重要判例キーフレーズ集

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#弁理士試験 の受験生、司法試験の知財法選択受験生を対象に、知財法の重要判例のキーフレーズを紹介しています 弁理士試験の論文式試験についてはこちら⇒ http://note.com/ronbun (過去問の解答例も公開中)

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カリクレイン事件②:方法の発明に係る特許権に関する「侵害の予防に必要な行為」(特100条2項)

「侵害の予防に必要な行為」(特100条2項)とは、特許発明の内容、現に行われ又は将来行われるおそれがある侵害行為の態様及び特許権者が行使する差止請求権の具体的内容等に照らし、差止請求権の行使を実効あらしめるものであって、かつ、それが差止請求権の実現のために必要な範囲内のものであることを要するものと解する。 (中略) 本件発明が方法の発明であり、侵害の行為が本件方法の使用行為であって、侵害差止請求としては本件方法の使用の差止めを請求することができるにとどまることに照らし、上告人

    • カリクレイン事件①:物の発明と方法の発明との区別

      方法の発明と物を生産する方法の発明とは、明文上判然と区別され、与えられる特許権の効力も明確に異なっているのであるから、方法の発明と物を生産する方法の発明とを同視することはできないし、方法の発明に関する特許権に物を生産する方法の発明に関する特許権と同様の効力を認めることもできない。そして、当該発明がいずれの発明に該当するかは、まず、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて判定すべきものである(特70条1項)。 判決全文はこちら:

      • 【食品包装容器事件】最判昭54行ツ2号

        審判の手続において審理判断されていた刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否を認定して審決の適法、違法を判断するにあたり、審判の手続にはあらわれていなかった資料に基づき右考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)の実用新案登録出願当時における技術常識を認定し、これによって同考案のもつ意義を明らかにしたうえ無効原因の存否を認定したとしても、このことから審判の手続において審理判断されていなかった刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否

        • 膵臓疾患治療剤事件:「試験または研究」(69条1項)の解釈

          特許権の存続期間終了後に特許発明に係る医薬品と有効成分等を同じくするいわゆる後発医薬品を製造販売することを目的として、薬事法14条所定の製造承認を申請するため、特許権の存続期間中に特許発明の技術的範囲に属する化学物質又は医薬品を生産し、これを使用して製造承認申請書に添付すべき資料を得るのに必要な試験を行うことは、特許法69条1項にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たり、特許権の侵害とはならないものと解する。 (中略) もし特許法上、右試験が特許法69条1項にい

        カリクレイン事件②:方法の発明に係る特許権に関する「侵害の予防に必要な行為」(特100条2項)

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        • 重要判例キーフレーズ:知的財産法
          16本
        • 重要判例キーフレーズ:特許法
          16本

        記事

          BBS事件②:特許製品の並行輸入

          我が国の特許権者又はこれと同視し得る者が国外において特許製品を譲渡した場合においては、特許権者は、譲受人に対しては、当該製品について販売先ないし使用地域から我が国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合を除き、譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては、譲受人との間で右の旨を合意した上特許製品にこれを明確に表示した場合を除いて、当該製品について我が国において特許権を行使することは許されないものと解する。 特許製品を国外において譲渡した場合に、その後に当

          BBS事件②:特許製品の並行輸入

          BBS事件①:国内消尽

          特許権者又は実施権者が我が国の国内において特許製品を譲渡した場合には、当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し、もはや特許権の効力は、当該特許製品を使用し、譲渡し又は貸し渡す行為等には及ばないものというべきである。 けだし、 (1) 特許法による発明の保護は社会公共の利益との調和の下において実現されなければならないものであるところ、 (2) 一般に譲渡においては、譲渡人は目的物について有するすべての権利を譲受人に移転し、譲受人は譲渡人が有していたすべ

          BBS事件①:国内消尽

          メリヤス編み機事件:最判昭51・3・10

          審決の取消訴訟においては、抗告審判の手続において審理判断されなった公知事実との対比における無効原因は、審決を違法とし、又はこれを適法とする理由として主張することができないものといわなければならない。 判決全文はこちら:

          メリヤス編み機事件:最判昭51・3・10

          プラバスタチンナトリウム事件:PBPクレーム

          物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である。 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において,当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう「発明が明確であること」という要件に適合するといえるのは,出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定する

          プラバスタチンナトリウム事件:PBPクレーム

          リガンド分子事件:全範囲に専用実施権を設定した時の特許権者の差止請求権行使の許否

          特許権者は、その特許権について専用実施権を設定したときであっても、当該特許権に基づく差止請求権を行使することができると解するのが相当である。 特許法100条1項の文言上、専用実施権を設定した特許権者による差止請求権の行使が制限されると解すべき根拠はない。 また、実質的にみても、専用実施権の設定契約において専用実施権者の売上げに基づいて実施料の額を定めるものとされているような場合には、特許権者には実施料収入の確保という観点から、特許権の侵害を除去すべき現実的な利益があることは明

          リガンド分子事件:全範囲に専用実施権を設定した時の特許権者の差止請求権行使の許否

          製パン器事件:外国における実施行為に向けた間接侵害の成否

          本来、日本国外において、日本で特許を受けている発明の技術的範囲に属する方法を使用してその価値を利用しても、日本の特許権を侵害することにはならない。それは、日本における特許権が、日本の主権の及ぶ日本国内においてのみ効力を有するにすぎないことに伴う内在的な制約によるものであり、このような見地から、特許法2条3項にいう「実施」は、日本国内におけるもののみを意味すると解すべきである。そうすると、外国で使用される物についてまで「その発明の実施にのみ使用する物」であるとして特許権の効力を

          製パン器事件:外国における実施行為に向けた間接侵害の成否

          ボールスプライン事件:均等論

          特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても、 (1)右部分が特許発明の本質的部分ではなく、 (2)右部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、 (3)右のように置き換えることに、当該発明の属する技術の分野におけ る通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、 (4)対象製品等が、特許発明の特許出

          ボールスプライン事件:均等論

          人口乳首事件:国内優先権の効果

          後の出願に係る発明が先の出願の当初明細書等に記載された事項の範囲のものといえるか否かは,単に後の出願の特許請求の範囲の文言と先の出願の当初明細書等に記載された文言とを対比するのではなく,後の出願の特許請求の範囲に記載された発明の要旨となる技術的事項と先の出願の当初明細書等に記載された技術的事項との対比によって決定すべきであるから,後の出願の特許請求の範囲の文言が,先の出願の当初明細書等に記載されたものといえる場合であっても,後の出願の明細書の発明の詳細な説明に,先の出願の当初

          人口乳首事件:国内優先権の効果

          ウォーキングビーム事件②:「実施発明の範囲」

          「実施又は準備をしている発明の範囲」とは、特許発明の特許出願の際(優先権主張日)に先使用権者が現に日本国内において実施又は準備をしていた実施形式に限定されるものではなく、その実施形式に具現されている技術的思想すなわち発明の範囲をいうものであり、したがって、先使用権の効力は、特許出願の際(優先権主張日)に先使用権者が現に実施又は準備をしていた実施形式だけでなく、これに具現された発明と同一性を失わない範囲内において変更した実施形式にも及ぶものと解するのが相当である。 判決全文は

          ウォーキングビーム事件②:「実施発明の範囲」

          ウォーキングビーム事件①「実施の準備」(79条)とは

          79条にいう発明の実施である「事業の準備」とは、特許出願に係る発明の内容を知らないでこれと同じ内容の発明をした者又はこの者から知得した者が、その発明につき、いまだ事業の実施の段階には至らないものの、即時実施の意図を有しており、かつ、その即時実施の意図が客観的に認識される態様、程度において表明されていることを意味すると解するのが相当である。 判決全文はこちら:

          ウォーキングビーム事件①「実施の準備」(79条)とは

          インクタンク事件②:"リサイクル品"

          我が国の特許権者等が国外において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,我が国において特許権を行使することが許されるというべきである。 そして,上記にいう特許製品の新たな製造に当たるかどうかについては,特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされた場合と同一の基準に従って判断するのが相当である。 しかしながら,特許権の消尽に

          インクタンク事件②:"リサイクル品"

          インクタンク事件①:特許権の国内消尽

          特許権者等が我が国において特許製品を譲渡した場合には,当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し,もはや特許権の効力は,当該特許製品の使用,譲渡等には及ばず,特許権者は,当該特許製品について特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である。 判決全文へのリンク⇒ 平成18(受)826 (リンク先へのアクセスが制限されている場合があります) 判決全文のファイルはこちら

          インクタンク事件①:特許権の国内消尽