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黒澤友貴の日報

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マーケティングの仕事をしたり、NPOの仕事をしたり、北欧に視察へ行ったり…領域を越境しながら生きている中での学び・発見を書いたことのまとめマガジン
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記事一覧

東北の伝統工芸「こけし」の価値をマーケティング視点で考えてみる

最近は、こけしの価値に注目しています。 みなさん「こけし」にどのようなイメージをお持ちですか? 自分は、 祖父母の家にあった置き物… のようなイメージでした。 そこまで良いイメージがあったわけではない「こけし」だったのですが、 こけしの名産地である福島県の土湯温泉でプロジェクトに関わっている中で 「こけしの価値はもっと高められるのでは?」 と感じるようになりました。 新・ラグジュアリー視点で捉えるこけしこれから求められるブランドとは何か?を考える上で参考にしているの

自分の常識を捨てるためにフィールドノートの技法を学ぼう

マーケティングリサーチで大切にしたい態度がまとまっている記事を、日経クロストレンドの連載で見つけました。 赤ちゃん向けの玩具を開発するピープル株式会社が運営する「ピープル赤ちゃん研究所」という、赤ちゃんの行動観察を行う専門組織の取り組みが紹介されていました。 研究所のコンセプトが素敵です。 記事の中で、このような行動観察の「心得」が紹介されていました。 調査前に決めつけていないか?私も、普段の仕事で行動観察(エスノグラフィーと呼ばれるもの)をプロジェクトで取り組むこと

自社資源を再解釈してアイデアやコンセプトをつくる考え方

ジェームス・W・ヤング著「アイデアのつくり方」に書かれている有名な法則です。 アイデアのつくり方を読み返す中で、 「既存の要素を組み合わせるポイント」が自分なりに整理ができてきました。 その図がこちらです。 特定のブランド事例を読み解きながら整理してみましょう。 ニューバランス・990 ナイキやアディダスなどの強い競合が存在するシューズカテゴリーにおいて、売上・市場シェアを順調に伸ばしているのがニューバランスです。 2023の売上高は、年度比で23%急増し65億米

チキンラーメンのブランディングトレース-「カラー・形・パターンの工夫」が選ばれる続ける理由になる

みんな大好き、国民食と言っても良いであろう「チキンラーメン」 今日は、チキンラーメンには強いブランドとは何かを学ぶ要素が詰まっていることについて書きたいと思います。 最初に、チキンラーメンのブランド構造をトレースした全体像をご紹介します。

生成AIをマーケティング実務に活かすプロンプト作成とは?

これは、毎日のように考えている問いです。 今日は、この問いに対する自分の考えていることを書いていきたいと思います。 プロンプトは常に5つの視点で記述する生成AIを有効活用ためのプロンプト術は様々なところで語られていますが、抑えるべきポイントは「5つの視点で記述すること」だと考えています。 この5つです。 Goal:目的は何か? Context:背景は何か? Frame:考える枠組みは何を使うか? Output format:アウトプット形式は? Input:

マーケターは、耳が痛い意見を集めること

マーケティングの仕事で一番危険なのは「都合の良い意見」を集めてしまうことだと考えています。 ユーザーインタビュー、データ分析が「合意形成のための材料集め」になっている状態は陥りがちなので気を付けるようにしています。 では、具体的にどうすれば良いのか? 厳しい意見に強制的に耳を傾けるためには、2つの方法があると考えています。 カテゴリーが嫌いな人にインタビューをする ブランドが嫌いな人(離反ユーザーや競合利用ユーザー)にインタビュ0をする 5セグマップで図解すると、

ドーミインの何が顧客を幸福にしているのか?ウェルビーイング因子と顧客体験の関係性

日経クロストレンドの連載:新指標「顧客幸福度」ランキング2024 この中で、ドーミインがビジネスホテル業界トップのスコアになっているとありました。 ドーミインのサービスレベルが、ビジネスホテルの一般基準より高いな… とは、宿泊したことがある人であれば実感されている人が多いのではないでしょうか。 自分も出張時は、8割以上ドーミインに宿泊します。 ドーミインの体験エピソードを読むと、改めて凄さがわかります。 これらの体験のどこにウェルビーイングとの関係性があるのかを考え

新しい市場・文化をつくる4つの視点

これらは、多くのマーケティングに関わる人が向き合っている問いではないでしょうか? 自分自身も、マーケティングの仕事を通じて新しい文化をつくることをテーマとして働いています。 文化づくりとは何のことなのか?しかし、文化づくりという表現を使うと、数字でとらえることも難しく曖昧さが残ってしまいます・ 具体的にどんなプロセスで考えると良いのかを教えてくれる愛読書があり、改めて読み返しています。 「新しい市場のつくりかた」です。 新しいアイデアを社会・市場に定着させる4視点「

話題の経営ゲーム「Coffee Inc 2」から学ぶ、自分の欲しい・理想を追求するからこそ生まれる優位性

濃すぎる経営ゲームと話題の「Coffee Inc 2」の裏側が面白く、学びに溢れていました。 自分も遊んでみたのですが、本当にこのゲームひとりで開発したのですが… と驚くレベルです。 逆に考えると、ひとりでこだわり抜いて開発したからこそ生まれた体験なのかもしれないとも考えています。 自分がやりたいゲームを追求したからこそよくマーケットイン発想が大切だと言われます。市場や顧客のニーズから逆算をして戦略をつくることは、もちろん大切です。 しかし、中途半端な市場調査が、一見

マーケティングのジレンマを乗り越える

最近、マーケティングのジレンマについて考えています。 マーケティングのジレンマとは何か?差別化・独自性を強化するために、 市場・競合を分析し、データと睨めっこし、組織内で合意形成など、 一生懸命に努力をする中で… あれ、いつの間にか「他と一緒」になってしまう… このような事象を「マーケティングのジレンマ」と表現しています。 良かれと思ってマーケターが取り組んだことが… 具体的には、 ・フレームワーク分析 ・データ分析 ・ユーザーインタビュー etc こ

デンマークの強さの裏側を探る

最近よくフィールドワークで訪れている国デンマーク。 2022年11月、2023年6月、2024年1月と3回訪れました。 デンマーク🇩🇰フィールドワークの学びを文章にまとめておきたいと思います。 デンマークはどんな国?・16時にみんな帰宅する ・幸福度が高い ・産業競争力ランキングでも1位 など、すごい国だと日本でも紹介されることが増えてきています。 最近、こちらの書籍「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」が話題になっていますね。 デンマークの何がすご

ブランドの歴史は価値に変わるのか?

ヒストリカル・ブランディング 脱コモディティ化の地域ブランド論 を読みながら「ブランドの歴史」をどのように解釈し、戦略的に活用できるかを考えています。 ヒストリカル・ブランディングの書籍に書かれている内容を要約します。 この2つがポイントだと整理しています。 図解して、ヒストリカル・ブランディングの全体像を整理してみました。 ブランドの歴史を再解釈して、顧客にとって新しい意味を創ること =脱コモディティ化(他と同じ状態から抜け出すこと)につながる思考を整理できました。

欧州の「修理する権利」から考えるブランド体験づくりの変化

EUの「修理する権利」の法改正は、ブランド体験設計に大きく関わってくる変化だと考えています。 前提のルールが変わっている先月に欧州を回ってみて、ブランド体験をつくる前提ルールが変わってきているので、生活者の行動も変わってきていると感じました。 そのわかりやすい例が「修理体験」です。 EUの法改正にある「独立した修理業者が修理しやすい環境をつくる」が義務付けられると、 ・消費の素材選び ・保証期間やアフターサポートの仕組み などを根底から見直す必要が出てきます。 修理の

マーケティング発想で公共トイレを捉え直す

日本が世界に誇れるものは何か? 最近に海外に行く機会が増えてきて、考えることが増えてきた問いです。 日本の公共トイレは世界一では?日本には多くの誇れるものがありますが、これは間違いないと感じているのが「公共トイレ」です。 無料で、綺麗で、しかも建築までこだわっている公共トイレがあるなんて、おそらく日本だけではないでしょうか。 パリを訪れた時は、とにかくトイレの数が少なくて、やっとたどり着いた百貨店のトイレは有料で…とどれだけ日本が恵まれているかを身体で理解してきました