雨を買いたい話(ショートショート)
お姉さんは少年に話をしました。
「雨を買ってみたいな」
少年は何が何やら分からなくなって聞き返しました。すると彼女はこんな話をします。
「この世界のどこかには、海や空を買おうとした人たちがいるんだって。だから私も、その人たちみたいに雨を買ってみたいと思ったの」
少年は雨をバケツに溜めてしまえば、買う必要はないと教えてあげました。けれどどうもそういう話ではないらしいのです。
「雨はバケツに溜めた瞬間からただの水になってしまうでしょう? 私は、雨を雨のままで買って、そばに置