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アジア民族の食卓誌

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発酵、保存食のフィールドノート
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記事一覧

タルトタタン風マーラーカオ

久しぶりに投稿してみます。noteはあまり読者が増えないので、インスタを中心に更新してます。うーん、note難しいなw さて、今月の民泊の朝ごはんは、タルトタタン風マーラーカオです。 「馬拉(マーラー)」なんちゃらってつく料理の名前がいろいろあるんですが、マレーシア風という意味なんですね。 東南アジアには、中華系の移民がたくさんいて、ルーツも様々なんですが、ちょっとづつアレンジされて、移民がいる地域に共通する食文化が広がっていくんです。 点心に似た蒸し料理もあれば、潮

【野草飲茶の会】野草のマーブル中華パイ

野草飲茶の会オンライン講座(全2回)は満席になりました〜!リアル会場のコースは2名様以上の事前予約でいつでも開催してます! さて、野草を使ったお茶会のメニューの一部を紹介するコーナーです。 葱油餅(ツォンヨウビン)と盤絲餅(パンスービン) 台湾の屋台料理でよく見かける葱油餅(ツォンヨウビン)を食べたことはありますか。こちらはよく日本語のレシピサイトでも紹介されていますね。 今回は、一部の生地に野草ペーストを練り込み、マーブルにしてみました。ちなみに、野草ペーストは、蒸

発酵する東アジア〜台湾の発酵とキムジャン〜

奈良県にある里山文庫にて、ヤスダ屋と里山文庫がそれぞれの食のフィールドワークて学んだ東アジアの発酵をみなさまと一緒に作りながらご案内します。 今回は唐辛子と豆を使った発酵を軸にお隣韓国の冬の一大イベント1年分の白菜キムチを漬け込む『キムジャン』やカクテキ仕込みなどを通して韓国と日本の似て非なる食文化や発酵のお話や、まえだちさとによる台湾の豆の発酵やそのバリエーション。 そしてその活用方法まで、レシピだけでなくそれを取り巻く人々の暮らしを学びながら薬草に囲まれた里山文庫で3

玉米面(コーンフラワー)を使った2つのおやつ〜焼くvs蒸す実験〜

薬膳民泊の朝は、蒸しパンをよく一緒に作るのですが、特にお気に入りがとうもろこし粉の蒸しパン。スイートコーンを少し入れてもつぶつぶの食感がおいしい。 世界のとうもろこし料理と品種南米のトルティーヤ、イタリアのポレンタ 、ブータンのカラン、テンマ、中国の窩頭(ウォートウ)。世界にはトウモロコシの粉を使った食べ物ってたくさんあるんですよね。日本でも高知、熊本あたりではきび粉といえば、トウモロコシ(地方名で南蛮黍)の粉だとか。 トウモロコシのヒゲも漢方薬ですし、皮や芯も煮出して出

中国のカリスマyoutuber李子柒のタニシビーフンを食べてみたよ

中国のカリスマyoutuber李子柒さんのyoutubeを一度は見たことあるのではないでしょうか。美しい農村の暮らしは、農的暮らしに憧れてる人を魅了します。 幻想でしょとか、ほんとはこんな暮らししてないんじゃない?なんて言われていたりもしますが、手つきを見ると日々仕事されてる方だなと思います。 そんな李さんが地域振興のために広西柳州市と提携して、螺蛳粉工場を作り、李子柒ブランドのビーフンを作ったという。 「螺蛳」は、中国語で「田螺(タニシ)」。広西省の名物なのだそうです

東西発酵文化の融合〜マッサでかんずり〜

コロナ前は、民族の食卓を訪ねる"ならいごとの旅"をテーマに、雲南や福建、台湾へ手仕事を習う旅の同行者を募ってきました。 コロナ後は旅ができなくなってしまったので、100年の古民家(180坪の庭つき)に閉じこもり、世界の発酵文化の食卓へのアレンジを楽しみつつ、そんな暮らしをシェアする体験型の民泊を営んでいます。 パプリカの発酵食品"マッサ・デ・ピメンタオン"ニュースレター"Asian Foodlore Magazine"の7月号でも書いたのですが、パプリカは、唐辛子がハンガ

パイナップルケーキ【鳳梨酥】を作りました

今日はパイナップルケーキのオンライン講座でした。 京都といえば八つ橋、沖縄といえばちんすこう、そして台湾といえばパイナップルケーキ。地名の代名詞とも言えるおやつですが、手作りしたことのある人は少ないのではないでしょうか。これまでうちで作った人は、人生で一番美味しいと口々に言います。やっぱり手前味噌がいちばんおいしいんですよね。 こんかいは初めてのオンライン開催。タイムリミットがあるので、三時のおやつに間にあわせるために入念に作業時間を計ってタイムラインを作っていたものの、

アジア民族の食卓誌 #11 タイの納豆トァナオ作り

ネパールのキネマ、中国の豆豉、ラオスのトゥアナオ・・・納豆は、日本の食べ物というイメージがありますが、世界には実に多様な納豆があるのです。ところかわれば納豆は調味料だったり、せんべい状にして焼いて食べるおかずだったり、乾燥していたり。カレーに入れられたりこうやってみると、納豆の定義がわからなくなってきます。 季節の手仕事講座、5月のテーマは野草納豆ということで、納豆を一緒に仕込みます。 アジアの照葉樹林文化と発酵食稲作が伝わる以前、ネパール、ブータン、雲南、中国南部、日本

暮らしの実験室2:台湾の発酵食品「梅乾菜」づくり

台湾に「梅乾菜」という菜っ葉のお漬物があります。これは、塩漬けしたアブラナ科の葉を干したもので、乳酸発酵の酸味があり、「都こんぶ」の匂いが漂うというと想像がつきますでしょうか。 奈良の在来野菜「大和まな」で仕込んでみましたが、客家の人たちは、これ専用に自家採種していて、2−3倍くらい長いんですよね。 客家(はっか)とは?多民族の島台湾には、「本省人」と呼ばれる日本統治時代以前(16世紀くらい)から台湾に移り住んだ渡来人と、戦後、国共内戦で破れた国民党に伴って移り住んだ「外

暮らしの実験室:たけのこと発酵と菌の生態系

たけのこ掘りが今年は大量だったので、羽釜2台フル稼働しながら、民泊のシーツ洗って干して、庭掃除しながら薪炊いて、タケノコ切って、テーブルセットして・・・。大変でしたがようやく落ち着きました。 タケノコの塩分濃度を変えて味と保存期間の実験をしています。 無塩、5%、8%、10%、20%・・・ 中国語で論文検索すると、塩分濃度と乳酸菌などの菌の生態系と風味に関する論文がたくさんヒットします。さすがの発酵国。塩分濃度高すぎると、逆に生態系が崩れて腐敗しやすいデータもあったりし

5日間のインテンシブ中華修行に行ってきました

辻調理師専門学校 中華料理クラスのスクーリングに参加してきました。 5日間の集中講座で、毎日中国のどこかをテーマに、朝から夕方まで、6〜7品、作っては食べ続け、晩御飯も入らないほどでした(西洋料理や日本料理コースはもうちょっと少なめらしいです)。 中華といえば、油っぽいイメージですが(実際けっこう油つかいます)、香港料理なんかは、パイナップルや、グレープフルーツ、フランボワーズ、塩レモンを使ったさっぱりした南国風の料理もあったり、四川料理でも酸辣湯は辛酸っぱいスープがベース

アジアのエディブル・フラワー「木蓮」でつくる薬膳スイーツ

この時期花粉症辛いですよね。私はいつも悪化すると蓄膿になり、長引けば一ヶ月鼻が詰まったままになることも涙。 花粉症には4つのタイプがあると言われています。漢方薬は、鼻水がサラサラした花粉症には小青竜湯ですが、悪化して熱証になってくると荊芥連翹湯や辛夷清肺湯。わたしは今回、特にひどくて、鼻うがいすらできない(入らない)ひどさだったので辛夷清肺湯にしました。次の日には改善し、今は「じゃばら」とお庭に生えてるモクレンの花を煎じて飲んでいるのと、ひどい時は小青竜湯で、今のところなん

アジアの食卓取材うらばなしvol.1上海編

これまで食の記事をいろいろと書いてきたのですが、面白いのかわかんないけど、ちょっと取材の裏話でも。 まー、もともとバックパッカーあがりの添乗員なので、トラブルは日常茶飯事。インドで暴動に巻き込まれ間一髪でジャングルに逃げ込んだり、ブータンとアッサムの国境で軍に護送されたり、国際列車に乗り遅れてタクシーで追跡したり。人生はドラマでできてますよね。 何から書こうかしらって感じですが、バックパッカーデビューの地であり、思い出の上海から。 関空水没事件福建省の発酵食の取材と、武

1年限定配信のニュースレター「Asian Foodlore: アジアの食と物語」始めます

1年間限定の有料ニュースレターをはじめます。 「Asian Foodlore: アジアの食と物語」に登録すると、毎週金曜日に1本、皆さんのメールボックスにニュースレターが届きます。1年限定配信のニュースレターは最終的に再編集を加え、マガジンという形で印刷出版をする予定です。つまり、1年かけて毎週1ページずつ小出しにお届けする、1冊の本のようなイメージです。並行して、英語版も近々ローンチ予定です。 月3回は、ブータン、インド、タイ、台湾の農村を訪ね歩き、古老から伝統農法や保存