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#8 口唇口蓋裂治療記 No.5 「人生で最も大きな手術①」(入院1~4日目)

(シリーズ編の第5回目となります。第4回目は#7に掲載していますので,まだご覧になっていない方は,まずそちらからお読みいただけますと,内容がスムーズに入ってくるかと思います。)

このページを開いていただいて、ありがとうございます。
今回は、口唇口蓋裂治療記第5回として,19年間行ってきた治療の中で最も大きな手術とその治療を行うために1ヶ月入院していた期間のうちの前半にあたる期間についてお伝えします。


そもそも,何の手術と治療をしたのか

2023年8月〜9月にかけて,以下の治療を行ってきました。

[①5度目の手術]
 (A)上顎骨切(Le fort Ⅰ型術)
 (B)上顎骨延長
 (C)上顎骨延長器装着
[②5度目の手術と6度目の手術の間]
 (D)上顎骨延長(Bの続き)
[③6度目の手術]
 (E)上顎の固定
 (F)下顎骨切(下顎枝矢状分割術)
 (G)下顎後退

今回の#8では,上記(A)〜(C)について記述しています。

入院直後

2023年8月23日,28泊29日に及ぶ入院生活がスタートしました。手術は入院3日目にあたる8月25日。前々日と前日はとてもじゃないけれども,あまりぐっすり眠る事はできなかったですね。流石に。怖いですよ。不安にもなりますし。手術そのものも怖いですし,しっかり手術後の治療や生活をこなしていけるだろうか。不安は増すばかりでした。ただ,看護師の方に不安を打ち明けたところ,「同じような手術を受けた方も同じことをおっしゃっていましたけど,案外手術後元気になされていましたよ〜」と。その他も僕の不安が少しでも軽減するように,色々と対話してくださいました。看護師の方には感謝です。

入院1・2日目は手術に必要な検査(MRIやCT検査,レントゲンや血液検査)をこなしました。特に,2日目には血液検査をしたんですが,通常の採血とは異なる「動脈血の採血」を行う必要があったため,普段の腕の内側ではなく,鼠蹊部の動脈から採血をしました。これが結構怖いんですよ。腕からの採血は慣れましたが,鼠蹊部は初だったんですね。案外痛みは無かったですが,恐怖心は相変わらず異常でした。

5度目の手術(19歳1ヶ月)『上顎骨切・骨延長器装着』

2023年8月25日,いよいよ訪れた手術の日。人生上5度目にあたるこの手術は,上顎を切り,上顎を伸ばした上で骨延長器を装着する手術でした。前回までにも述べている通り,上顎が通常よりも小さいために後退してしまっているのを,上顎を前に伸ばして後退を治したのがこの手術です。

午前7時55分,病室を出て手術室に向かいました。手術室に入室したのは8時5分頃だったと思います。手術室に入ると,まず指にパルスオキシメーター(血中酸素計測器)を取り付け,心電図用のパッチを胸に貼り,血圧計を腕に巻き。一連の準備が終わると,いよいよ麻酔導入です。麻酔が入ってしまえば,もうあまり心配することはないのです。ですが,ここで恐怖心が爆発してしまったんですね。点滴の針を刺すことすら恐怖のあまり受け入れられず,結局そこで3分くらい浪費したでしょうか。麻酔科医やその他の担当医は優しく接してくれていた気がするんですが,恐怖であまり記憶に残っていませんね(心電図モニターが頻脈(毎分140)すぎて警報音が鳴っていたのは覚えていますが)。
結局は点滴ではなく麻酔ガスで導入しようということになり,ガスを吸引したのちに数十秒後には意識を失っていました。

まず,口腔内の前歯よりも外側の上の部分を切開し,上顎に到達。医療用鋸で上顎骨を左右に切り,上顎と顔面骨と分離させました。その後,手術によって上顎を5ミリほど前に延長しました。本来は8ミリ伸ばすのですが,いきなり伸ばしすぎても顎の後ろの引き伸ばされた筋肉が元の位置に戻ろうとしてしまい,後戻りが生じてしまうため,手術では5ミリ伸ばし,後述の延長器で徐々に時間をかけて伸ばしていこうというのがこの治療です。

5ミリ伸ばしたのちに,上顎に延長器を装着しました。これは,ネジが口腔内に飛び出しており,そこにドライバーをはめて回すことで,少しずつ上顎が前に伸びていくというものです。骨延長については,長くなってしまうので次回(#9)に。
延長器を装着したのちに,創部を閉鎖してその手術は終わりました。

8時5分頃に手術室に入室,麻酔導入後に採血など実は色々やるべきことがあったので手術自体が開始されたのは10時頃だったと話を聞いていますが,その手術の所要時間は4時間30分。14時30分頃に手術が終了し,術後管理のためにICUに入室,1泊2日ののちに翌26日に病室に戻りました。10時30分頃に病室に戻り,トイレに行くために最低限の歩行訓練を行なったのちにようやく,自由な時間がやってきました。

8月26日,この日はFC東京が国立で神戸との試合があった日なんですね。DAZN加入していますので,病室で見ていました。引き分けでしたけれども,試合自体は元気に見ることができたので良かったですね。26日は土曜日,翌々日の28日月曜日から,前述の骨延長の術間治療が始まりました。そのことは,次回で詳しくお伝えします。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回以降も,よろしくお願いいたします。


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