#5 口唇口蓋裂治療記 No.2 「顔にあった『裂け目』」

(シリーズ編の第2回目となります。第1回目は#4に掲載していますので,まだご覧になっていない方は,まずそちらからお読みいただけますと,内容がスムーズに入ってくるかと思います。)

このページに来ていただき、ありがとうございます。
今回は,口唇口蓋裂治療記として,期間としては誕生から1歳半までと、その間に行った2度の手術についてお伝えします。


誕生~誕生しばらく

家には生まれたばかりの頃の写真やDVDがありますが,生まれたばかりの私の顔には裂け目がありました。口唇口蓋裂の中でも「右側完全口唇口蓋裂」という種類で,唇の右側から鼻の中までが生まれてくるまでに癒合せず,裂けた状態で生まれてきたのです。口唇口蓋裂症は通常、誕生前にエコー写真などを用いて診断が可能で,生まれてくるときに予め準備や心構えをしておくことが出来ます。しかしながら私の場合は「事前の診断では分からずに、生まれてきたのその瞬間に病気が発覚」したのです。両親曰く,無茶苦茶びっくりしたと。まあそりゃそうですよ。生まれてきた我が子の顔に裂け目があったら。
誕生後、すぐに新生児集中治療室(PICU)に入室し、全身の健康状態を管理した後に,翌朝近くの大学病院に救急搬送され,#4の回でもお伝えした合併症の有無についての緊急検査を受けました。結果は特に異常は認められずに,口唇口蓋裂症のみの診断となりました。

1度目の手術 (0歳3か月)『口唇形成術』

生まれてから3か月の間は,手術待機の期間として,身体が手術に耐えられるだけの体力が付くまでの待機期間となっていました。つまりは,生後3か月は裂け目が残っていたわけです。ですが、母親はよく自分に話しかけてくれていたようで,私もそれに応えるように良く笑っていたと。顔に裂け目があったとて,笑顔で笑っていることは映像からも分かりました。

生後3か月が経った2004年10月、1度目の手術の時がやってきました。
1度目は唇から鼻にかけての裂け目を治す「口唇形成術」です。手術時間はおよそ3時間。裂部を繋げるように縫い合わせ、唇の形を作りました。
この手術を終えた段階で、ようやく顔を外から見た時の裂け目が無くなりました。外から見れば、普通の赤ちゃんです。このころの写真を見ると、面影がものすごく残っていて、昔と今じゃあまり顔は変わっていないんだなぁと思っています。
唇と鼻の裂け目は治りましたが、まだ直っていない裂け目があります。口唇口蓋裂という病名の通り、口の中にある「口蓋」にも裂があるのです。この手術を、生後1年半の時に行いました。

2度目の手術(1歳6か月)『口蓋形成術』

生後1年半が経った2006年2月、2度目の手術を受けました。
今回は、口の中の天井部分、口蓋の裂け目を治す『口蓋形成術』です。
鼻と唇の裂け目から繋がるようにして、口蓋にも裂が生じていたので、この裂を閉じるように縫合手術を受けました。手術時間はおよそ3時間。この手術を終えたことにより、ようやく口を開けた時に見える裂け目も無くなりました。今も、口蓋は縫い目沿いに僅かに凹凸があり,ここに裂があったんだなぁとよく分かります。

(次回予告)

ただ、この時点では、まだ「裂」が残っているんです。
実は、口蓋にある骨「上顎骨」にも、裂け目(一部骨が無い状態)があったんです。この骨の欠損している部分に自分の腰から採取した腰骨を移植する手術を、6歳の時に受けました。この時のことは、次回No.3 (#6)でお伝えしています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。


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