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獣 ke

動物ってなんであんなに可愛いんだろう。さっき飼っているプードルちゃんがキーボードを歩いた。

Vc lo 

画面を見ると踏んだ時にタップした文字が映し出されていて愛おしさを感じた。

以前、お風呂上がりに化粧水を顔に塗っている時に、テレビか雑誌かで見た「化粧水はより浸透するように叩き込みながら塗るのが◎」というのを実践してみようと、鏡の前で顔を痛くない程度にパンパンパンッと両手で叩いてみた。そしたら近くで座りながらこちらを見ていたプードルくんが「キャン...キャァーン」と体制を低くしながらこちらを見つめ弱々しく吠えてきた。
「ん?」と返事はしたけど再び顔を叩き始めるとこちらにジャンプしながら「キャン!」と困った顔をしながら訴えてきたから、プードルくんが何を訴えたかったのかようやくわかってきた。

きっと私が自分で自分を殴ってる姿が異様に映ったのかな。それを止めようと吠えていたのならプードルくんはなんていい奴なんだ。そうだよねえ、もし私が犬なら自分の顔を殴ってる飼い主を見たら「こいつ頭おかしくなったか」って思うもん。


歩 Ayumu

私が西武池袋線にある、大泉学園という駅に住んでいた頃の話をする。離れてみて今思えばあそこほど住みやすい街はなかったと思う。駅の周りにはゆめりあとグランエミオっていうスーパーや雑貨も兼ね備えた複合施設もあるし、古本屋も古着屋も飲食店も神社も駅近にあって便利だった。夏になると神社の近くには屋台がちらほら出てきてそれはもう良かった。欲を言えば銭湯があれば最高だったな、なんて思ったり。大学一年の頃は煙草を吸い始めたぐらいだった。

真夜中の三時前にベランダに出て月明かりに照らされている道路や流れゆく雲をボーッと見つめていたら目の前の電線が微かに上下に動いている。ええっと反射的に電線先を見てみると黒い塊がもさもさとこちらに向かってきていた。「...猫かな?...猫って電線歩くんだ。」と思っていたらついに目の前の電線まで歩いてきた。でもあれ、尻尾が重たそうだし猫より毛が多いように思う。
月に照らされようやく正体がわかった、思わず「あ、」と声を発したらビクッと震えこちらを見てきた。二秒ほど目が合い向こうも「まずい」と思ったのかそそくさと電線を渡り森のほうに逃げていった。

「都会のタヌキって電線使って夜出歩くのかぁ。」

なんだかジブリにそんな狸のお話があったような。
それにしてもタヌキって...中学校の下校途中以来、遭遇したことがなかったのにこんなところで会えるとは。

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