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【ADVゲームレビュー】G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1~3/Nintendo Switch(2021)

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.1「仮面幻想殺人事件」

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.2「海楼館殺人事件」

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚Vol.3「死者の楽園」

2004年にフィーチャーフォンアプリゲームとして配信されていた「探偵・癸生川凌介事件譚」シリーズをNintendo Switchに再現した第一弾~第三弾。



内容紹介


皆さんこんにちは。ゲームシナリオライターの生王と申します。

私の友人でもある探偵「癸生川凌介」の活躍を紹介した携帯電話のゲームを、株式会社And Joyさんと株式会社ジー・モードさんの協力の元、もう一度皆さんにお届けできることとなりました。

今回の事件はそう、プレイしたら死ぬというオンラインゲームの噂の調査から始まりました。

最初は簡単な依頼だと思ったのですが、本当に次々と…。

G-MODEアーカイブス+ 探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」



解説/感想(ネタバレなし)



かつてのフィーチャーフォンアプリゲームを当時のまま忠実に再現する復刻プロジェクト、「G-MODEアーカイブス」。
その中から、「探偵・癸生川凌介事件譚」のVol.1~3をプレイしてみた。
このシリーズは、「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」のディレクターとしても知られる石山貴也氏が生みの親となって2004年に誕生した推理アドベンチャー。
以前「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」をプレイした際に、本シリーズとのコラボレーションをしていて気になっていたのだが、2021年に移植され、おおよそワンコインでプレイできると知って大人買いしてしまった。

ゲーム性としては、コマンドを選択して場所を移動したり、容疑者たちと会話したりして、事件の真相を求めていくスタイル。
縦横比等は当時のままで、ガラケーを模したインターフェースと、粗いドット絵のグラフィックが懐かしい。
この3作においての主人公は、ゲームシナリオライター・生王正生。
自身が経験した事件をアプリゲームのシナリオの元ネタにして開発したゲーム、という設定だ。
プレーヤーは生王として行動し、探偵助手の白鷺洲伊綱とともに事件解明に向かう本シリーズの基本形となっている。
タイトルになっている癸生川凌介は、生王と交流がある名探偵。
てっきり彼が主人公なのだと思ったが、その卓越した推理力によってはじめから最前線にいるとゲームが成立しないせいか、事件の調査は生王と伊綱に任せて、自身は暗躍しているというパターンが多いようだ。

元が黎明期のフィーチャーフォンアプリ。
グラフィックやボリュームは現代のスマホゲームには及ばないのは、致し方ない部分だろう。
しかし、ミステリーとしてのシナリオは充実。
まだまだ粗い部分も多く、洗練されていない感はあるものの、据え置きを起動するのは面倒だがスマホゲームはダラダラ続けてしまうという人にはぴったりと言えるかもしれない。



総評(ネタバレ注意)


まず、スタートとなるのは「仮面幻想殺人事件」。
後にニンテンドーDSソフトとしてリリースされる「仮面幻影殺人事件」と姉妹作的な立ち位置だが、シナリオとしては別物となっている。
プレイしたら死ぬゲームという噂が立っている「タクリマクス」。
被害者たちのミッシングリンクとは。
まだまだ粗さが目立ち、さすがに厳しいのでは、という設定もあるものの、どんでん返しの衝撃は十分。
当時の容量の限界もあって登場人物の深掘りには達していない中で、みんなが怪しい状況を生み出しつつ、オチでひっくり返すプロットは見事であった。

第二弾「海楼館殺人事件」の舞台は、変わり者として有名な建築会社の元会長が建てたという海楼館。
海中に建てられた特殊な館、クローズドサークルの環境下で死体が消失した。
犯人は7人の招待客の中にいると思われるが、ひとり、またひとりと被害者が増えていく。
前作から踏襲した多重解決モノ的などんでん返しを、より強化。
リアリティは皆無だが、ゲームだからこそのダイナミックな設定と、裏の裏を読んだ真相がたまらない。

そして、第三弾となった「死者の楽園」。
依頼人は、遊園地「シャングリラ」の秘書・菊川春奈。
脅迫状が届けられたのだというが、社長である黄味嶋寛は、警察には届けず内密な処理を指示。
生王と伊綱は、どことなくあやふやで不自然な依頼を前に、真相を暴こうと独自の調査を開始する。
倒叙的な伏線や、並行して提示される謎が複数存在しているので、ぼんやりと輪郭はわかる一方で、殺人の連鎖は止められないのがスリリングだ。

いずれも調査結果として一定の解を導くことはできるのだが、最後の仕上げを行う癸生川が、想像を超える推理を披露。
この二重構造によって、ゲームとして調査をしながら真相に近づく面白さと、名探偵である癸生川のカリスマ性の維持を両立している。
何よりオチに更なる驚きがあるのが爽快で、セール価格だったことも踏まえ、まずは1,000円で買える分で3本購入したのだが、4日後には第4弾以降もダウンロード。
良い意味でも悪い意味でも、このサクサク感が携帯ゲームならでは。
据え置きゲームでは味わえない快感なのだろう。

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