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ぶんぶく

やまさくらふく 上陣益城の杜は緑うるわし 金山の渓に湧く清水 釜一杯を賜りて阿蘇に一礼 風炉炭の紅く 茶の湯と煙立ちて 山吹きし 龍神 幣贄に舞ひて雨乞ひの 天いのります 何以称賊夜活乎 何以称貴耐眠乎

    • つゆくさ

      からにしき 折爪山々、うらうらに機織り 八幡の駒いは幾とせや 鴉がたづぬる鬼瓦 日輪のぼる いな軽米の西方つきない 瀬月内 天竺へ迎へた活仏に 耳を納めた舎利の塔 盗柿夢不測渋舌 搗餅現不飢大腹

      • 梅漬け

        茜さす 帝釈が六甲おろし から猪くれて  牙けずり 山田東下の森は黒曜となれり いさ サネモリ問ふ 穂積の藁の渋からんや さや 青鷺とび去りて蛙けし 今宵は何を詠ふやと 麦踏猶銀積牛車 稲垂猶舟載金沈

        • 海女もぐる

          かみかぜの 鳥羽わだつみ 伊勢いさなとり 狸に化かし、面白のなし 松尾に沈む珠の日の じりとけし、鳥のかへる塒なし やきはたけ 墨黒ふた山 ながめて彼れぞ、大和か 風凪以凧忘其空 風再以鈴詠涼夏

        ぶんぶく

          カラスアゲハ

          ささなみの 宇佐寄藻川ながる岩屋観世音 丁石しるべに首無が 太刀はき、裾はらひせば あづさヰの古び野をわたり、巌ひびかしみ おちる豊後の雨は淀みて はぐろ かなしき 黒蝶舞因華香騙 白蝶泊求静的枝

          カラスアゲハ

          虹きざし

          こえゆかば宗像野坂 磯辺の山うたふ子規 三光の鐘がなるなり 柿くわば秋は陽炎ひ はふつたの 別るる路先に しるべ折りなし くれてなほ 黒岩に吹くかせの涼しき、立ちんやも 瓜蔓識花在天乎 稔種信閨在地乎

          虹きざし

          かたくり

          いわはしる 盛岡生出ゆ越えて下田ゆきつみ ゆきとけて松川 わたるる笹舟のくだりゆけば 森は不如帰 ふりさけ見れば月が母とね 堅香子の丘 なく声の黒く消して夏は来ぬ 空焼雲紅忘紫色 然天落而夜沈睡

          かたくり

          ふじ波の

          そこうつす 想ひ松島幡谷 玉の高城川 三十三観音が清水 おもかげ流れて明治潜穴 秋くれり どんぐり稔くりまつ鬼熊に 山だまり 馬よこせ、と木霊する 朔夜はまどろに更けにけり 兎潜穴雖不能義 罠知皮欲耳遺骨

          ふじ波の

          葵月

          しらなみの いちし波瀬の風よ、かしこみ 維盛が六代君 越えゆきて川口九原 珠よさは 紫野ばらの、くたひ烏石ならへば 鈴よ鈴 ふりてふる郷の、鹿よ仔鹿よ 如鷺咥蛙挙一脚 則烏啼此吾餌也

          風のぼり

          あまてらす 小倉大倉の堰瀑は豊とみし ならめた芋沢地蔵の涙や くさなぎの 水際の森は幽けき 露しずき いわのぼる真鯉 干き川のさらぎが轟轟 化けて八岐なりそ 緋鯉負瑕還深淵 秋不忘春遺竜鱗

          風のぼり

          小瑠璃

          あおやま 津にみえ越す白山の 三ケ野あらた毘沙門天 老師たづぬれば さらとね 青雲に鳶は円と戯れて応えず ただ 橋下地蔵は神隠ししと 笛をひびかし 蛍描円憶郷甘水 親仰空聞児鼠声

          地獄蕎麦

          ちはやぶる 雷神くだります 宮の大郷三本木 やまびこ聞こゆ鶴田川、はふた躯の主はたそ あれ地わするる墓標とな、身をくれと拝む人 夕闇からくれて明星 うつす鏡をならべても 影想乍指数自脚 既遠無所指脚影

          地獄蕎麦

          虎御前

          かみかぜや すずゆる川上砦のふきおろし なをはる伊賀の比土、黒土、ろくろ回さば、 鬼瓦 焼き、しきしめたる虎の皮の恐ろし毛 寝ゐるたたげの数へ歌 ふたつ古皿われにけり 虎女脱窟而至村 人不眠因法螺鳴

          おぼろ月夜

          つゆしもの 秋保の垂水のそのかみづき 蔵王が皇子 山神新川うき流るる雷雲のごと 鉄漿むき帷子むすぶ丸尾は 雪にとけぬ朧 夢つゆ盗む賊ならん 光風、千悔萬悔にふき 童追兎而忘時過 惟星識遁白家路

          おぼろ月夜

          はつきうり

          きみがさす 笠間飯田の山は月照るやま 十九夜供養あつめしし かたぶき地蔵の一人なく 黒鬼に割られて礎と 耳木菟が苦しゅう森深みから 吾ほうほう 吾ほうほう と、神主なき祠なく 望月下降石代影 夫投其以砕泉月

          はつきうり

          薪猿楽

          みづたまる 水戸池野辺の桜川は水きよみ まがも浮く 葦の垣間のぞく烏合の森あり 夕とくれ 褌にうつす鬼火が業の影なりや 黒山のぼる朗月 逃げ走り隠るも 狼 賊吠向無尽欲欲 即使狼亡只遺声