【小説】「渋谷、動乱」第3話
渋谷駅に向かって走る電車内で、SNSで突然、地鳴りに関するツイートが増え始めたことに気付き、秒で流れてくる不特定多数のつぶやきを、それこそ、つぶさに調べていた錦戸愛斗は、まるでそうなることをあらかじめ知っていたかのように、「来たか」とひとり呟いた。それから間もなく、電車は渋谷駅に到着し、大きく呼吸をするかのように、愛斗もろとも、勢いよく乗客をホームに吐き出した。急ぎ、改札へ向かう人波に乗らず、愛斗はあえてゆっくり歩き、改札を抜けて地上を目指した。
スマートフォンに目を落と