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#9 口唇口蓋裂治療記 No.6 「2度の手術の間の治療」(入院6~21日目)

(シリーズ編の第6回目となります。第4回目は#8に掲載していますので,まだご覧になっていない方は,まずそちらからお読みいただけますと,内容がスムーズに入ってくるかと思います。)

このページを開いていただいて、ありがとうございます。
今回は、口唇口蓋裂治療記第6回として,前回に引き続き2023年の入院・手術の続き、期間としては入院6~21日目にあたる部分、当該入院の2回の手術の間に行った「上顎骨延長治療」についてお伝えします。

今夏行った治療の一覧

[①5度目の手術]
 (A)上顎骨切
 (B)上顎骨延長
 (C)上顎骨延長器装着
[②5度目の手術と6度目の手術の間]
 (D)上顎骨延長(Bの続き)
[③6度目の手術]
 (E)上顎の固定
 (F)下顎骨切
 (G)下顎後退

今節では,上記(D)について。

「上顎骨延長治療」

前回までにも記述している通り,口唇口蓋裂患者は先天的に上顎骨の大きさが小さくなる傾向があり,その結果上顎が通常よりも後退してしまうことが多くあります。私の場合は上顎が小さかったほか、通常よりも下顎骨が大きかったために、噛み合わせのバランスが崩れる「しゃくれ・受け口」の状態がかなり悪化していました。その状態を治すために、上顎を前に引き延ばす治療が今回です。
なお、前回#8の5回目の手術でも上顎延長は行っているため、その手術の延長となるのが今回の術間治療となります。

どのようにして延長するのか

前回#8の5回目の手術で装着した「上顎骨延長器」を用います。上顎骨延長器は切り離した上顎と顔面骨に固定させたのちに,口腔内に飛び出したネジを専用のドライバーで回すことで徐々に切り離した上顎のみを前方へ移動させることができます。今回の治療では、まず13ミリ前方へ延長しますが、5度目の手術において既に5ミリ前方へ延長していたため、術間治療では残りの8ミリを時間をかけて伸ばしていくこととなりました。

時間をかけて伸ばしていく必要性

5度目に当たる手術で一気に必要な分だけ延長してしまえばいいじゃないかと思われる方もいらっしゃることと思います。しかしながら、上顎骨の後方に存在する筋肉が厄介でして、一気に骨を移動させたとしても、移動させたことに伴い移動した筋肉が元の位置に戻ろうとする「後戻り現象」が発生してしまうことが多くあります。そのため、1日に動かす移動量に制限をかけ、時間をかけることで筋肉を慣らしながら骨を移動させるという手法がとられます。せっかく大変な手術をしたのに、後戻りしてしまっては手術した意味がなくなってしまいますからね。

徐々に苦痛へ

入院7日目にあたる8月28日より骨延長の術間治療が行われました。前述のネジをドライバーを用いて回していきます。このネジを1回転させると上顎が0.5ミリ前に移動します。今回の治療スケジュールでは基本1日1ミリ伸ばすことになっていましたので、2回転。初日は痛み止めを用いなくてもよいくらいスムーズで、特に痛みは感じませんでしたね。顎が動くという恐怖心はありましたけれども(笑)。翌29日も痛みはなく、難なく2ミリほど伸ばすことに成功したのですが、問題はここから。
術間治療3日目の30日。同じように回していくと、急に痛みが出るようになったんですね。しかもかなり痛い。担当の医者によれば、「だんだん筋肉の力が強くなってきて痛みが出てくると思いますよ」と。鋭く刺すような痛みが顔面の奥深いところでするんですね。ここで術間治療初の痛み止めの服用。ほどなくして痛みはなくなりましたが、あまりの急激な痛みにかなり苦しみました。翌31日以降は治療の30分~1時間前に痛み止めとして処方されていたロキソニンを飲み、痛みに備えていました。ロキソニン自体はかなり強い痛み止めの作用があるため、結構効いていました。ただ、それでも痛みが消えることはなく、どちらかといえば痛む時間が短くなった、というほうが的確でしょうか。あれだけの痛みは人生の中でもなかなか経験しないですよ。よほどの大きな怪我をしないと感じることはできない痛みです。いやー、痛かった。本当に笑

術間治療終了直前に待ち受けていた難所

そんなこんなで痛みに耐えながら治療をこなしていき、総移動量も11ミリに到達。あと2ミリ=2日で術間治療も終わり!
…と思われた矢先、また一つ難関ポイントが待ち受けていたんですね。

入院13日目、5度目の手術から10日が経過した9月3日、いつも通り回していこうとすると…ない…ない…ない!!!

回す器具が粘膜に埋もれて見当たらない!!!

そうなんです。実はネジを回していくと、上顎が前に出た分、ネジもどんどん長くなっていく仕様だったので、口の内側の粘膜に突き刺さってしまったんですね。しかもかなり食い込んでいたのでなかなか探し出すことができず。しばらく探しても、引っ張り出そうとしても、ドライバーを差し込む先端部が出てこず。悩みに悩んだ結果、医者からこういうことを言われました。

「麻酔をして、ネジの角度を変えましょう。」

まあ、落胆しましたよ。また麻酔するのか、、って。全身麻酔ではなく、局所麻酔ですけどね。まあ、麻酔することにより痛みはなくなりますけど、逆に言えば麻酔が必要な治療が一つ追加になったというとらえ方もできますので、どちらかといえばショックのほうが大きかったですね…汗

そんなことがあり、翌日4日、ネジの角度を変える追加の治療が行われました。が、これが怖い怖い。麻酔しているので痛みはないんですけれども、何かされてると。ネジは骨に繋がっていますので、骨に響く何か。怖い。怖い。怖すぎる。怖すぎたせいかあまり記憶にもないんですけど、とにかく怖かったですね。時間で言えばたったの数分だった筈ではありますが。
そして、向きを変える治療を終えた後、医者からこんな言葉が。

「ちょっと肉が裂けたので2針縫いましたよ~」

ひええええええ。
そんなことが今起きていたんですかと。逆にびっくり仰天。いや肉が裂けるってそんな軽々しくいっていいものなのかと。
怖かったですね。意識があるうちに縫われた経験は何回かありますけど、一番の恐怖でしたね。怖かった。

無事に終わった術間治療

そんな怖い経験もありましたけれども、無事にその翌日にあたる9月5日に無事に術間治療は終わりました。9日間に8ミリの延長。これで上顎が13ミリ(1.3㎝)前に移動したことになります。これでしばらくキープしたのちに、当時から見て翌週に控えた手術で最終的な位置まで持っていくことになります。ここから次の手術までの8日間は特に大きな治療はない自由期間で、持参した3DSプレイしたり、友達とDMで連絡したり、電話したり。次の手術に対する恐怖心はありましたが、1度目の手術よりは恐怖心が少なかったですね。それもあり、結構リラックス自体はできていたと思います。

(次回予告)

ついに、入院22日目、9月13日。当該入院2度目、通算6度目の手術の日が訪れます。この手術が、人生で最も大きな手術。頑張りました。次回は、その手術について、詳しくお伝えする予定です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次回も、よろしくお願いします。

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