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NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

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ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり… もっと読む
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記事一覧

プチDAYS 「メトロポリタンオペラ!」

「turandot」一人で鑑賞する。 本当にチケットが取れたのか数日前からソワソワする。実はさっきもFM COCOROと書いて巡回してるとアルゴで@FMCOCOまで入力すると「LO」が出てきてびっくりする。RO じゃなかったんだ? 慌てて全巡回のやり直し。 この手のことが日々増えていく。 昨日も歯医者へ行ったら、 「予約取れてないよ」 で大騒ぎ。病院の機転で同じ時刻にリスケやり直してもらう。 「turandot」は派手好きの僕には大好物のオペラでzhang yi

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プチ投稿 「えぶりばでい だんすなう」

最近目から鱗の健康法がある。 それは朝晩のストレッチだ。 なんてことはない。体をほぐして伸ばし20分ぐらいリラックスするのだ。Ryoko さんから「これだけよ、あたしの健康法は。」と教えられ、やってみるとこれがメチャクチャいい。あ、この「メチャクチャ」と言う表現、オヤジ世代が最もよく使う単語らしい。 床に寝っ転がってくるんと足を頭の先へ丸める。久しぶりにやってみると足が床につかない。ぐんぐん腰を押してみるけれどまるで壊れた人形のようにぶらんと宙で固まったまま。「これが老

プチDAYS「ナッチョからの手紙」

ブエノスアイレスで活躍する元クラスメートだったジャズピアニスト、ナッチョからメッセージが来た。 「7月から9月まで日本のCruiseboatの仕事が入ったらから東京に行くんだ。もしよかったら二人で一緒にコーフィーでも飲もうよ。」 不思議なことがあるものだ。昨日Walkingの最中に彼のことを思い出していたのだ。ここ数日綺麗な空や海の写真を投稿したナッチョに「いいね!」を押し、そういえば以前から公言してる「存在しない映画のサウントラトラック」の中で、彼と一緒にやれたらなと思

短期連載 「Senriと良子のおしゃべり泥棒」3

3日目のレッスンはローレン先生が我が家にやってくる。久しぶりの再会にRyokoさんとローレンは抱き合って喜び合う。ぴも尻尾を振って喜んでいるのが見える。 随分、何度も床を拭いたり模様替えをしたりしてぴの残した跡を消して綺麗になった部屋のレイアウトを見ても「わー」としか言わないRyokoさんに、無言の愛を感じながら音楽室へ誘う。 アメリカ流だとペットが亡くなった時は慰めの温かい会話やハグが続く。それぞれの表し方なので、ローレンのそれもRyokoさんのそれも、どちらもありがた

短期連載 「Senriと良子のおしゃべり泥棒」4(最終回)

洪水や強風だからってガッカリせずに、目先を変えて古着や帽子を見ておいてよかった。「あ、これいい!」とRyokoさんがその場で即決されたものは10代から着続けてるって言ってもいいくらい似合ってて、レッスンの気持ちを上げてくれる。側で見てるこっちまでウキウキするのだ。 時間なんて一旦流れ始めたらあっという間にそれこそ土砂降りの雨のようにどんどん濁流になり、溝から川へ、川から湾へ流れていってしまう。ローレンの授業の後の2日間はJunkoレッスン。どんどん覚えてどんどん忘れてまた覚

短期連載「Senriと良子のおしゃべり泥棒」2

大変だ。 ローレンからのメール。 「Hampton Bayへのドライブなんだけど、、、、かなり厳しい状況みたい。もしかしたら朝に連絡取り合ってキャンセル、Alternative (他の案)を考える、ってのも視野に入れましょう!」 ガーン。 せっかく短期のレッスンの今回のステイであの素晴らしいニューヨーク郊外のハンプトンベイへRyokoさんを連れてって差し上げようと思っていたのに。 人間って不思議なもので一つのアイデアに縛られる傾向がある。これ!って決めたらそこに「こ

短期連載「Senriと良子のおしゃべり泥棒」1

Jazzの話をするRyokoさんが晴れやかだ。楽しくてしょうがない顔😃! 昨日日本から森山さんがきた。森山良子さん。ツアーの合間を縫って。 「空港からは1人でタクシーでホテルまで行けるからお迎えは必要なし。」と勇ましい。 僕は基本的に心配性なので「大丈夫かな」と気が気じゃない。でも思ったよりもうんと早く「もう部屋よ。快適。」とくったくないメールが手元で鳴る。早速今回のOverviewを話にプロジェクトのメンバーでありニュースクールの恩師でもあるJunkoさんとホテルへ向

「続・Senriと良子のおしゃべり泥棒」2

Ryokoさんの携帯のネットが繋がらないのはなぜ。前は空港からバンバンラインメールを頂いてたのに。恐ろしいもので携帯がなければ何も出来ない。文明の力に振舞わされ翻弄される私たち。ううむ。 ネットを検索「海外で日本の携帯が繋がらない」を調べる。️いくつかの可能性が出て来たのでその通り解決法を試してみる。しかし一向に繋がらない。東京へ連絡。するとRyoko さんの海外パッケージ情報が送られてきた。 「海外旅行をした時ネットを使う場合」のアプリが携帯画面にDLされてて、ガイダン

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「続・Senriと良子のおしゃべり泥棒」 3

毎日真っ黒に鉛筆で塗りつぶしたスケジュールを涼しい顔でこなすRyokoさんを"鉄人"だと思う。前回は、レッスンの前後の食事を僕から誘うのは極力避けていたのだが、今回は違う。 「ぴちゃんを亡くした今、Senriさんをそっとしておいてあげた方がいいのかな?」 と思ってくださってる事を痛いほど感じるので、もしもRyokoさんさえ嫌じゃなければせっかくのブルックリン滞在、いっぱいローカルボーイ(おっさんだが、汗)が好きな場所をご紹介したい。 「あらん、森山さんやーん、こんなとこ

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「続・Senriと良子のおしゃべり泥棒」1

良子さんがやってくる。 ジャズのアルバム制作、そしてそのリリースに向けて準備を淡々とするRyoko Moriyamaが3回目のNYCへジャズ留学にいらっしゃる。 RyokoもSenriもネズミ年。どっちが上かしたかなんて関係なく、二人の共通点はちょこちょこ歩き回るとこだ。 二人は30年ほど前からの付き合いで、最初の出会いはSenriが代々木上原のスタジオでリハーサルをしていた時に遡る。85年? ある日スタッフから、 「あの森山良子さんがリハstudioに『Say Hi

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ボストンおひとり様食べ歩き!🔸前編🔸

朝11時にホステルにチェックイン、ボストン1日目の最初のランチは和食にしました。ドキ胸❤️ テクテク歩いてバックベイのこの店、和食の「⭕️⭕️⭕️⭕️⭕️⭕️2」に決定!(宇宙戦艦で有名な名前。ローマ字綴り。)あまりの腹ペコもありチャチャッと済ませたい気持ちで選んだのが運の尽き!😱😱 開店時間15分前に行った僕はこの大箱レストラン(200人は入る)のイチバンノリの客でしたが、無愛想なメートルディーは「あっちで待っとれ!」と僕を顎で指図しノロノロ床拭いたり空気清浄機洗ったり

特別寄稿プチDAYS 「赤い風船」

ぴの持ち物をかなり処分したのだけれど、意外な大物、おしっこシートの未開封とLast Daysで使ってた開封したものが残ってた。いつまでもウチに置いといてもしょうがないので、 「ね、これ使う?」 と友人のジャズシンガーまみちゃんにテキストした。すると、 「使う使う」 ということだったので、ホッと胸を撫で下ろし、 「じゃ、近いうちに鍋をやるね。」 「じゃ、その時に!」 の流れになった。 当日には彼女の愛犬「ネネ」にも来てもらうように伝えたら、「ほんとう?」とまみち

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プチDAYS「友人のブロンクスの新居へ」

友人がブロンクスに引っ越したので、House Warming Gift (新居祝い)のヴーヴクリコを抱えて、さっそく伺って来た。 なぜシャンパンかと言うと「消え物」が貰う方も煩わしくなくて良いかなと思うから。部屋の調度品とかだとその人の趣味があるし、友人とは言え微妙なニュアンスまでは計り知れないので、笑って済ませるものがいいかとシャンパンで。 これなら僕がSober(酒を飲んでいない人)でも、「お前が飲まねえのかよ!チャンチャン!」でオチがつく。予めリバービューの高層階の

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DAYS 「OBロコになったつもりでDAYS2」

DAY1。 「Kay! 急いで。まさか捕まりはしないと思うけれど、早く早く。」 「Senriさんはキッチンのものを、わたしはぴちゃんを抱っこして自分のスーツケースはハンドリングします。」 瞬足で7から4へ戻った2人は手当たり次第 ものを抱えたものの、一瞬ぼーっと立ち尽くし、これじゃいけないとお互いに檄を飛ばし合う。 「僕が往復するんで、ぴをとにかくよろしくお願いします。ご自分のスーツケースは大丈夫ですね? 階段を上がる時は手伝いますので。」 二つの部屋を何度か往復

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