見出し画像

心の中にある本当の居場所

Mr.Childrenの「SUNRISE」という曲があります。2007年に発売されたアルバムである「HOME」の後半に収録されているものです。「HOME」はその言葉の響きの通り、暖かさの感じられる曲が多いです。

そしてこの「SUNRISE」はラストの「あんまり覚えてないや」と同じくらいに家族の大切さを含んだ歌詞が歌われています。

大きなもの ゆるぎないもの 
そう疑いもしないで過ごした
家族の愛にいつも守られて
どうしてこんな不確かなもの 
無邪気に信じていれたんだ?
どうしてこんな不安定なものを

少年の日々を思うとき
不思議なほど幸福な気持ちが僕を包む

Mr.Children「SUNRISE」


私にとっての心休まるとき

この曲は落ち込んでいるときに聞くことが多かったりします。思い出すのは当時の家族ではなくて、祖父母のことです。幼少期は毒親である父が猛威を振るっていて、気が休まるときはあまりなかったのです。

といっても、父がいないときにはそれなりに楽しめてはいました。残業の日などは夜が遅めになってもテレビを見ることができたり、友達と長電話をできたりしたので、なんとかやっていました。

夏休みに祖父母の家に行くと何もかもが解決します。泊まりに行くのは母方の実家なので、父はいつものようなことができなくなるのです。普段から顔色を窺ってばかりの私たちは、これ以上にないくらい自由になれます。

それは私たちにとって思いっきり羽を伸ばせる時間であり、好きなように過ごすことができました。祖母は気合を入れてたくさんおいしいものを用意してくれますし、祖父はいつも柔らかく笑っていて見守ってくれていました。

今となっては祖父は亡くなり、祖母は認知症で施設に入っている身です。時を経て父との接点はなくなったものの、同時に祖父母との暖かい時間も無くなってしまいました。


あの優しい空気に触りたい

この曲を聴くとそのころのことを思い出します。疑いもせずにあの平穏な時間を過ごせたこと、また来るねと手を振れたことを。あと何回会えるのかといちいち考えなくても済んでいました。

けれどもそれはいつなくしてもおかしくない不安定なものであって、いつでも嬉しそうに出迎えてもらえるというのも必ずあることではなかったのです。実際に私たちにとって父がそうではなかったのですから。

そしてその後の歌詞はこう続いています。

思い切り両手を伸ばして
あの優しい空気に触りたい
僕を金縛りにする
全ての迷いを引きちぎって

Mr.Children「SUNRISE」

落ち込んでいるときだとここで涙腺が崩壊します。「優しい空気」まさにそれを感じるからです。自分を受け入れてくれる人たちのいる場所こそが「優しい空気」が満ち溢れている場所であって、ちゃんと持っていても当時は気付くことができなかったからです。


それが家族であっても、友人であっても、恋人であっても、仲間であっても。今の状況が幸せだと気付かず、見過ごしてしまうことは意外と多かったりするのではないでしょうか。

当たり前に持っているものに目を向けることは難しかったりします。その分不満についてはうんざりするくらいに視界に入ってきます。普段から感謝を忘れずにいたいと思っても、疲れているときなどはそれを忘れがちになってしまいます。

そもそも「感謝を忘れずに」って、気持ちに余裕がないときにはどうやったらできるのかを忘れていたりします。そして気付けるきっかけがいつもやってくるわけではありません。


居場所を増やしていくこと

そんなときに私が取り入れているのは別の居場所を作るということです。他にも自分にとって過ごせる場所を作ることによって、気分によっていろんな場所に属したりします。

そうするとその場その場でもやはりいくつか思うところがあったりするのですが、そのうちAの場所ではBに比べたらこういうところはすごく楽に過ごせているんだなと気付けて感謝できるようになったりします。

何事も一長一短で、いいところと悪いところがあるからこそできる気分転換の方法かもしれません。つい何かと比べてしまって苦しい気持ちになることがある方は、この方法オススメかもしれないと思います。

もちろん、他の場所で受け入れてもらえるだけで満たされるということもよくあります。この場所では難しいけど、この場所なら本音を多少言ってもOK。このように設定しておいても楽です。

けっこう自分を変えるって難しいことなので、自分のやり方でこういうときにはこうするっていうのを見つけておくといいのかなと思っています。


本当の居場所に戻っていく

もし今居場所がなかったとしても、過去の居場所に気付くっていうのも効果があるのではないかと考えています。心の中でその時代を呼び起こすことで穏やかな気持ちに戻れることもあります。

「今はもうないんだ」ではなくて「あのころは幸せな気持ちになれた」と思うことで、変わるものもあるのではないかと思うのです。それは現実逃避ではなく、心の本当の居場所に戻るということではないでしょうか。

ちなみに居場所は多ければ多いほうがいいと自己肯定感の考え方では推奨されています。それによってチャレンジ精神が高まったり、将来の希望を持てるようになったりといいことがたくさんあるそうです。

私は普段からあまり出かけることはできないので、職場や地域などの環境とはそんなに縁がありませんが、代わりにSNS上で居場所を作るようにしています。

このnoteをはじめ、Twitterやインスタなどいろんな場所で好きなものを集めたり、交流を持ったりすることで自分だけの大切な部屋をたくさん持っているような気持ちになれます。その部屋の一つに、私の場合は祖父母との暖かい思い出が入っているのです。


結局自分は一人だ、誰にもわかってもらえない――何もかもうまくいかないときにふとそう思ってしまうこともありますが、この部屋をそっと開けると会いに行ったときに毎回笑顔で出迎えてくれた祖父母がそこにいます。

そして子供のころの私はそこに走って行って「おじいちゃん、おばあちゃん!来たよ!」と手を握って喜ぶのです。そんな光景を想像して「ありがとう」と言い、そっと扉を閉めます。

みなさんもそういった、暖かい居場所にいた経験がありませんか。もしくは、今そういった場所にいるのではないでしょうか。例えそこに誰かがいなくても一人で読書ができる時間が何よりも楽しかったなど、そんな思い出はありませんか。

そんな自分らしく過ごせる「優しい世界」、実はもうポケットの中に入っていませんか?


ここまで読んで下さってありがとうございました。




この記事が参加している募集

思い出の曲

これからの家族のかたち

サポートして頂けるととても励みになります🙌頂いたサポートは元気をチャージしていくことに使っています🔥