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「稚拙で猥雑な本能寺の変」18

○シーン18 本能寺・裏手小屋

※下手のボックスの裏側にしずとたねが捕らえられている。
上手前から明神がやってくる。

明神  「フロイスさん!フロイスさん!・・・フローイス!フロリン!フロリン!・・・何で急にどっかいっちゃうかなあフロリン・・・(尿意をもよおし下手ボックスから少し離れたところで小便を始める)」

小便がボックス方向へ流れていくのを眺めてる明神。

たねしず「んんんんんんん(猿轡に手も縛られている)」
明神  「ん?」
たねしず「んんんんんんん」
明神  「ん?」

小便を終えてボックスに不審を感じて近づく。

たねしず「んんんんんんん」
明神  「まあいいか・・・フロリン!フロリン!」
たねしず「んんんんんんん!」
明神  「ん?」

ボックス(掘っ立て小屋)を覗き込む。たねとしずがいる。

明神  「なんだ。悪いことして閉じ込められたのか?」
しず  「んんんんんんん」
明神  「助けて欲しいのか」
しず  「んん!」
明神  「俺は他人の教育方針に首を突っ込まない主義だから。ごめんね」
しず  「んんんんん!(蹴るなど)」
明神  「なんだよ(小屋に入って猿轡を取ってやる)お、かわいい」
しず  「助けてくれ」
明神  「助けたじゃねーか」
たね  「んんんんん」
しず  「こっちも」
明神  「はいはい」
しず  「私たちは秀吉に捕らえられたんだ」
明神  「秀吉?」
たね  「姉ちゃんハラ減った」
明神  「あんたたち姉妹か」
しず  「そうだ。手も外してくれ」
明神  「その前に君の名前は?」
たね  「たねだ」
明神  「お前には聞いてない」
しず  「しずだ」
明神  「僕は明神、明神健一郎」
しず  「明神、早く!」
明神  「はいはい(手縄を外し」
しず  「明神は秀吉を知らないのか?」
明神  「豊臣秀吉なら聞いたことある」」
しず  「羽柴秀吉だ。信長様の家臣の」
明神  「知らない。信長さんは知り合いだけど」
しず  「信長様と知り合いなのか?」
明神  「そうだよ」
しず  「へえ・・・」
たね  「誰か来るぞ」

上手前より八方斎が来る。
明神外に出て小便をしているフリ。
怪訝に明神を見る八方斎。

明神  「こんにちは」
八方斎 「お前はどんぐり」
明神  「どうも」
八方斎 「こんなところで何をしている?」
明神  「人を探してたら小便がしたくなっちゃって」
八方斎 「こっちへ来い」
明神  「何ですか?ちょっとー」

八方斎、辺りを確認して明神を小屋に押し込め

八方斎 「ここで大人しくしてろ(閉める)」
明神  「開けて開けてー」

八方斎下手に行ってしまう。

明神  「何、今のヤクザ」
たね  「たねたちを捕まえた奴だ」
明神  「いかにも悪そうだもんな」
明神  「しかしこれからどうすっかなー」
しず  「しっ!」

ボックスに隠れる
下手から平太、織部が来る。

織部  「いませんね・・・」
平太  「でも秀吉様の屋敷は空っぽだった・・・絶対この寺のどこかだ」
織部  「もう一度探してみましょう」

そのまま上手へ消える。

たね  「もしかして・・・今の兄ちゃん?」
しず  「兄ちゃんと織部だ・・・」
たね  「兄ちゃん!織部!」
しず  「兄ちゃん!織部!」
たね  「行っちゃった・・・」
明神  「ねえ、織部ってもしかして織部治?」
しず  「え?どうだろう」
たね  「そうだ。織部治だ」
明神  「え?○○○○が○○○○なあの織部治?」
しず  「そうだ」
明神  「何で君たち織部さんのこと知ってるの?」
たね  「織部は友達だ」
明神  「友達?」
たね  「痔を教えてくれたんだ」
明神  「痔?織部さんが痔を?」
たね  「そうだ」
明神  「ふーん。あの人子どもに何を教えてるんだ?」
しず  「とにかく早く逃げなくちゃ」
明神  「そうだね」
しず  「逃げたら兄ちゃんを思いっきり殴ってやる」
たね  「なんでだ?」
しず  「私たちをいらないなんて云うからだ」
たね  「そうか。じゃあたねも殴る」
しず  「うん」
明神  「でもこのまま逃げられなかったらどうなるんだろ」
しず  「殺されちゃうかもしれない」
明神  「なんで?何にもしてないのに」
しず  「用がなくなれば殺されるもんだろ」
明神  「そういうもんなの?」
しず  「ああ」
明神  「しずちゃん」
しず  「はい」
明神  「絶対に逃げよう。二人で」
しず  「明神、助けてくれるのか?」
明神  「ああ、俺はかわいい子の味方だ」
たね  「たねもかわいいぞ」
明神  「そうだね」
しず  「奥のほうを探してみよう」

奥へ捌ける。

<19><20>に続く

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