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(ネタバレ)シン・ウルトラマンの山本耕史さんの役柄が良かったので解釈

シン・ウルトラマンを観てきました。

メフィラスがね、いいんですよ。
昔のウルトラマンに出てきたメフィラスは人間をそそのかす神話の悪魔みたいな不気味な存在でしたが、今回は深々とお辞儀をし、まず名刺を出し、呑みニケーションをする。辺境の星の、いち地方のものに過ぎない礼儀を見事にやってみせることで、己の知性と教養の高さを見せつけてくるのです。宇宙人がカタカナで「メフィラス」と書かれた名刺を出すのはシュールで笑ってしまいますが、同時にこいつ……手強い! と思わせます。でも思惑通りにいかなくなった挙げ句、ウルトラマンと対決する。

帰宅中に考えてましたけど、昔のメフィラスとは違うんですよね。何度も日本語のことわざ(美徳)を繰り返すのは、こういう微妙な言葉のニュアンスも理解できるんだぞ……という示威行為ではあるんですけど、彼が非暴力を何度も口にする所といい、なんだか紳士的な在り方へのコンプレックスを感じさせるのです。書かれていないことを勝手に書いてしまうのですが、メフィラスは、光の国の高貴なウルトラマンとは正反対の、卑しい身の上からの成り上がりなのではないでしょうか(想像です)。

地球人を軍事利用するのが目的だと言っていますが、同時に「美しいこの星を愛している」とも言うメフィラス。彼は、ウルトラマンが神永(主人公)に見たような黄金の精神ではなく、未熟な人類の粗暴さを「愛している」と言ったのではないか……自己愛めいて……などと思います。だから、彼はウルトラマンとは相容れない見方ですが、ありのままの地球を愛しているのでしょう。

戦いぶりはウルトラマンと互角かそれ以上の描写がされますが、あの強さを実現するために、メフィラスは比べものにならない対価を支払っているのだと思います。種族の圧倒的な差を埋めるためにコストをかけた、おそらくは見栄ですよ。これも想像ですが、長期戦になったら一旦休めば回復できるウルトラマンとは違うのです。というわけでメフィラスが好きです。嘘など一言も言っていないのに、山本耕史さんの演技が胡散臭さを滲み出させていて、素晴らしかったです。

八つ裂き光輪を弾いたり、肉弾戦を仕掛けながら(今の衝突で主椀筋肉が断裂、ジェネレータもサージ、流石は光の巨人だ。筋肉の構成を変更、サブに繋ぎ……他の外星人もこれを観測しているだろう。種族の優位をプレゼンするチャンスでもあるか……劣勢は見せず、このまま場を圧倒する!)とか打算しつつ戦っているとしたら、物凄く格好いい。

そういうキャラクター造形が好きだというだけの話になってしまいました。

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