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#10 口唇口蓋裂治療記 No.7 「人生で最も大きな手術②」(入院22~24日目)

(シリーズ編の第7回目となります。第4回目は#9に掲載していますので,まだご覧になっていない方は,まずそちらからお読みいただけますと,内容がスムーズに入ってくるかと思います。)

このページを開いていただき、ありがとうございます。
今回は、口唇口蓋裂治療記第7回として,前回に引き続き2023年の入院・手術の続き、期間としては入院22~24日目にあたる部分、当該入院の2回目の手術、通算として6度目にあたる手術について、お伝えします。

今夏行った治療の一覧

今回の入院期間において行った治療が以下の通りです。
[①5度目の手術]
 (A)上顎骨切(Le fortⅠ型術)
 (B)上顎骨延長
 (C)上顎骨延長器装着
[②5度目の手術と6度目の手術の間]
 (D)上顎骨延長(Bの続き)
[③6度目の手術]
 (E)上顎の固定
 (F)下顎骨切(下顎枝矢状分割術)
 (G)下顎後退
今回は③(E)~(G)について。

6度目の手術(19歳2ヶ月)『下顎骨切(下顎枝矢状分割術),下顎後退,固定』

2023年9月13日,今回の入院2度目,通算6度目の手術の日がやってきました。
前回の手術では,上顎の骨切をし,前へ延伸する治療でしたが,今回は下顎の骨を切り,後ろへ下げる治療です。

前日までは「手術はその日の2件目なので12時ごろに手術室に向かいますよ」と言われていましたので,私自身もそのつもりでいました。前回の朝イチの手術と違い,時間的にも精神的にも余裕があると。それもあり前夜はかなりぐっすり眠ることができました。

が,

ここでハプニングが起こるんですね。朝8時半ごろに担当医から連絡が入りました。

「急遽朝に前倒しになりました。」

なんと,1件目に予定されていた手術の方が急遽延期になってしまい,2件目に予定されていた私の手術を先にやることになったんですね。しかも,連絡が入ってから30分後の午前9時から手術を開始すると。いやいやいやいや,急すぎん?って。
あまりにも急だったので焦りましたが,急いで準備をしました。朝イチの手術ならば,手術室で点滴の針を刺すのですが,前回の手術室での騒動(笑)がありましたので,特例として病室で穿刺することに。これはスムーズに終わりましたね。

荷物などをまとめた上で,午前9時5分,手術室に向かいました。9時15分ごろに手術室に入室し,9時20分ごろまでには麻酔で意識を失っていたはずです。

前回に引き続き,麻酔が効いた状態で採血や術直前の治療を行い,午前10時30分ごろから手術が開始されました。まず,上顎の延長器を外し,最終的な位置で固定。これ自体にはあまり時間はかからなかったようです。
問題は下顎。まず,口腔内の左右下部を切開し,骨に到達。医療用鋸で骨を切断。「下顎枝矢状分割術」という術法で実施されました。左右と前の3パーツに分離したのちに,後ろへ後退。移動量は10ミリ(1cm)。口腔内の10ミリというのは極めて大きな移動量で,かなり大変だったようです。下顎を固定したら噛み合わせのチェック,噛み合わせが合わなければ一度外してもう一度固定,そしてチェック。この繰り返しで,これにかなりの時間を要したようです。

手術開始から6時間半,ついに最終的な位置で固定することに成功。切開部を縫合し,手術は終わりました。前回の手術が4時間半でしたから,+2時間。手術が終わったのはもう日が暮れる夕方のことでした。

手術自体は終わりましたが,下顎を後ろに下げたために気道が元よりも狭くなること,骨を一度骨折させているために腫れが生じ,気道閉鎖による窒息死を避ける目的から,人工呼吸器は装着したままICUへ入室しました。また,人工呼吸器を装着していることによる不快感軽減のため,弱い麻酔にあたる鎮静薬を引き続き投与し,私は眠ったまま翌朝まで過ごすこととなりました。この間の記憶は一切ありません。

ICUで過ごした3日間(6度目の手術翌日〜翌々日)

かなり侵襲の大きな治療だったために,身体の状態が非常に不安定だったことから,1度目の手術と同じく術後はICU(集中治療室)で過ごしました。特に,術直後から手術翌日までは人工呼吸器が入っていましたし,経管栄養管,血液排出ドレーン,動脈カテーテル,尿道カテーテル,点滴・・・。一体何本の管が体に繋がれていたでしょうか。ちょっとわかりませんが,少なくとも手術後のその姿は大変な状態であったことには間違いありません。これほど多くの管が入ることはもうこの先の人生でもないでしょう。

鎮静状態から覚醒し,目が覚めた頃には翌14日午前中。目が覚めてしっかり意識があることを確認した担当看護師の方が,ラジオを持ってきてくださいました。おそらくですが,私が不安症状になりやすいことを病棟内でも共有し,少しでも不安が和らぐように色々工夫してくださったのでしょう。ICU担当医や看護師など,多くの方が様子を見にきてくださったのは覚えていますね。体のリハビリもあったのですが,あまり体はその日はまだ動かなかったですね。痛み止めとして,フェンタニルという医療麻薬を投与していましたが,これが吐き気や倦怠感の副作用を持つんですね。結局,体がほとんど動かなかったものですから,ベットからおき上がって,2歩足踏みするだけでリハビリは終了しました。大体14時ごろの出来事です。16時ごろには親も面会しにきてくれた筈です。ただ,ずっと起きていたわけではなく,やはり体は疲れていますから,寝てる時間の方が多かったですね。その日も20時ごろには就寝したでしょうか。

翌15日,2日ぶりに病室に戻るときがやってきました。手術から2日が一番の腫れなどのピークでしたので,この頃が一番大変でした。けれども,やはりICUから病室に戻った時の安心感は大きく,また手術が終わったあとでしたので,不安症状自体はほぼなかったですね。

9月15日,入院も24日目となり,ようやく当該入院期間の一連の治療が終わりました。
長かったですねー。。長かったですけれどもあっという間でもありました。案外。

ちなみにその日は,夜にJ1多摩川クラシコ,川崎フロンターレ対FC東京の試合があった日。DAZNで見ていましたが,まあ,結果はお察しの通り。アウェーに弱い2023東京。勝ってほしかった。うん。笑

次回予告

そんなこんなで,翌日16日からはひたすら治癒期間。体調もどんどん良くなり,退院する9月20日に向かって行ったのでした。残りの入院25日目〜最終29日目のことと今回の入院の総括を次回投稿します。

ここまで読んでいただきありがとうございました。また,よろしくお願いします。

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