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「てみずくんは撮影(うつ)したい!」っていう”ない”アニメの話。

みんな見ました? てみうつ!

あ、見てない? そりゃそっか。そんなアニメないしね。
でも、僕は確かに観たような気がしてるんですよね(気がするだけ)。
まぁ僕が12話+劇場版のあらすじをTwitterで140字に収まる程度に書いただけで、お話の周辺情報はお話のパターンを妄想とかで埋めていったほしい。
ちなみに友達に見せたら全話と劇場版の感想を貰ったりしてすごい楽しかった。
というわけで読んでくれているみんなも一緒に”ないアニメ”「てみずくんは撮影(うつ)したい!」の幻覚をみよ?

ことの発端のツイート

とりあえず第7話が決まってしまったので8話で落ちを付ける。

第一話からはこのツイートから。

基本的に登場人物は、内輪のVRChat(VRSNS)のフレンドたちから拝借。
これを友達のカエサルさん(毎週水曜お昼に4コマ漫画連載中)に読んで貰ったら、めちゃめちゃなファンが誕生した。

「てみうつ!」の感想

※感想を読む前に1話からのやつ読んで!※
※感想を読みながら対象の話を見直して!※
上記の注意事項を守るとたぶんより強めの幻覚が見えます。

1話「転校生がやってくる」

今どき主人公が転校生の学園コメディってベタすぎかよ大丈夫かと思われて始まったアニメ本放送だが、本編開始してからなかなか主人公が登場しないことがかなり新鮮だった。ED前に主人公がやっと現れるが、それまでに登場していたヒロイン達の方がキャラが圧倒的に立っており、主人公は舞台装置でヒロイン達を魅力的に見せていくタイプのアニメかなと思った。私はゲーム好きが集まるサークルに在籍しているキャラ(髪が長くて不良っぽく、言葉遣いがガサツ)の見た目が好みだった。けどすごいサブキャラっぽいしあんまり今後は登場しないだろうなあ。

2話「恐怖のサークル勧誘/朝4時の悲劇」

主人公が色々なサークルに勧誘されていく話。キービジュアルとかOP映像とかで主人公が映像系サークルに入ることは薄々察していたけれど、Aパートは色々なサークルを体験していて私は「早く本題に入れよ」と思っていた。でもヒロインの紹介だと思えば女の子は可愛いから見れた。CM後のBパートから一気に本筋に入ったなという感じだったけれど、こっちが圧巻だった。過去に作られた映像作品を見て感動するという話は創作をテーマにした漫画・アニメ作品にけっこうある展開なのだけれど(例えば、漫画「ハックス!」のような)、このアニメではそれを「感動的」ではなく「絶望」として描いているのが面白かった。映像を見た主人公は感動を通り越して「とても及ばない圧倒的な実力差」を感じてしまうという「憧れを通り越した絶望」とでもいうような描き方には膝を打った。タイトルに「悲劇」とはこういう意味だったのかと納得。この時点で視聴継続決定。

3話「撮るべき映像(え)とは」

この回から、主人公のてみずは舞台装置でなくきちんとメインキャラだということがわかってきた。先輩に負けないような映像を撮るために様々な協力を仰ごうとするが、基本的にヒロインに何かを(音楽を付けて欲しい・出演して欲しい)お願いするという形が多く、私としては「そこはお前が頑張ってどうにかしろよ」とも思ったが、"映像"という総合芸術をやる以上仕方ないのかなとも思った。主人公が一人で音楽理論を勉強するだけのシーンなんて見たくないものな。Bパートで登場したオリゼリというヒロインは、なんで1話と2話にほとんど登場しなかったんだよってくらい正統派人気キャラの風格があった。このアニメの構成が誰か知らないが、このキャラは第1話から登場させるべきだろ。一番グッズが売れるキャラだぞ。本放送後、Pixivのデイリーイラストランキング1位が人気絵師のオリゼリイラストで「やはりな」と思った。

4話「そこに笑顔(え)があればそれで良し」


主人公の撮る映像の方向性が固まる回。こういう作品で主人公がコメディを撮るのって珍しいなと思った。しかしコメディアニメ作品の中でコメディを撮るという入れ子構造の作品で、シリーズ脚本スタッフは気合入ってるだろうなと思った。  Bパートの映像対決では予想していた通り"勝敗"はそんなにはっきりとはつけない感じに終わり、これは今後の話で「今度こそ決着だ!」ってクライマックスにもってく展開だろうなと思った。

5話「風紀を守らば清楚に非ず」


風紀委員のキャラに監視されるがそれを逆に撮影するという回。監視しているつもりが逆に撮影されていることに気付かないポンコツツンデレ風紀委員のちかしろというキャラがあざとい。カーテンを閉めずに着替えをしているところを撮影しそうになるという露骨なサービスシーンがあって、昔ながらの深夜アニメを感じた。最後にはちかしろのかわいいシーンがあって主人公てみずの映像撮影能力が証明されるのだが、おまえはコメディを撮るんじゃなかったのかと私は思った。まあコメディといってもギャグではなくハートフルな作風ということなのだろう。

6話「 水(あお)より碧く」


主人公視点じゃないし学園がほとんど登場しないため、最初は「アニメ間違えたか」と思ったが、てみうつだった。ヒロイン視点だとてみずくんが振り回されるキャラじゃなくて天才肌の芸術家っぽく見えているのが面白い。この「ヒロイン視点だと主人公がすごい奴に見える」という見せ方・主人公の立て方はなんとなく今どきな創作技法(俺TUEE)な気がして、先週はMF文庫のラノベアニメみたいな展開していたのに今週はだいぶ雰囲気違うなと思った。緩急があって良いなと思ったが、最後に古くて年季の入ったカメラで写真を撮って終わるのは「オシャレすぎだろ」と思った。先週おまえヒロインのパンツ撮りそうになってたんだからなと心の中でつっこんだのは私だけではないはずだ。

7話「ビューティフル・ドリーマー」

5話のヒロインが登場したと思ったら、なんかいきなり今までとは作風の違うラブコメ回が始まったので驚いた。デートを通して主人公のてみずくんの素直で情熱的な性格が描かれていて、ヒロインよりむしろてみずくんのが魅力的に見えたのが良かった。しかしBパートで何やらおかしな雰囲気になって、喫茶店の隣に遊園地があったり、遊園地の中に書店があったりと現実的でない描写が続く。決定的だったのはヒロインのちかしろが言った「レストランまではワープで行く?」というセリフで、明らかに現実ではない描写がラストの引きになってこの話は終わった。オチがなかったので来週に続く話なのだろうが、いきなりの2話構成とSF展開に正直ビビった。「なんでいきなり?」という気持ちと「ここから佳境に繋がるんだろうな」という読みが合わさり、来週の放送が楽しみだ。ここでの盛り上がり具合が作品の評価とブルーレイの売り上げに大きく関わってくるだろう。

8話「夢で現で、」

先週の展開が、人の夢を操作する(渡り歩く?)装置の実験結果だったことが明らかになり、てみずくんが開発者の科学部部長の天才発明家キャラに詰め寄るというオチだった。ここに来て今まであんまり登場してなかった科学部がポッと出でオチを持っていく展開は脈絡がなくて驚いたが、てみずくんの「夢の中は撮影できないんだから意味無いですよ!」というツッコミは彼らしくて良かった。 それと、「夢を操作する装置って凄すぎるだろ」と感じた。ここにきて作品全体のリアリティレベルを下げるのにどういう意図があるのか見当がつかないが、まあ学園コメディだし深く考えるべきではないなとも思った。そして、どうやら夢を操作されてたのはてみずくん側だけではなくちかしろ側もだったらしく、その描写でこのアニメの「誰がメインヒロインなのか」という問題に終止符を打った気がする。

9話「彼方よりのシシャ」

学園に不審者がやってきたのだが、映像研の面々は「非常事態→カメラを回さなきゃ!」という思考の持ち主なので全然ヤバい雰囲気が出ない。そんな中で「逃げましょうよ〜(泣)」と常識を訴える副部長キャラが可愛くて良かった。こういう非常識キャラの中に残ったツッコミポジションのキャラに私は愛着が湧いてしまう。このキャラも1回くらいエンドカードに描かれないかな〜と思った。 不審者はなんか超常的存在っぽくて、先週に引き続きただの日常学園コメディではない雰囲気になっていた。私は学園コメディっぽい雰囲気も好きだが不穏な味付けも嫌いではないのでちょっとワクワクした。しかし何故かてみずくんが行方不明になっており、smailと名乗る不審者が彼を訪ねて映像研に現れたりと、完全に物語が非日常に突入しているのを感じた。てみずくんを訪ねる不審者に対し映像研のメンバーが「何者だ」と返すのだが、その中に当たり前のようにちかしろも居て「おまえ風紀委員じゃないんかい」と思った。 エンドカードはぽよよんろっく先生の描くオリゼリだった。残念だが順当。夏コミではアニプレックスブースでこのイラストのタペストリーが出ると予想。もしくは一番くじのE賞クリアファイルになる。

10話「笑いが先か、笑顔が先か」

てみずくんは行方不明になったのではなく逃げていた。そして、彼は未来から現代にやってきた人物だったという衝撃の事実が判明する。 彼は23世紀初頭に起こった大戦で失われた文化財を時空移動を利用して収集・復元する「時空文化回収者(Dimension Returner、作中では単にリターナーと呼ばれていた)」として、21世紀の映像文化を保存するため派遣された特派員であった。しかし彼は映像を復元する任務の中で自分も創作することに憧れていき、この時代ならばその願いが叶うかもしれないという希望に捕らわれていたのだった。 ここまで来て、第二話で主人公のてみずくんが「先輩の映像を見て絶望するシーン」が、「自分が産まれる何世紀も昔の人間が撮った映像に感動させられる」という衝撃込みでの絶望という演出だったというのにはなるほどなと思った。ここにきての伏線回収はかなり熱い。 そして、未来人であるてみずがこのまま映像制作を続けていくとこの時代の文化に影響を与えすぎるという理由で、smailが迎えに来たという事だった。しかしそれはつまり、てみずの映像監督としての才能の証明ということに他ならないため、リターナーとしての職務と創作者としての使命感に板挟みになるてみずくんの葛藤が描かれていて見事だった。 そして最終的に、てみずくんは結論を出した。 「自分は映像制作で有名になりたいんじゃない、見た人を楽しませたい、笑顔にしたいだけなんだ」 この台詞はアニメ本編を通して一番良いセリフなんじゃないだろうか。

11話「此方より向かう先」

未来に帰ることになったてみずくんだが、映像研の連中が「最後に勝負していけ」と突き付ける。もう少しこの時代に居てもいいかと尋ねる彼に、smailが言った「好きにしたまえ。どうせ君が戻るのは2241年の4月1日17時00分だ。こちらにどれだけ居たとしても関係はない。もちろん、残業代も出ないがな」というセリフがとても良かった。先週も名シーンだったがこのシーンも私はとても気に入った。 対決用の映像を編集したてみずくんは、後世に影響を与えないために自分の撮った映像のクレジットに匿名を記録する。そしてそこに選んだ名前が、第二話で見た映像にクレジットされていたものと同じ「ジャぱん学園映像研一同」だったのはニクい演出だと思った。

12話 「It Came From The Late, Late, Late Show」

Aパートは登場キャラが過去を振り返る回で、今までのキャラが総出演して少しづつ思い出を語っていった。この形で振り返るならぜひ2クールでやってほしかったなと思いつつ、そこはまあ二期に期待したいところだ。 BパートはアニメOPをオープニングのフル尺4分30秒のMVのように映像が足されたものが流れた。恐らく作中では30分くらいの尺になっているのだと思うのだが、驚くべきはその4分30秒の間にほぼ止め絵が無くずっとぬるぬる動くアニメーション映像だったということだ。科学部の発明したマシンが爆発するシーンなど、コメディアニメにはもったいないと思えるくらいの精緻な爆発描写で、ニコニコ動画のこの回の動画ページには「令和のAKIRA」というタグがあったのが面白かった。 映像試写会が終わって大変盛り上がった会場を後に、てみずくんは未来へと帰る準備を始める。各ヒロインと別れの挨拶を終えるのだが、彼と挨拶するどのヒロインも涙を流していなかった。でもそれはヒロイン全員が既に涙を流した後、もしくは別れた直後に涙を流すという理由で、「人を笑顔にさせたい」と願ったてみずくんとの別れの挨拶だから最後まで笑顔でいようというヒロイン達の健気さにはとても心打たれた。 「写真なら……いいよね?」と聞く碧海島さんに対して「どうせなら皆で写りましょうよ!」と答えるてみずくんには「そういうトコやぞ」と視聴者の誰しもが思ったことだろう。しかしその後碧海島さんが不意討ちで頬にキスして自撮りを撮るシーンは良かった。こういう、落ち着いた雰囲気のキャラがいきなり不意討ちするシーンは心に響く。 EDは特殊エンディングで、てみずくんのいなくなった学園を様々な角度から映したカットが続いていく。切なさが爆発する演出で、見ながら「これは二期やって欲しいけど、ここで終わるのが作品として美しい……」とジレンマをこちらに残してきた。

視聴後の感想

アニメ本編を通して、この作品は映像を制作するための目的とはというのがテーマだったのかなと思った。個人的には作品にテーマが絶対に必要とは思っていないが、10話のてみずくんの決意のシーンが一番描きたかったシーンだったのかなと思った。また、それが10話以降の演出に深みを与えていたのと、辛気臭いシーンがほとんどないのは私好みだった。 また、今気づいたのだがてみずくんが未来に帰るために乗っていたタイムマシーン「マシン・ヒイラギ」の名前に冠されていた「ヒイラギ」という名前は、人の夢を操作する機械を開発していた科学部の部長の苗字「柊」と同名であり、天才発明家の遺伝子が後世にきちんと継承されてるじゃねえかと思った。こういう小ネタが他にも色々あったのだろう。

劇場版「新世紀がんも合作」

二期ではなく劇場版製作決定が発表されたときは「そっちで来たか~なるほどね~なるほどなるほど」と思ったが、シアターで本作が公開されたのはアニメ本放送から2年後だったのでどれくらい当時の熱を思い出せるかなと心配していたが、劇場に入って流れるOP曲を聞いた瞬間「あの4分30秒」がフラッシュバックして完全に「観る体制」になった。 内容は、アニメ本編の5年後のシーンで、様々な登場キャラによる語りによって始まる。そのキャラの現状と、過去(アニメ本編の時間軸)を振り返って当時の映像研に近づいていくというオムニバス形式だった。 「『学生キャラの数年後を描く二次創作って一定の人気あるよね~』というオタクの妄想を公式がやっとるやんけ!」というのが最初の感想だ。ヒロイン達と映像研のメンバーの未来が各々描かれていたのだが、一番面白かったのは映像研の副部長キャラが超人気YouTuberになっており、しかも学生時代とは違うボケキャラでウケているというシーンだった。これも人を笑わせるのが好きなてみずくんの影響と言ってはいるが、「なんでもかんでもてみずくんのせいにするなよ」と正直思った。 当時の振り返りがそのまま彼らの映像合作になり、私達が見ている映像が彼らの合同制作作品になっているのがわかる。その作品の中心となる人物はもちろんてみずくんで、彼を様々な視点で見られるのが面白かった。それぞれのキャラ毎にてみずくんの見え方が微妙に違っていて、例えば映像研のメンバーからは「映像撮影に命をかける芸術家肌」に見えている一方で、ヒロインの風紀委員ちかしろからは「校則を守らない奔放さと熱い心を持った豪快な男」に見えていたり、オリゼリからは「学園のマドンナである自分に対等に接してくる不遜ながらも怪しい魅力を備えた男」という評価だったのは笑った。 一番泣けたのはもっともっと面白い映像作品を作り出せばまたてみずくんが会いにきてくれるのかもしれないと考えた映像研の部長のシーンで、創作にかける熱量とてみずくんへの愛がぶつかって狂おしいほどに映像制作に入れ込んでしまっていて、私はすごい好感度が高くなった。劇場版で一番株を上げた登場人物だと思う。 最終的に作られた映像が終わった後に映像研のPCにメールが入り、BGMがなくなって「おや……」と思ったが、そのメールの送信日時が「2241年」となっているのを見て「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」と誰しもが思ったことだろう。ここまでの80分近くの映像を見て「生のてみずくんが見てえよお……」と思っていた観客が一同に沸いた瞬間だった。 てみずくんの撮った映像と、未来でてみずくんは匿名じゃなく映像制作を始めたという話がメールに添付されており、その映像が真のエンディングとなって終わる。ここもやはりアニメ本編最終話のあのシーンを思わせる演出で、絵がぬるぬる動きまくるものだからでかいスクリーンで見ると迫力がありすぎて目が疲れる。濃いファンの間では「スクリーンの真ん中で見る・右端の席から見る・左端の席から見る」で別物の映像とまで言われており、私は二度しか劇場では見なかったが真ん中から見る映像がやはり好きだった。 観終わった後は入場特典の設定資料小冊子を見ながら帰宅したが、中身はアニメ本編のモブキャラとかの細かいネタがたくさん載っていて、これを読みながらアニメ本編また見なきゃじゃんと思った。

これ書いてたら土日が終わったらしい。ほんとにありがとうございます。
感想読んでたら本当にあった気がしてくるし、俺も観た。
各輪の制作秘話みたいな各話解説も書いていきたいね……。
誰かほんとにアニメ化してくれないかな……脚本ちゃんと書きます……。
最後にカエサルさんが作ってくれたアニメ「てみずくんは撮影(うつ)したい!」で終わります。(この記事のトップで使ってたやつだよ!)

みんなもアニメの感想、良かったら教えてね!

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