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GayaR資金調達物語~前編~ Vol.2_11

このツイートしただけで「続きが見たい」とか「詳細を聞きたい」とか
言われると思わなかった。
資金調達にまつわる経営者の葛藤が気になるのか
ちょっと恥ずかしいけど書いてみることにした。

この物語は2021年末に、わが社の一事業部である
スポーツ実況プラットフォーム「GayaR」を法人化し
バリエーション5億円ほどで、1億円強の資金を調達した話だ。

GayaRとは何か

スポーツ実況プラットフォーム「GayaR」というアプリは
スポーツ観戦時に
話をしたい人その話を聞きたい人のためのプラットフォームだ。

会場で見る臨場感も欲しいが
テレビで見る情報量も欲しいのは贅沢だろうか?

野球で言えば、外野席からピッチャーの投げる球種は分からない。
バッターとの駆け引きが面白さなのに、球場ではまるで見えない。
せめて「フォークだ!」って言ってくれれば、見えなくともイメージがつく。

また、記憶に新しいFIFAワールドカップをNHKで見ていたら
うちの子供たちは「ABEMAに変えてほしい」と言い出した。
なんで?って思たら本田圭佑の解説の方が面白いらしい。

要するに、同じものを見るけれど
自分好みにカスタムして実況や解説を聞ける時代に向けたサービスなんだ。

それが「GayaR」なんだ。

なぜ生まれたのか

GayaRの開発着想は8年ほど前かな~
俺がちびっこ野球のコーチをやっていた時に
たまたま子供たちをヤクルト戦がやっている神宮球場に連れて行った。

※俺自身、コーチを拝命しときながら野球のルールや誰もが知ってるスター選手が分かる程度で知識だ。実はサッカーのほうが好きだし・・・。

球場について、野球少年たちの目の前には
いつも画面越しに見ていた憧れのスター選手が
試合を繰り広げてるわけだよ。

それこそ、最初はみな目をキラキラさせて試合を見ていた。
しかし、2~3イニングした頃には子供たちは遊び出して、
しまいにはニンテンドーDSでゲームを始めちゃう子まで現れた。
5イニング過ぎたころにはもはや試合を見ている子供はいなかったと思う。

あれ・・・?
この子たち、野球大好きじゃないの?
え??
もしかして、飽きたの?面白くないの?

そう思った。

俺自身、子供たちを連れて行く使命で球場に来たけど
外野からで見えないし、分かる選手もいない。
そこで繰り広げられるドラマも分からないから 
ハッキリ言ってぜんぜん面白くなかった。

ただ、臨場感や集まってるファンの感じは祭のような感覚があった。
仮に祭なんだとしたら、俺は年に1~2回行けば満足だ。
毎週、行くことはない。

なぜなら俺はファンじゃないからだ。
だから、せっかく来た俺みたいな奴らを
ファンにするためには仕掛けが必要なんだと思った。

高い金を払って球場へ行くんだから
不完全なコンテンツではなくてもっと楽しめるようにしたい。
そのためにはファンのエンゲージメントを
高められるプラットフォームが必要なんだと思った。
それが「GayaR」の着想だ。

立ち上げの障壁

アイデアは浮かんだ!
今度はアプリを形にする番だ。

幸いうちの会社はエンジニアの集団だ。
やれないことはないはずだと思った。

とはいえ、当時のわが社はSES事業をメインにしている会社で
IT業界では末端の下請け会社なんだ。

SES事業を分かりやすく建築業で例えると
大手のデベロッパーさんがビルの企画・設計を担って
人手が足りないから、実際に現場の土方の兄ちゃんを派遣するような会社の位置づけなんだ。 

まぁ~
そのイメージは今でも変わってないかもしれないね。

周りの同業から見れば
そんな仕事しかやってこなかったお前ら土方集団が
自分でビル(アプリ)を設計して建てられるかよ!って
馬鹿にしてくるみたいな話だ。    

このSES業界に長くいた俺は 
このイメージに対して
密かにずっと「なめんなよ!!」って思ってた。(苦笑

やろうとしてないだけで、やれば出来るに決まっている!!
そう思った。
だけど、俺のこの反骨心は
社員に伝わるわけもなければ
真剣に抗ってやろうって言う気合の入った人材も
当時は居なかったと思う。

開発会社なのに
実際は開発しようとすると障壁しか出てこなかった。。

まず、開発リソースの確保に苦しんだ。
限られたリソースしかない中小企業の挑戦だからね。
身の丈に合った進め方しかできない。
基幹系の開発ばかりのわが社では
いわゆるコンシューマ向け(toC)のサービス視点など持ってもいない。

そうやって、8年ほど前に子供たちを球場へ連れて行ってから悶々と考えて
GayaRの原型にたどり着くまでに数年かかったしまった。

プロジェクトの転がり始め

ただ、ありがたいことに
GayaRの開発をやってみたいと
言ってくれる社員たちが現れた始めた。
わが社に取り入れた制度のお陰だ

わが社には「プロつく」という制度(※プロジェクトを作れる制度)がある。
何かアイデアがあって
そのアイデアをもとにチームを組成できるというものだ。
それは事業でも、仕組みでも、アプリでも、勉強会でも何でもいい。
興味がある人たちが集まって一緒に立ち上げて運営する。
コストがかかるなら、稟議を上げに来てもらうという制度だ。

このおかげで
限られた予算の中でも前向きに進めてくれる子達が現れ
少しずつプロジェクトが進み始めた。

なんとか骨組みが出来上がり、いざ開発に入ると
それはそれで困難を極めた。
最終的には他社さんにお手伝いしてもらって
GayaRの初号機が完成した。

運営改良を重ねながら
実際にプロチームや日本代表チームに使ってもらったりして
実績を重ねていった。

途中で有名なサッカー実況者である友人に使ってもらったけど
まさかの視聴数が増えすぎて
アプリが落ちちゃったのはほんとに苦い思い出だ。

ちょっとここらへんで長くなってきたから 
来週にまた、この資金調達の続を書くことにするよ。