家の手取りは下がることでしょう。

「休校になって、酪農家も大変なんだな」
少しでもそう感じてくれるのであれば、いつもよりも牛乳1本、チーズ1ブロック、パンに塗るのもバターにするなど、牛乳乳製品を食卓に上げて欲しいと思います。
どの牛乳乳製品でも、すべてはつながっています。
(輸入のチーズじゃダメですよ)

買い物に哲学を。
食卓に愛を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?