問題が見つかることは悪いことじゃないって、みんなで合意しよ。

朝ドラ「虎に翼」が大いに盛り上がっている（私の周辺だけじゃないと思う）。そうすると、なんだか落ち着かない族がいるようで、横やりというか屁理屈というか、なんか不思議ないちゃもんを言っている人がちらほら（コラムニストとかそういう人＝おじさまが多い笑）。

ドラマが、イケてない当時の男性社会のことをこれでもか、とあぶりだしているからといって、あなたのことディスってるわけじゃないから落ち着いてって申し上げたい（笑）。ここは涼子さまのように「お人柄に難がおありで」とか言えばいいかしらん。

それはさておき。
朝ドラを見て「今！私が今言われていることです。怒ればよかったんだ」とか「少し前に面接で同じことを言われて辛かった」とかそういう、まったく時間が100年近く前の話じゃないみたいに、ぼこぼことあちこちで問題を「これは私のことだ」と口にする人が増殖している。
いいよね。これ。

個人のことは社会のことなのよ。
あなただけにそれが起きていて、あなたに特別な足りないことがある、というわけではないの。起きている現象は「これって私だけなの？」と考えてみて周りと話して、そして「ああ、そうじゃないんだ。こういう問題があるんだ」って気づいて、そこで初めて「じゃあどうすれば？」と考えることにつながっていくもの。

私だけが我慢すればいい。
…ではなくて。

これは別にジェンダーとか人権とかの話だけではないよね。

その昔、私が教育委員会の職員だったころに担当していた業務の一つに「学校基本調査」というものがあった。これはとっても大切な調査で、経年でずっと国が調査をして傾向を見て、政策を決める基本となるとても重要な調査なのだが、それ以外にも、やたらと調査ものは多くて、毎回忙しい先生たちにお願いするのはとても心苦しかったのをよく覚えている。

ところが、その中には学校にとって不都合な真実を聞くものもある。
たとえば、いじめの件数、不登校の人数…経年で取っているので当然、増えたり減ったりするわけだが、どうしても学校としてもここは数字を改善に向かっていく方向にしたくなる。減らそうとすれば「何をもっていじめとするか」解釈を変えることもあるだろう。組織の前提が「問題がないことが大事」だと思っていたら当然そうなる。

職場だって同じこと。
職場のストレスチェックという調査もある。一定規模以上だと義務付けられていると思うが、そこでも部署ごとに「ストレス高く出ちゃう部署」の上司は上層部からなんか言われるから面倒だ…と考えるのであれば、調査に関してもなんらかの恣意的なアプローチがかかる。部下も「どうせこんなの書いたって、数値が悪いと上司が責められてこっちにもとばっちりがくる」なんて思っていたら、正直に書くことはない（という話はよくある）。

「問題がないことがよいこと」
その考えでいる以上、問題がありますよ！って言う人は疎まれるし、問題を見つけてしまった人は「余計なことを」と疎まれる。

でもこれが健康診断だったらどうか。
「ここが悪いかもしれないね」と見つけてもらうことが重要だと、みんなわかっているのでは？なかったことにしたい、という気持ちは（たとえばお酒を飲みすぎとか、太りすぎとか笑）あるけれども、やっぱり「見つかってよかったね」だろう。

問題が見つかるということは、それに対応して作戦を考えられるということ。でもそれを見ないふりをしていたら、問題はなくなるどころか大問題になってしまって、あとで手の付けられないことになることもある。

うちの子に限って…とか
考えすぎだよ…とか
余分なことをいうな…とか
そういう思考になりがちな人は気を付けたほうがいい。
そう言っている（やっている）と、誰も何も言ってくれなくなるよね。

でも、みんなで見つけあって指摘しあっていけるチーム（家族も組織も）だったらどう？安心して失敗できるし、安心して思ったことが言えるし、大きなミスに陥るまえに見つけて対処もできる。
そんな空気があれば、もっと挑戦もできるし、一人でミスを抱え込んでしまうこともなくなるよね。

「そんなこと悩んでたの？早く言ってくれたらよかったのに」
そう言ったことがある人は「私が問題の存在を否定したり、問題が起きないことをいいことだと思いすぎて（伝えて）いなかったか？」と振り返ってみることをおすすめしたいな。

自戒の念も込めつつ。

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