Katsuhisa Sakita

【 読書メモ・創作の種の保存庫 】 様々なジャンルの読み物を取り上げています。 書棚に…

Katsuhisa Sakita

【 読書メモ・創作の種の保存庫 】 様々なジャンルの読み物を取り上げています。 書棚に並ぶ背表紙のように、書き連ねています。 初めて手に取るとき、読み直すとき。読書を忘れないときのために。 (最近はInstagramの下書き)

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  • おとなの読みもの

    おとなにおすすめの本。 いつか、おとなになる子供におすすめの本。

  • こどもの読みもの

    こどもにおすすめの本。 かつて、こどもだった大人におすすめの本。

最近の記事

ピアニストを撃て

🎬『ピアニストを撃て』(Tirez sur le pianiste) 1960年 フランス映画 監督:フランソワ・トリュフォー 原作:デイヴィット・グーディス 出演:アズナヴール、デュボワ、レミー 🎹 パリのカフェでピアノ弾きとして生計を立てているシャルリ(アズナヴール)は、実はかつて有名なコンサートピアニストだった。愛する妻が自分の仕事のために不貞を重ねたことを許せず、そのせいで彼女が自殺してしまった過去を持つ。そのことから人生に絶望し、今は身をやつしている。そんな彼

    • ラプンツェル

      📘『ラプンツェル』 グリム童話集(RHM12) グリム兄弟(ヤーコブ・ヴィルヘルム) 1812年初版第一巻(86編)、1815年第二巻(70編)、以後七回改訂版をだし、1857年の第7版が決定版とされている。 「ラプンツェル」はクリム童話のなかでも特に人気のある傑作で、ドイツ語圏の国々では最も人気のあるメルヘン20編のひとつに数えられている。ヤーコブが1790年のフリードリッヒ・シュルツの小説から取り上げたもの。またこのシュルツの小説は、フランスのド・ラ・フォルスの妖精物語

      • 花物語

        📚『花物語』 吉屋信子 🎀 第一話「鈴蘭」の初出は「少女画報」大正5年(1916)、以後断続的に大正13年(1924)年に至るまでに、現在確認されている限りで全52話が書き継がれた。(掲載された最後の2作である「薊の花」「からたちの花」が含まれていないため)。初版は「花物語」大正9年。少女たちの愛や友情、憧れなどを抒情的な筆致でとらえ、当時の少女読者たちを魅了した。 🎀 初夏の夕べ、七人の可憐な少女たちがある邸の洋館の一室に集い、それぞれ「鈴蘭」「月見草」「白萩」「野菊」「

        • 黒蜥蜴

          📓【黒蜥蜴】 江戸川乱歩 1934年(昭和9年)月刊誌「日の出」に連載。 💄 《暗黒街の女王》 帝都最大の殷賑地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。 ・・・ たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえ

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        • おとなの読みもの
          36本
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          176本

        記事

          アンクル・トムの小屋

          📗【アンクル・トムの小屋】 ストウ夫人 1852 Never give up, for that is just the place and time that the tide will turn. 決してあきらめないでください。 そこが流れが変わる場所であり、時なのだから。 🍀 一九世紀のはじめ、ケンタッキー州のシェルビー農園では、恩情溢れる主人一家の下で、黒人奴隷たちは幸福な生活を送っていました。しかし、主人一家の農園経営の失敗が重なるにつれ、黒人奴隷たちの運命も変

          アンクル・トムの小屋

          マリカの永い夜/バリ夢日記

          📙『マリカの永い夜/バリ夢日記』 吉本ばなな 1994 🇮🇩 医師を辞めたばかりの「ジュンコ」を乗せた飛行機は、バリ島を目指している。となりの席で毛布に包まってくうくう寝ている元患者「マリカ」は多重人格者である。ジュンコが「どこか旅行にでもいく?」と言った時、マリカはバリ島へ連れて行って欲しいと哀願したので、今こうして一緒に夜の中を飛んでいる。 「これ以上悲しいことが、マリカの身の上に起こりませんように。」 🇮🇩 「オレンジ」はいつのまにか「マリカ」のそばにいて、「ペイン」

          マリカの永い夜/バリ夢日記

          ムーミンパパ海へいく

          📘『ムーミンパパ海へいく』 トーベ・ヤンソン 1965  1965年に出版されたムーミンの最後から2番目の小説。ムーミン一家が、安全で慣れ親しんだムーミン谷から遠く離れた灯台の島に引っ越します。島は、海や嵐、自然の脅威にさらされています。この物語は、ムーミンパパが「平和でうまくいきすぎている暮らし」に不満を抱き、自分自身、つまり自分の本質を見つけようとする物語です。ムーミンパパは赤ん坊のとき、「ムーミン捨て子ホーム」の階段におきざりにされました。(しかも新聞紙にくるまれて!

          ムーミンパパ海へいく

          『がんこちゃんエピソード0』

          🦖『がんこちゃんエピソード0』 〜ざわざわ森とさばくのひみつ〜 2016年12月31日、がんこちゃん20周年を記念した特別番組がEテレで同日17:00 - 17:30に放送されました。 📎 「ざわざわ森のがんこちゃん」原案:末吉暁子 1996からNHK(教育~Eテレ)で放送されている教育番組・人形劇。物語の舞台は、人類滅亡後の地球。地表は砂漠になりましたが、一部の地域では自然が復活しつつあり、人類によって遺伝子改良を加えられ高度な知能を持って生まれ変わった動物達の子孫が楽し

          『がんこちゃんエピソード0』

          骨董夜話

          📚【骨董夜話】 1970〜1978 月刊「太陽」に連載 1975年に連載分をまとめた単行本が出版。 「螺鈿の皿」 長径が僅かに一二・五センチ、短径九・一センチ。 「琺瑯彩」 直径十四・五センチ 製作者の意図が初めから「美」を造り出すことにあたって、その全能を傾けて出来上がったものが工芸品であると。これに対し、民芸品は、日用雑貨を作るうちに、偶然に修練によって美的作品となったものである。(細川護貞) 📎 骨董愛好家として知られていた日本の著名人が、自身の骨董に寄せる想いや

          知々夫紀行

          📘『知々夫紀行』 幸田露伴 1899(明治32)年2月 我邦には獅子虎の如きものなければ、獣には先ず狼熊を最も猛しとす。されば狼を恐れて大神とするも然るべきことにて、熊野は神野の義、神稲をくましねと訓むたぐいを思うに、熊をくまと訓むはあるいは神の義なるや知るべからず。(或曰、くまは韓語、或曰、くまは暈にて月の輪のくま也。)ただ狼という文字は悪きかたにのみ用いらるるならいにて、豺狼、虎狼、狼声、狼毒、狼狠、狼顧、中山狼、狼飡、狼貪、狼竄、狼藉、狼戻、狼狽、狼疾、狼煙など、め

          居酒屋兆治

          居酒屋兆治 山口瞳 1979 東京郊外の小さな町にある「居酒屋兆治」。店主の本名は藤野伝吉だが、客は皆彼を兆治と呼ぶ。彼は若い頃はプロの野球選手になることを期待される程の腕を持っていた。しかし、倒我によりその夢を諦め、サラリーマンとして生きてきた。上司とのトラブルに悩んだ彼は、職を辞し、幼い頃から住む町にカウンターだけの小さな店「兆治」を始める。そこに集まる客は、昔からこの町に住む顔なじみばかり。野球仲間、親友、そしてサラリーマン時代の同僚たち。兆治が様々な思いを秘めてカウ

          北国街道殺人事件

          📙『北国街道殺人事件』 内田康夫 1999 野尻湖の学術調査発掘現場から、妙な骨が出てきたという報告が、野尻駐在所にもたらされたのは、三月二十七日の午後二時頃のことである。「どうも、人間の骨みたいだし、そう古いものでもなさそうなんですがね」電話をかけてきたのは野尻湖小学校の徳武という若い教師で、いくぶん薄気味悪そうな声をしていた。 🖌️ 良寛と一茶を卒論テーマに選んだ田尻風見子と野村良樹は、出雲崎へ調査旅行へと向かう。途中、野尻湖で人骨が発見されたことを喫茶店のマスターか

          北国街道殺人事件

          天平の甍

          📓『天平の甍』 井上靖 1957 🖌️ 奈良時代の一級史料 『唐大和上東征伝』(鑑真の伝記) 779年 記「淡海三船」722〜785 に史実に即しながら鑑真来朝の経緯を主軸に据えた歴史小説です。 ・・・ 朝廷で第九次遣唐使発遣のことが議せられたのは聖武天皇の天平四年で、その年の八月十七日に、従四位上多治比広成が大使に、従五位下中臣名代が副使に任命され、そのほか大使、副使と共に遣唐使の四官とばれている判官、録事が選出された。判官は秦朝元以下四名、録事も四名である。そして翌九月

          床下の小人たち

          📔「床下の小人たち」 メアリー・ノートン 1952 ファーバンク邸の床下にはもうひとつの家があった。狭小空間でミニチュア家具に囲まれて暮らしている小人の家。そこに住むのは、父、母、そして娘の『アリエッティ』 アリエッティは父が暮らしのルールを変えるまで、廊下より先に出たことがなかった。 桜が咲く春のこと、アリエッティが初めて床下から出ることを許された日、玄関の扉は「夢にみたおとぎの国の入り口のように」開いていた。念願の戸外へでた彼女は、陽光を浴びる、外を走る、青空を仰ぎ見

          床下の小人たち

          Edda

          エッダ Edda 成立 8-13世紀頃 アイスランドとノルウェーに伝わる神話が、ヴァイキング時代に頭韻詩にまとめ上げられたもの。最も有名な「巫女の予言」は世界の創成から滅亡、さらにその再生までを語る。いわゆる北欧神話はこれを根幹としている。 「巫女の予言」 巫女ヴォルヴァがオーディンに語りかけるという形で、世界の創造から終末の到来、世界の再生までを語る。ヴォルヴァは、彼女は自身がいかにして知識を手に入れたか、そして彼女がオーディンの全知の源泉、および他のアースガルズ(ア

          恋する女たち

          📕『恋する女たち』 氷室冴子 1981 三人の女の子が恋に悩み、成長していく姿を描いた小説。 1986年に斉藤由貴主演、大森一樹監督により映画化される。 六年間の片思いが破れた校内屈指の美貌を誇る「緑子」 学年トップの優等生でありながら大学生の彼氏がいる「汀子」 理性的だが、恋愛関係にも理屈を求めてしまい告白ができない「多佳子」 多佳子は高校2年生。大学4年の姉・比呂子と下宿生活をしている。今日は、クラスメイトの緑子の3度目の葬儀の日。緑子は不幸のたびに葬儀をあげるのだ

          恋する女たち