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言葉のことばかり【とことん】

「とことん」の違和感

また(とことん)飲んでしまった。
いつもちょっと飲むつもりが、
気がつくと(とことん)だ。

しかしなんで(とことん)は
(とことん)と言うんだろうか…。

(とことん)というコトバは
響きはリズミカルだが、
実際の気分はぜんぜんリズミカルではない。
(ずーん)という感じだ…。

(とことん)はどちらかというと
出だしの調子に乗っちゃったときの音で
実際の(とことん)は
行くとこまで行っちゃった状態…
(どごどん)という方が近い?
何を言っているのかわかんなくなってきた…。

「とことん」の仮説

とことんって
漢字だとどう書くんだろう。
と、調べてみたが、漢字がない。
とことんはあくまでも(とことん)らしい。
とことん平仮名で押し通すらしい。

床トン、って感じがするけど、
やっぱりこれはきっと「音」なんだな。
オノマトペなのか?
確かに「とことこ進む」「とんとん進む」
その結果に(とことん)がある
って仮説は立てられそうだ。

しかし「とことこ」も「とんとん」も
途中経過なのでちょっとニュアンスが違う。

とこ‐とん
〘名〙 どんづまり。最後の最後。また副詞的に用いて、徹底的に。どこまでも。

精選版 日本国語大辞典

辞書で見ると「どんづまり」「最後の最後」。
やっぱり行き着く果てってことだよな。

どっちも濁点だらけでいかにも濁ってる。
そこがいかにも
「どうしようもないとこまで行った」感じだ。
だけど(とことん)は軽いんだよなあ。

あ、もうひとつ「徹底的に」ってのがある。
てっていてきはニュアンスが近い。
「て」っ「て」い「て」きのリズムが、
リズミカルなのに威圧感があって、
どこか「どうしようもない感」がある。

なるほど。この線はあるな。
「混沌」って言葉があるけど、
これもリズムは軽くハギレいいのに
繰り返すことで濁った感じを生み出してる。
「ん」の重さもあるな。

そう考えると(とことん)は
こっち系だと推察される。
破裂音の繰り返し+「ん」で
徐々に重くなる追い込みを表現している。

あ、あくまでも個人的仮説で
学術的根拠とかないです。念の為…

「とことん」の真実

と、ここで唐突に歌を思い出す。
♪ とことんやれとんやれな〜

おお「とことんやれ」と言っている。

確か「トンヤレ節」って歌だったような。
民謡かお座敷での唄かと思ってたが、
実は日本最初の軍歌と言われる唄だった。

  宮さん宮さん 御馬の前󠄁に
  ヒラヒラするのは何じやいな
  トコトンヤレ トンヤレナ

「とことんやれとんやれな」というのは
合いの手みたいなものだな。
つまり意味はない。

軍歌なので、この合いの手がいつの間にか
「とことんやれ!」になったということか。

なんかとんでもないな。
いろいろ考えても歴史にはかなわない。
あ、とんでもない、の「とん」は
ちょっと気分が近いかもな。

次回の言葉は「必殺技」です。

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