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22.1.27_TAGOE活動記

先週、わが子が生まれた。そのことについて書こうとすると紙幅は足りないし、いきなり始まった育児に、逐一振り返る余裕はしばらくなさそうな気がする。とにかく、言葉や表情に出さずとも、こちらの状況がダイレクトに伝わることと、音に対する身体反射の速さ(ほぼ同時)ということの2つが、現時点でびっくりしている。さて、そういったわが家の事情で、2回分くらい活動をお休みさせてもらって、約1ヶ月ぶりのTAGOE。学校から帰ってきたキホとアサキから、お祝いの手紙を箱入りでもらう。素直にとても嬉しい。手紙を書こう、メッセージを伝えようとしてくれたこと自体が奇跡的なことだなぁと、子が生まれてからいろいろ、些細なことに感動してしまう。けど、それは抜きにしても嬉しい。

さて、今日は何をするか。と考えると、ちょっと前にいつも通っている鎌倉のたらば書房でレーモンド・マリー・シェーファーというカナダの作曲家による『世界の調律』という本を購入した。このシェーファーさんは、いわゆるサウンドスケープという概念の提唱者で、この本もサウンドスケープについての歴史や考え方が書かれている。自分は音楽または音を作るということを今はしないけれど、視覚との対応感覚として聴覚とそれがもたらすものというのは、いつも気になっている。要するに、視覚に見せたところで見えない、みたいな感覚はいつもあるので、だったら聞かせたほうが“見える”のではないかということで。まだこの本は読み始めなのだけど、ここに書かれている、書かれていそうなことからヒントをもらって、今日は逗子の街に出て、iPhoneで音を拾うことにした。出かける前、みんなで耳を澄まして、今このビルのここで、どういった音が聞こえるか。普段から音はいろいろ鳴っていて、聞こえているのに聞こえていないということはどういうことなのか。そういったことにスイッチを入れてから、二組に別れて出かけることにした。

違うスイッチを入れて街に出てみると、それはいつも慣れ親しんでいる街でありながら、全然違う街にも感じられる。できれば、こんな音もしてるんだぁだけでなく、視覚優位性を抑えて、聴覚でできた街が立ち上がってくると面白い。僕が一緒に出かけたグループは、キホ、サツキ、サクタ、そしてアサキの妹のキナリ。出かけてすぐに、みんなの耳をそば立てて、あれもこれもという姿に、手応えを感じる。あらためてサウンドスケープ、フィールドレコーディングの面白さを僕自身も感じつつ。メンバーにとって馴染みのある、亀井児童公園に行くと、例えばブランコの座る部分を吊っている鎖を鳴らしたり、オラウータンのようにぶら下がる遊具(なんて言うんだっけ)が軋む音などを録音していて、それを聞くとなかなか良い。

これだけ面白いのだから、今期のテーマのゾンビは、音を使って作品を作っていっても良いかもしらない。前回みんなで鑑賞したアダムスファミリーも、あの有名なテーマ曲があって成り立っているし、楽器を弾くとかそういったこととは違って、いろいろな音を絵の具のように扱ってみるのも楽しいかも。ビルに帰ってから、それぞれ録音した音を聴かせ合って、どれが自分のお気に入りか番号をメモする。次回までにそれを整理して、これを素材にして何をするか、またみんなで相談できればと思う。

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神奈川県逗子市の小学生&映像作家の山根晋によるアーティストコレクティブ TAGOE(たごえ)です。2020年の夏より活動をはじめ、毎期ごと…

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