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【推し本】他者と働く-「わかりあえなさ」から始める組織論-を読んで

こんにちは!事業会社でマーケティングの仕事をしているOLまっぴです。

今日は推し本をご紹介します。アイドルオタクなので”推し”を使いたがりなことご容赦ください笑

マーケティングの仕事をしていながら、私は人や組織に目が行きがち人間です。何か社内で会議や意見交換の場があった時、気づきとして組織の問題点を話すことが多いので、その視点を還元できるnoteになればと思います。

他者と働く-「わかりあえなさ」から始める組織論-のご紹介

今回ご紹介するのは、「他者と働く-「わかりあえなさ」から始める組織論-(宇田川元一著/News Picks PUBLISHING)」という本です。

著者の宇田川先生は、私が通っていた学部で教鞭を取っていらっしゃいました。実際に先生の講義を受けたこともあります。私はいつも前列の方に座る系学生だったので、先生は覚えていらっしゃらないと思いますが、先生とはお話ししたことがあります。

そんな宇田川先生が出されていた書籍が今の私の心情にドンピシャだったので手に取り、読み始めたら共感ポイントが多すぎて本を読む手が止まりませんでした。


こんな人に届いて欲しい

組織論?私には関係ないやと思ったそこのあなた。
ご自身にとっての「組織」、何が思い浮かびますでしょうか?

あなたは会社で、こんなことありませんか?

■営業部vs商品開発部

【営業部】で働いている方
商品開発部が開発した商品を売ってくれと頼んでくるが、売れる見込みがなさそうで面倒。商品開発部からは「なんでなかなか動き出さないんだ!」という圧が凄いが、自分の売上目標を達成することの方が重要だから鬱陶しい。

【商品開発部】で働いている方
営業部はなかなか新商品を売るために動いてくれない。今季一押し商品なのに。このままでは他社の〇〇にシェアを奪われてしまう。なんであんなに売る気がないのか!ムカつく。


■広告宣伝部と法務部

【広告宣伝部】で働いている方
新しく製作した広告クリエイティブが景表法的に問題がないか法務部にチェックしてほしい。明日には入稿しなければいけないから今日中に返答が欲しいと連絡していたのに、21時を過ぎても返答がない。何をしているんだ。

【法務部】で働いている方
広告宣伝部はいつも急かせてくる。広告物の確認の連絡はいつも締め切りが短く、急な依頼ばかり。こっちは契約書の確認やその他にも大量の確認タスクが他部署から来ていて、急な締切には対応しきれない。なんでもっと余裕を持って依頼ができないんだ。


同じ悩みに出くわしたことがあるという人がいらっしゃったらハイタッチしてしまいそうですが、このように部署間、個人間で「理解できない!」とイライラすることが多々あると思います。この本は、そんな発狂してしまいそうなイライラたちとの向き合い方を教えてくれる1冊です。


<こんなお悩みをお持ちの方は絶対に読んでください笑>

・部署間の隔たりに悩まされている
・上司は自分の意見を聞いてる風で、何も決めてくれない
・自分が管轄する店舗に毎月販促物を送っているが、キャンペーンを実施してくれていない気がする
・親が自分の進路を勝手に決めつけてきて、いつも喧嘩になる




「わかりあえなさ」はどうして生まれる?

本当は実際に本を読んでいただいて、「腑に落ちる」という感覚を味わってほしいので、要点だけに絞ってお伝えしたいと思います。

世の中の課題は2種類に分けられるといいます。①技術的課題と②適応課題です

技術的課題:既存の知識・方法で解決できる問題。
適応課題:関係性の中で生じる問題。これといった策がない。

そして、諦めをつけて済むような問題ではなく、皆の頭を悩ませるのはほとんど適応課題なのです。


適応課題には4種類あります。

ギャップ型:大切にしている価値観と実際の行動に不一致がある
 例)女性の社会進出の機運と実際の会社の人事制度。長期的には女性の役職者登用が望ましいが、短期的には自由が効きやすいという点で男性を選ぶなど

対立型:互いのコミットメント(KGI)が対立する
 例)営業部と法務部の対立

抑圧型:言いにくい事を言わない
 例)既存事業の先行きが怪しいとわかっているのに撤退を言い出せない

回避型:痛みや恐れを伴う本質的な問題解決を回避するために逃げたり、他の行動にすり替えたりする
 例)パワハラを受けて働くことが困難になった社員が出た際に、ストレスチェックテストを行う

この4つの適応課題に共通するポイントが何かわかりますでしょうか?


それは、人と人、組織と組織の「関係性」の中で問題が生じているということです。私たちは、気付かぬうちに自分のナラティヴ=解釈の枠組みの中で生きています。


例えば、自分が部下の立場の場合、「上司とはリーダーシップを発揮し、物事を決断し、最後には責任をとるものだ」というナラティヴで上司を捉えています。


また、自分が患者であれば、「医者とは、私の身体の問題を正しく把握し、確実に治療してくれる」というナラティヴで医者を捉えています。


このようにして、いかなる時も人は「自分の立場から見る〇〇」という解釈の仕組みを持っています。


つまり、私たちはこのような適応課題に対する解釈の枠組み=「ナラティヴ」が立場や役割、専門性などによって異なっているために、わかりあえなさが生まれてしまうのです。


「わかりあえなさ」を乗り越える4ステップ

では、この「わかりあえない」という状態を乗り越えるためにはどうすれば良いのでしょうか?


宇田川先生は4つのステップで説明されています。

1.準備「溝に気づく」
相手と自分のナラティヴに溝(適応課題)があることに気づく

2.観察「溝の向こうを眺める」
相手の言動や状況を見聞きし、溝の位置や相手のナラティヴを探る

3.解釈「溝を渡り、橋を設計する」
溝を飛び越えて、橋が架けられそうな場所や架け方を探る

4.介入「溝に橋を架ける」
実際に行動することで、橋(新しい関係性)を築く

※実際には、可愛らしいイラストとともに解説されているので、本で見られた方が明解かもしれません。

1.準備「溝に気づく」のプロセス

自分から見える景色を疑う

自分のナラティヴを一度脇に置いてみる

関係性によって適応課題が生まれていることに気づく

例)自分の仕事や立場を一旦忘れて、相手を見てみる。

2.観察「溝の向こうを眺める」

相手との溝(適応課題)に向き合う

対岸の相手の振る舞いをよく見る

相手を取り巻いている状況をよく見て相手のナラティヴを観察する

例)相手が置かれている状況を観察し、何がその人を悩ませているのかなどを知ろうとする


3.解釈「溝を渡り、橋を設計する」

溝を超えて対岸(相手側)に渡り、相手のナラティヴをシミュレーションする

対岸からこちらの岸(自分側)をよく見て、相手側から自分がどう見えているのかを眺める

新しい関係性を構築する(橋を架ける)方法を構想する

例)相手の席に座ったようなイメージ、相手の仕事を体験しているようなイメージで、相手からは自分はどう見えるのだろうかと徹底的に想像する


4.介入「溝に橋を架ける」

実際に行動を起こしてみて、相手との新しい関係性を構築する

作ってみた新しい関係性(橋)を往復して問題がないか検証する

そして1〜4を繰り返し、関係性の修復・補強工事をしていく

例)自分はどう相手に歩み寄ったら解決しそうかの仮説を持って、相手と話し合う場を設ける。解決策を実行してみる。うまくいかなかったと感じた場合は、相手側から、どう思ったか、要望などを聞き出し、新しい改善策を講じる。


マーケターが組織論を学ぶことの意義

私のようなマーケターが「組織論」を学んで何になるのかと思われる方もいるかもしれません。

しかし、USJの立て直しに貢献されたマーケターの森岡毅さんは「マーケティングとは組織革命である」と述べています。

著書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」のなかの一説をご紹介して、このブログの結びとしたいと思います。

森岡さんはP&GからUSJに移られた際、森岡さんにあらゆるマーケティングの決定権が委譲されました。当然これまでUSJの中心となってアトラクションやイベントを企画してきた様々な部署の方から快く思われませんでした。それでも、森岡さんはお客様に選ばれること、喜んでいただける事を徹底的に分析して形にしていくことにフォーカスし、「消費者視点」での改革を推し進めていきました。そして、最も集客が落ち込んだときから600万人も来場者数を増やし、USJを奇跡のV字回復に導きました。

この事例は会社という組織の中で、「会社のなかにいる人間が考えていることは必ずしもお客様のベストではない」「消費者視点になりきれていないことが多い」ということです。

この経緯を踏まえ、森岡さんは「部門間や個人間の利益やしがらみをぶった切ってでも、消費者価値としてのベストを押し通す強力な意思決定の仕組みが必要」だと述べておられます。

無理矢理の改革が全て正しいとは思いませんが、マーケティングには「お客様に選ばれる商品・サービスとその仕組みを作ること」が求められています。そのために、お客様のために、組織のゴタゴタや固定観念でできないことをそのままにしていいわけがありません。

私は、この本を踏まえて「わかりあう」事を重視して、組織にメスを入れないといけないときに立ち上がれるマーケターになれるよう、ジャンヌダルクマーケターとして頑張りたいと思います!


このnoteが多くのマーケターの背中を押すものになればと思います。最後までご覧くださりありがとうございました!





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