甘噛社(あまがみじゃ)

記憶は当てにならないので、個人的に思ったことのメモとして記録します。 アイコンは愛猫を…

甘噛社(あまがみじゃ)

記憶は当てにならないので、個人的に思ったことのメモとして記録します。 アイコンは愛猫を模したAI画像です。

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最近の記事

スマホを運ぶ猿

 東北大学の助教、榊 浩平氏の研究「中学生のスマートフォン使用習慣が学力へ影響を与えるメカニズムの脳科学的検証」などによれば、スマホの使用が脳の発達に大きな影響を与えていることが分かってきたらしい。  影響といっても良い影響ではない。前頭前野を含めた脳の広い範囲の発達が阻害されるのだという。スマホを手にしたことで私たちは何でも手の中で実現出来る便利な生活を獲得したと有頂天になっていた。しかし、そこにはとんでもない落とし穴があったということだ。  簡単に(極端に)言えば、私た

    • Netflix映画『カレとカノジョの確率』

       物語のガイドとして登場するナレーター役の女性が物語の始めの方でそう忠告するように、これはただの恋愛映画ではない。  愛の物語の背後にある、運命としか呼びようがない何かの話なのだ。  タッチの差で乗る予定だったロンドン便に乗り遅れたカノジョ。次の便に切り替えて、待ち時間に空港ロビー内のデスクでスマホの充電をしようと思ったら、充電器が壊れていると隣の女性に教えられる。諦めて席を立とうとしたら反対側の隣の男性が、これで充電する? と充電ケーブルを差し出す。それがカレ。それが一目

      • 映画『市子』

         川辺市子(かわべいちこ)の話だ。  けれども、彼女はこの世に存在しない。  彼女は舞台や映画というフィクションの中の存在だから。  でも、同じ様な境遇の人はあなたの隣にもいるかも知れない。あなたが知らないだけで。  数年の交際と同棲を経たある日、長谷川は市子に婚姻届を見せてプロポーズする。レストランやディズニーランドでのサプライズではなく、自宅でのひもじい夕飯の時だ。結婚の申し出を聞いた市子は、じっと目に涙を溢れさせて喜ぶ。私でいいの、と。  長谷川が婚約指輪の代わりに

        • 賢いとはどういうことか

           脳科学者 茂木健一郎が学長のイマジン大学というYoutubeチャンネルで、賢さについて語っている回を見た。茂木健一郎と言えばNHKテレビのプロフェッショナルという番組の開始当初の司会で一躍有名になった、あのもじゃもじゃ頭のおじさんだ。脳科学者として多数のメディアにしばしば登場するからどこかで見たことがある人もいるだろう。私も東京駅で新幹線を降りようとした時にデッキでかち合ったことがある。   私など、仕事で会ったことのある人でも顔と名前を忘れることは良くあるのに、あの人誰だ

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        • エッセイ
          732本
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          90本
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        記事

          席を確保してから注文の列に並ぶか

           席を確保してから注文の列に並ぶか、購入してから席を探すか。  個別最適と全体最適の違いを意識しないといけない問題だ。そうしなければ正しい答えは見つからない。    お席を確保してから列にお並び下さいという飲食店がたまにある。買ったは良いが座る席がないとクレームになったことが過去にしばしばあって、その解決策なのだろう。  こうしたルール化は終始ガラガラの店ではなく、混み合っているお店だとお思いかもしれないが、実はそうでもない。平日はガラガラでも休日になると混雑する観光地などで

          席を確保してから注文の列に並ぶか

          柔軟性

           上司には良い顔をして気に入られ、部下や社外の協力会社は露骨に下に見て顎で使おうとするという、典型的な出世意識の高い社員というのがまだ生息している。それどころか、大企業では最近少しずつ増えてきた感もある。  そういう人はとにかく上司受けが良くて、陰ではこそこそと嫌味なことをしているくせに、上司に対してはみんなに聞こえるような大きな声で猫なで声だ。上司の方もおだてられて悪い気がしないのだろう、何だか楽しそうにやっている。  そういう社会の仕組みなのだから、それのどこが悪いと言

          再発防止対策

           どうしてそうなったのかを考えることは、今後同じことが起こらないようにするための、つまり「再発防止対策」を作るために必須要件だと思うだろうか。恐らく多くの人が当たり前にそう考えていると思われるが、決してそんなことは無い。  今回起きたことの原因となった何かを排除すれば同じことが起こらないのは正しいが、その対策によって同じことが全く起こらないことにはならない。そのことに気づいているだろうか。    まず第一に、そうした再発防止対策の考え方は物事を単純化し過ぎなのである。実際に起

          猫の言葉

           実をいうと、私は猫の言葉が分かる。つまり猫と会話が出来る。  ペットを飼っている人は誰でもそう思っていると思うが、迂闊にもペットに関心がない人にそんなことを言ったら、シュークリームって肌荒れに効くよねと言った時と同じくらい変な目で見られるから気をつけた方が良い。わかっていると思うが念の為。  猫との会話は実に楽しい。まず第一にこちらの言う事をちゃんと聞いてくれる。そしてもっと嬉しいことに、ちゃんと返してくれる。  今日は雨が降って天気が悪いねと言えば、雨のせいでいつもは窓

          世界の工場はどこに行く

           中華製品は粗悪品。  そうした考えを持っている人が未だに多い印象だ。恐らく値段の安さに飛びついて劣悪な安物や偽物をつかまされた経験がそう言わせているのだろう。中国の工業製品はピンキリで、確かにどうしようもないものも多くあるが、上位の中国企業が製造した製品は世界でもトップクラスの技術力を誇っている。技術力だけではなく、経営のスピード、合理性、生産性を含め、日本の製造業は遠く及ばなくなっているのが実情だ。世界の中でも日本製品は優秀で、世界中で日本製品が売れているという幻想を抱い

          世界の工場はどこに行く

          映画『BlackBerry』

           どんなことにも光と影がある。    技術オタクが作り出した素晴らしい製品も、それを理解して売ってくれる人がいなければ購買者には届かない。届いたとしても時代の後押しが無ければ皆に受け入れられるものではない。  カナダ発の携帯情報端末の新しさは、キーボードを備え、貧弱な携帯電話回線でもメールのやり取りが出来る革新的な技術的発想の賜物だった。スマートフォン市場で一時は世界第二位となり、アメリカのスマホ利用者の4割近くが使用していたほど爆発的な人気を博していた。  このスマートフォ

          甘えた構造

           就活の学生たちが面接の際に口々に言う、寄り添った仕事をしたいという真意を長らく計りかねていた。暗記した就活マニュアル通りのセリフを言っているだけとは感じられないその言葉の意味するところが私には良く分からないのだった。  先日、こんなことがあった。  自宅への帰路、路線バスの二人掛けの席で隣り合った会社員風の若い男性のことだ。とあるバス停に停車した際に窓側に座った彼は何だかモゾモゾしていた。降りるのかと思って私は席を立とうか迷ったが、だからといって彼は通路側に座る私を見やる

          言葉の欠陥

           言葉は優れた伝達の道具でありながら、その確実性は思っているより低い。口頭にしろ文字にしろ言葉を使って伝える際には、相手も自分と同じだけの言語能力を持っているはずだという暗黙の了解に立っている。相手の外見がステレオタイプな日本人と異なる場合に何と話しかけるか一瞬でも躊躇するのはその左証だ。日本語を理解出来そうな人には日本語で話し掛けられるが、そうでなければコミュニケーションの端緒から躓いてしまう。  日本語が喋れたとしても、文字を読むことは出来ない可能性だって本来はゼロでは無

          全ては経営者の責任?

           日本企業の生産性が上がらないのは、何をおいても経営者のせいだ。最終責任が経営者にあるからというだけではない。合理的な判断が出来る経営者が極めて少ないのだ。  合理的な判断をするためには客観的な事実の把握が必須だが、日本の経営者の多くは客観的事実よりも、人間関係にしか目が向いていない。  どうしてそうなるかと言えば、人の入れ替えが出来ない労働制度だからだ。やめさせたくとも首に出来ないのだから、内部調和が何よりも大切ということになる。  これはもはや経営者の力の及ぶところでは

          全ては経営者の責任?

          自分と他人の境界線と寛容

           周囲に対する目は冷めている。取り巻く社会の中にいるという感覚よりも、社会と自分の間には見えない膜がある。その膜は、外から内、つまり社会から提供されるものは通過するが、内から外には出さない様になっている。つまり社会の甘い汁は欠かさずに吸い尽くすも、社会には不寛容。そんな人が多いように思うことがある。  それはつまり、他人に対して不寛容ということでもある。  個人と社会の関わりを考える際には、その人の考える自他の区別が問題となる。一般的に自他の境界線は流動的だ。多くの場合、自

          自分と他人の境界線と寛容

          金融リテラシー?

           金融リテラシーは、お金や投資についての知識のことだけではない。  お金って、投資って、どんなものなのか、その本質をどれだけ理解しているかのことだ。知識と理解の違いは大きい。  日本のタンス預金はどうしてこんなに貯まったのか、インフレになるとどんなことが起きるのか、今の物価高はどんな原因で起きているのか。そうしたことについて、知っているかどうかではなく、考えて自分なりの答えを導けるかどうかが問われる。  海外では、政府も会社も個人の職や給与を守ってくれず、いつでも首を切られ

          結婚しても上とか下とか言う時代なのか

           私が昭和生まれで昭和育ちの、バリバリ昭和な価値観を持っているからそう感じるのだろうと思っていたが、必ずしもそうでないかも知れない。  たまたま私の知り合いがそうだというだけで、世の中一般の傾向では無いのかも知れない。  何のことかと言うと、結婚して子供が出来た夫婦の関係性のことだ。  もちろん、個々人の自由だから当人たちがそれで良いのなら、他の夫婦の事を私がとやかく言う権利など無い。だから余計なお世話と思われても当然だろう。それを承知で書いているのは、もしこれが世の中全般

          結婚しても上とか下とか言う時代なのか