藤本 柊

気ままに綴ります。 ごゆるりお付き合いいだだければ幸いです。

藤本 柊

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マガジン

  • 木曜日の朝に。 <weekly>

    とある家庭の、木曜日の朝の風景。 週に一度の、ちょっぴり長いつぶやき。 コーヒー、紅茶、お茶のお供にどうぞ。 ビール、焼酎、ワインのお供にもどうぞ。

  • 「読書感想文」

    図書館で、あるいは本屋さんで出会った本たちとの時間をエッセイ風に。ジャンルはさまざま、その時の興味や関心に、素直に手に取り、呼応する自分の声を綴ります。

最近の記事

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幸せな悪夢

カムフラージュ 気まぐれにきたメッセージは、 ちょうどまあるいオレンジの夕陽が 家々の窓に丸ごと映っているのを、 運転しながら見かけた帰り道だった。 良妻賢母な彼女らしいメッセージに、家族のために夕飯の下ごしらえをするキッチンでの姿を思い出す。ソファーに座って編んでいたのは子どもの習い事用のカバーで、自分用の物すら編まなかった。 車を停めて、霞む空にぼんやりと沈んでいくオレンジを見届けながら、そう返す。 彼女を待ちながらよく本を読んでいた。二つ

    • 眩しいのは天気がよすぎるせいじゃなく。

      腕の素肌がパリパリしてる気がする。唇もほんのりパリついてる。 昨日はよく晴れて、学校運営協議会の会長さんは、開会式の挨拶で 「今日が晴れますように…と天神様にお願いをしてまいりましたらこのような晴天になってしまい、これはすべて私のせいです」 とおっしゃって、 「熱中症アラートが出るかもしれませんが、十分な休憩と水分補給を──」 と危惧されていた。 天気が良すぎる、のも気を遣うご時世なんだな、と日傘をさしながら思う。 隣のかおちゃんは目深に麻のハットを被り、サングラスをしな

      • 「from木曜日の朝に」スタエフ📻長時間にわたりご視聴いただきありがとうございました☺️レターもコメントもありがとうございます🙏ゆるゆるな夜トークになっておりますが…アーカイブ残しておきます。https://stand.fm/episodes/664f4be8a33873d86349b3df

        • 木曜日の朝に。 56朝

          「おはようございます」 うっすら覚醒していくうちに、ゴトゴトと音がする。次女も三女もすでに起きていて、洗面所からはドライヤーの音がする。 もそっとお布団から出て、もっさんもっさんの寝ぐせで半目でフラフラ起きていく。 「おはよー」 と言うと、すっかり目が覚めて冴えた感じに 「おはよー!」 と元気に返された。 トポトポ…と白湯を入れ、ひとつまみの塩(天然塩* *)とレモンをたらし、フーフーとすする。 ここのところ娘たちは、早起き。 卵を二つ割って、混ぜている間に、彼女た

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        幸せな悪夢

        • 眩しいのは天気がよすぎるせいじゃなく。

        • 「from木曜日の朝に」スタエフ📻長時間にわたりご視聴いただきありがとうございました☺️レターもコメントもありがとうございます🙏ゆるゆるな夜トークになっておりますが…アーカイブ残しておきます。https://stand.fm/episodes/664f4be8a33873d86349b3df

        • 木曜日の朝に。 56朝

        マガジン

        • 木曜日の朝に。 <weekly>
          55本
        • 「読書感想文」
          36本

        記事

          抜けやすい体質

          「肉体はさ、ここにあるけど、精神はさ、 どこへでも行けるよね」 遠く離れた人と、メッセージでやりとりをしていくうち、肉体と精神が分離してしまうことがある。 「あなたは抜けやすい体質なのね」 現実では、いつも通りの日常生活を(あるいはちょっとしたアクシデント…「やべ、炊飯ボタン押し忘れた!」みたいなことがありながらも)営んでいる肉体と、片方の精神。 そして、肉体を伴わず、一方の精神は遠く離れたあの人との朝を迎え、一緒にコーヒーを飲んでいたりするのだ。 「おはよ

          抜けやすい体質

          だいたいうまいこと行き過ぎていた

          カチャリとルームキーをデスクに放り、コンビニのレジ袋を置いて、ドサッと座る。 「つっかれた」 ため息と同時に声が漏れたとて、ビジネスホテルのシングルの部屋に、誰が聞いているわけでもない。 薄いビニルの線をペリリと剥がし、薄ピンクの細い1本を取り出し、咥えて火をつける。カッチと玩具みたいな音のライターで。 ふぅ と、煙を細く吐いていくと、1日の疲労の重さがじんわりと沈んでいく。昼間の、声や明るさや人の表情が纏まりなく、つらつらと流れゆく。忙しい日だった。 細い紙巻タ

          だいたいうまいこと行き過ぎていた

          5.23 Thu. 21:00-21:30 stand.fm📻 https://stand.fm/channels/637a0fb3b4418c968df28ea8 ゲスト あおさん フリートークでゆるりとおしゃべりいたします♪メッセージをお待ちしております💌 .https://stand.fm/channels/637a0fb3b4418c968df28ea8/letter

          5.23 Thu. 21:00-21:30 stand.fm📻 https://stand.fm/channels/637a0fb3b4418c968df28ea8 ゲスト あおさん フリートークでゆるりとおしゃべりいたします♪メッセージをお待ちしております💌 .https://stand.fm/channels/637a0fb3b4418c968df28ea8/letter

          【映画感想文】 Love letter

          1995年公開の作品を、Netflixにて。 公開当時、WOWOWで放送されていたのを、私は中学生で、ビデオに録画して、何度も何度も観ていた。豊川悦司さん演じるアキバさんの関西弁のセリフ 「それはちゃうよ〜 そんなんはちゃうよ、ひろこちゃん」 などまで暗記してしまうほど観ていた。 サントラのピアノの音、図書室、ダルマストーブの冬の家、ガラス工房。中山美穂さんのショートカットも、かわいくて、とてもとても好きだった。 あれから30年ほど経ち、好きな映画をまた観れると嬉

          【映画感想文】 Love letter

          木曜日の朝に。 55朝

          「おはようございます。」 もそっと起きてフラフラとリビングにたどり着き、すでに起きて洗面所にいた次女と三女に「おはよー」と言う。 白湯にレモンと、ひとつまみのお塩、ふーふーと啜り、卵を二つ、くるくると卵焼きを焼く。 「おはよー」 夫が起きてくるなり、昨日の『ホンマでっかTV』の話を教えてくれる。 肩こり特集だったから、私も観ていたかったけれど、どうにも眠くて「明日教えてね」と先に寝てしまったから。 「こうやって… こぉうして…」 肩をぐーるぐる。ぐーるぐる。 「

          木曜日の朝に。 55朝

          好きでもないのに優しくしないでよ

          きっと彼女の指先は震えて、泣いていて、私はしょんぼりとその光る画面の文字を読む。 彼女とはInstagramで出会い、優しそうな写真と素朴なキャプション、そして読んでいる本に惹かれてコメントのやりとりをするうちに仲良くなった。 いろんな話をした。 子どものころのこと、仕事のこと、今の暮らし、好きな場所。 大人しくて人見知りで、けれどもこだわりの強い頑固なおかっぱの女の子が、今でも彼女の中にはいて、私の中には、腕白に遊ぶけれど本が好きな、よく日に焼けた半袖短パンの男の子がい

          好きでもないのに優しくしないでよ

          ニッチなエッジをきかせて

          「うぃーす」 マキノさんは少し遅れて来て、 「こんにちはー」 と私や、リョージさんやヨーコさんが返す。「よぉ、マキノ先生」 トウゾウ先生は片手を挙げて。 土曜の午後のロクロ教室はベテラン勢ばかりで、一人で湯呑みくらいはひける方たち、落ち着いて作陶を思い思いに愉しむ方たち。 陶芸家のトウゾウ先生も、生徒さんたちではなく「リョージ先生」「ヨーコ先生」「マキノ先生」と呼ぶ。 私にだって「シュー先生」と。 前回ひいた器たちの「削り」をしていく。 器の下半身をキメる、重要な作業。

          ニッチなエッジをきかせて

          96分の1の洗濯バサミ

          寝すぎた。 起きたら、1回目の洗濯物が干してあった。 2回目の洗濯機がピーピーと高らかに終了を伝え、水色の洗濯カゴによいせとうつす。 3回目の洗濯物を洗剤と柔軟剤とで回す。 階段を登って、「休日の朝に聴きたい曲」ミュージックリストをかけながら、パンパンと干していく。 シワものばして、形を整え、よく晴れて空が青すぎて、いろいろが青を反射している。 ドリップしたコーヒーをひとくち、ふたくち。キリマンジャロブレンド。 と、我が家の96個洗濯バサミ付き洗濯物干しの1つに

          96分の1の洗濯バサミ

          BURBERRYの香り、捨て猫

          「束縛」がキライ。 それを思い知ったのは、星野くんと付き合ったからだった。 競馬の騎手養成学校から逃げ出してきたという彼は、48kgに満たない小柄な人だった。 逃げ出して、ホストになって、鋭い目付きなのに、話す言葉は柔らかで、なのにふと影る眼差しがまるで捨て猫みたいだった。 「柊ちゃん、僕と一緒にいようよ。 僕は絶対に君を寂しくさせない。」 私は当時、会えない彼と付き合っていて、会う時にはサングラスをして、生活圏を離れる必要があった。 誠実で大人な彼を、私は少

          BURBERRYの香り、捨て猫

          木曜日の朝に。 54朝

          「おはようございます。」 もっさんもっさんの寝ぐせで、もそもそと起きていく。半袖で寝ていたから、布団から出ると少し肌寒くて、モフモフの上着を羽織る。 トポポポ…と白湯を入れて、ひとつまみの塩と、レモンをちょろんとたらし、ふーふーとすする。 卵二つ、白だしとチャカチャカと混ぜ、ジュンワーと焼く。くるくる。 昨日の夜、日帰りの出張からの帰りに渋滞にはまってしまって遅くなった夫を待ちながら、キッチンを片付けていた。いつもは、疲れているし早く寝たいし、ザーッと片付けておしまい(

          木曜日の朝に。 54朝

          【読書感想文】黄色いマンション 黒い猫

          なんてったってアイドルで、俳優で、舞台プロデューサーで、そして執筆のお仕事もする、キョンキョンこと小泉今日子さん。 男兄弟の中で育っているノリコ、二歳年上の姉ヒロコ、「スター誕生!」のオーディションに誘ったハルコ、ナオミとのタイマン、湿布を貼ってくれた保健の先生、トシちゃん、テレフォン歌謡曲で聴く石野真子ちゃん、便箋七枚のラブレターをくれたボーイフレンド、お母さんというより女という感じのユミさん、スタイリストのミカちゃん、革ジャンを売りつけてくるあの男、小雨、原宿、夾竹桃。

          【読書感想文】黄色いマンション 黒い猫

          ずっと楽しみにしていた日。 130年の歴史がつまった芝居小屋での、絵画展へ。古猪の屏風絵、歌舞伎猫だるま、画家さんとのとても贅沢なひとときでした。

          ずっと楽しみにしていた日。 130年の歴史がつまった芝居小屋での、絵画展へ。古猪の屏風絵、歌舞伎猫だるま、画家さんとのとても贅沢なひとときでした。