民/伊藤充季

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最近の記事

コミティア141について

はじめに 2022年9月4日に、東京ビッグサイトで開催される「コミティア141」に参加を予定しております。スペースは「ま-05b」です。ジャンルとしては、「文芸」ジャンルでの参加になります。本記事では、当日頒布する作品について紹介しようと思います。 新刊『バブルガム・レコード』 コミティア141において頒布する新刊です。「音楽と感傷」をテーマにした合同誌で、文章が6篇収録されています。そのうち4篇が短編小説で、あとの2つが評伝/評論です。A5サイズ、表紙・裏表紙をふくめて8

    • 2019年から2020年に書かれた日記 (のようなもの)

       はじめに 先日、以前使っていたブログの下書きを覗いてみたところ、書いたまますっかり存在すら忘れていた記事が何本か出てきました。読んでみると、どうやら私はそのブログを日記のように運用しようと試みていたらしく、残されていた記事のなかには当時のことが書かれていたり書かれていなかったりしました。 せっかくなのでこちらに転載しようと思ったのですが、あまりにも文章が雑過ぎたり、中身が面白くなかったりと載せられないものが多く、加筆修正をしたうえでかろうじて載せられるものを選んだ結

      • 『垂涎の鐘』(短編小説) (非現実創作合同誌『(アウトサイド)ワールド』収録作品)

        はじめに――『(アウトサイド) ワールド』について この作品は、10月31日に福岡文学フリマで頒布した、「非現実」をテーマにした創作合同誌『(アウトサイド)ワールド』のなかの一篇です。 『(アウトサイド)ワールド』収録作品(@はTwitter ID)                あきうね伊代 (@mitomi_kanto)『青春の輝き/明るい未来が見えてきた』 瀬希瑞世季子 (@sekizui_sekiko)『unrealistic feeling after the

        • 知性学論(短編小説)

          0.    サパカルーニャ・シクロ老博士は知性学者だが、同時にすぐれたエッセイストでもあった。世間に広く知られているわけではなかったが、熱心なファンはいた。博士がこれまでに発刊してきたエッセイ集はすべてで五冊で、そのうち四冊がすでに絶版となっていた。  数か月前、そんな博士のもとに、とある出版社から小説執筆の依頼が入った。 「サパカルーニャ・シクロ博士。あなたに小説を書いていただきたいのです」 「小説? 小説というと、あの小説のことかね?」 「そうです」 「それは、頼む相手を

        コミティア141について

          ビーンバッグから(短編小説)

           おれにはわからない、とビーンバッグは思った。 《おれの腹のなかには、大粒の豆がたくさんつまっている。豆をつめたのはこの家のばあさんだ。ばあさんが、このあいだ生まれた赤ん坊のために遊び道具を、と言っておれを作ったらしい。なんという余計なお世話だ! 赤ん坊はおれをつかんで投げたり、舐めたり、ひどいときは口に放り込んで噛んだりしやがる。いいか? おれは本来、「お手玉」という遊びに使われるべき道具なんだ。それはおまえのばあさんだって、おまえに説明していたじゃないか。「ほら、おまえの

          ビーンバッグから(短編小説)

          Di Gi Charatお花見すぺしゃる 第2話「さくら さくら」

           突然、デ・ジ・キャラットの楽曲(すべてではないようですが)がサブスクなど音楽サービスで配信開始されて大変驚いたので、記念にデ・ジ・キャラットの大好きな回について書いていこうと思います。  大好きな回を紹介するといっても、すべての回が良いので、選ぶのに困りましたが、ぎりぎり春といえる季節なので(執筆時は五月)、お花見すぺしゃるの第2話『さくら さくら』について書こうと思います。  少しあらすじを書いてみます。  まず、いつものメンバー(ゲーマーズの一行)で花見をしに、上

          Di Gi Charatお花見すぺしゃる 第2話「さくら さくら」