今、切に願うこと。

新型コロナの感染者が日本にも出始めた当初、
まさかここまでの危機的状況に世界中が陥るとは、きっと誰も思わなかっただろう。
感染しても軽症で済むことがほとんどだから、過度に恐れる必要はないというのが、自分を含め、主流の見解だった。

けれど、「多くの人が軽症で済む」ということこそが、
このウイルスの本当の脅威なのだと、今になって痛切に、実感している。

過去、同じくコロナウイルス性疾患であったSARSの流行が、
比較的速やかに収束できたのは、重症化する確率が高かったからだ。
国民の多くがその恐ろしさを素直に認識することができたし、
感染している人が、街中を平気で歩き回ってウイルスを拡散させる心配も少なかった。

けれど、今回の新型コロナは違う。
自分が感染者だという自覚のない人々が、
普通に街を歩き回り、人と接し続けたことで、ウイルスを拡散させてしまった。
無症状であっても、他者への感染力は変わらない。非常に厄介で、とめどがない。

軽症では済まない人がいるということを、私たちはもっと深刻に受け止めるべきだった。
年齢、性別、持病のあるないは関係ない。
重症化する人が「確実に」存在する。

どれだけの人が感染しているのか、本当の実態がわからない以上、重症化する率をはっきり提示することはできないわけだけれど、

例えばそれが、100人に1人という比率であったとしても、感染者数が増えれば増えるほど、重症化する人数も10人、100人、千人、一万人と、比例してどんどん増えていく。
有効な治療薬が確立されない限り、重症化した場合の致死率を下げることはできない。

明確に致死率の高い脅威的なウイルスなら、
もっと早い段階で、国は危機感を持って対策を講じることができただろう。
新型コロナが、「多くの人にとっては軽い風邪程度である」という安易な認識であったが故に、
人々はそれを軽視し、他人事のように受け止め、国は経済を優先した。

もはや事態は雪だるま式に悪化し、巨大な怪物となって猛威を振るっている。
恐ろしい。今にも、圧し潰されそうだ。

医療現場で働いている人々の多くは、自分が感染する恐怖ではなく、
「誰かに感染させてしまうかもしれない恐怖」と戦っていると思う。
ウイルスを媒介してはならない。人にうつしてはならない。
その不安と大きなプレッシャーを抱えたまま、現場の人々は、過酷な中で懸命に働き続けているのだ。


感染者の増加を、なんとしても、食い止めねばならない。


今、私たちにできることは、人との接触を極限まで減らし、できる限り家で過ごすことだ。

それは、自分が感染しないようにするためではない。

人に感染させないため、ウイルスを伝播させないために必要なことなのだと、深く理解してほしい。

この苦境を我慢し、国民が一丸となって、耐えること。

一人ひとりが責任感を持って、日々を過ごすこと。

それがこの危機的状況を変えるのだと、信じてほしい。

心から、強くそう願う。





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