或る歴史と或る耳と

ミュージック・マガジン誌の「50年の邦楽ベスト100」及びローリング・ストーン誌の「『…

或る歴史と或る耳と

ミュージック・マガジン誌の「50年の邦楽ベスト100」及びローリング・ストーン誌の「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」を網羅的に聴き、参加メンバーの感想をまとめて記録していきます。月・水・金曜更新。

マガジン

  • ローリング・ストーン編(1-100)

    ローリング・ストーン誌の「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」で取り上げられている作品たちを扱った記事のまとめです。

  • 座談会

    約10週ごとに行っているメンバー座談会の模様です。

  • まずはこちらを。

    企画についての説明と、参加メンバーの自己紹介記事です。自己紹介でそれぞれの嗜好を踏まえて読んでみると、新しい発見があるかもしれません。

  • 番外編

    メンバーの推薦盤を扱った記事のまとめです。

  • ミュージック・マガジン編

    ミュージック・マガジン誌「50年の邦楽ベスト100」で取り上げられているアルバムを扱った記事たちのまとめです。

最近の記事

  • 固定された記事

はじめに: 企画概要

「はじめに」のはじめに みなさんには、”通ってこなかった名盤”が何枚あるでしょうか?誰しも、名盤とされていたり定番とされているにもかかわらず聴いたことがない、というアルバムがたくさんあるはずだと思います。興味がないわけではないのだけど、なんとなく聴くきっかけがないし、今更聴くのも…、というような気持ちに共感を覚えてくれる方も多いことでしょう。  この企画の目的は、私自身が聴いてこなかったたくさんの名盤のうちいくつかに触れてみるきっかけを作ること、そして他者を巻きこむことで途中

    • The Band『Music From Big Pink』(1968)

      アルバム情報アーティスト: The Band リリース日: 1968/7/1 レーベル: Capitol(UK) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は100位でした。 メンバーの感想The End End  メロディとリズムと音色の楽しさが全部ある。これをグッド・ミュージックと呼ばずしてどうするのかと言いたくなるほど、充実感が全体を包んだアルバムだ。ところどころに忍ばせてある一筋縄ではいかなそうな不穏な空気も、コントロールされた上で適切に出力さ

      • Johnny Cash『At Folsom Prison』(1968)

        アルバム情報アーティスト: Johnny Cash リリース日: 1968/5/6 レーベル: Columbia(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は164位でした。 メンバーの感想The End End  なんとなくカントリーに対して直線的なグルーヴの音楽だというイメージを抱いていたけれど、よくよく聴くと16分でスネアを刻むセカセカした曲でも、細かく/小さく揺らいでいるな。細野の『泰安洋行』や『Flying Saucer 1947』以

        • Zombies『Odessey and Oracle』(1968)

          アルバム情報アーティスト: Zombies リリース日: 1968/4/19 レーベル: CBS(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は243位でした。 メンバーの感想The End End  生演奏っぽくないストリングスやフルートが聞こえて、おや?と思ったら、メロトロンが使われているらしい。メロトロンってこんな時期にもうあったの、すごすぎるな。  メロトロンはさまざまな楽器の音を各音階ごとに収めたテープが鍵盤を押すと再生される、サンプリ

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        はじめに: 企画概要

        マガジン

        • ローリング・ストーン編(1-100)
          55本
        • 座談会
          12本
        • まずはこちらを。
          14本
        • 番外編
          13本
        • ミュージック・マガジン編
          100本

        記事

          Laura Nyro『Eli & the 13th Confession』(1968)

          アルバム情報アーティスト: Laura Nyro リリース日: 1968/3/13 レーベル: Columbia(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は463位でした。 メンバーの感想The End End  スクエアとシャッフルとを気ままに行き来する構成を多くの曲がとっていて、それが飛び道具としてではなく成立しているのが凄まじい。リズムだけでなくテンポも伸び縮みするようにシームレスに変化していて、スルッと聴けているのが不思議になる。  

          Laura Nyro『Eli & the 13th Confession』(1968)

          Velvet Underground『White Light/ White Heat』(1968)

          アルバム情報アーティスト: Velvet Underground リリース日: 1968/1/30 レーベル: Verve(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は272位でした。 メンバーの感想The End End  ここまでの作品リストに、ここまで反復の快楽を自覚的にやってるアルバムってあったっけ……?収音ではなくアンプから音が出る段階でガサガサしてる歪みも。ずっとガサガサしてるから、急に綺麗なアコギのアルペジオが鳴りだす瞬間、思わず

          Velvet Underground『White Light/ White Heat』(1968)

          Aretha Franklin『Lady Soul』(1968)

          アルバム情報アーティスト: Aretha Franklin リリース日: 1968/1/22 レーベル: Atrantic(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は75位でした。 メンバーの感想The End End  前回聴いた彼女のアルバムは、構造的に"歌が全体を引っ張る"形をとっていたように思う。それに対して今回は"まずアンサンブルが在って、その上に歌が乗っかっている"曲が増えたような印象を覚えた。  エレキベースの弾力のある音色/プ

          Aretha Franklin『Lady Soul』(1968)

          Dr. John『Gris-Gris』(1968)

          アルバム情報アーティスト: Dr. John リリース日: 1968/1/22 レーベル: Atco(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は356位でした。 メンバーの感想The End End  冒頭から様子がおかしい!1曲目のイントロがギターなのかサックスなのかもよく分からないし、フレーズひと回し毎にLRがバツッと入れ替わる曲なんて聴いたことがない!!  やたらと低域が回るベース、ジメジメした反響、ドタバタしたドラム…宅録とはまた違っ

          Dr. John『Gris-Gris』(1968)

          Bob Dylan『John Wesley Harding』(1967)

          アルバム情報アーティスト: Bob Dylan リリース日: 1967/12/27 レーベル: Columbia(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は337位でした。 メンバーの感想The End End  Rチャンネルに寄っているドラムの音がすごく生々しいというか、目の前で叩いているのを聴いている時にかなり近い。おそらくはドラムに立てるマイクがすごく少ないのだと思う。(「I Dreamed I Saw St.Augustine」ではス

          Bob Dylan『John Wesley Harding』(1967)

          The Who『The Who Sell Out』(1967)

          アルバム情報アーティスト: The Who リリース日: 1967/12/15 レーベル: Track(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は316位でした。 メンバーの感想The End End  『Pet Sounds』とはまた違った形の、"フィル・スペクターの向こう側"なサウンド。モノミックスやエコーが生み出す効果、あの迫力をロックに落とし込んだ例として完璧だ。  ソングライティング自体が大きいというか、広い場所が似合うムードを纏っ

          The Who『The Who Sell Out』(1967)

          Beach Boys『Wild Honey』(1967)

          アルバム情報アーティスト: Beach Boys リリース日: 1967/12/11 レーベル: Capitol(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は410位でした。 メンバーの感想The End End  なんとなくだけど、ビーチボーイズにはガナって欲しくなかったな……。なんか、説明が難しいのだけど、そこの型は破らないのが美しかったじゃん!!みたいな。それだけの差なんだけど、ため息をつくような魔法ってそういう部分の差に宿るじゃないです

          Beach Boys『Wild Honey』(1967)

          Jimi Hendrix Experience『Axis: Bold as Love』(1967)

          アルバム情報アーティスト: Jimi Hendrix Experience リリース日: 1967/12/1 レーベル: Track(UK) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は92位でした。 メンバーの感想The End End  単純にプロダクションとして質が高すぎる。タムの迫力やギターの録音の生っぽさ(自分でアンプを使ってギターを弾いている時とのギャップの無さ)、ここまでレビューしてきた作品たちと比べて明らかに抜きん出ている。  楽曲につ

          Jimi Hendrix Experience『Axis: Bold as Love』(1967)

          Love『Forever Changes』(1967)

          アルバム情報アーティスト: Love リリース日: 1967/11 レーベル: Elektra(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は180位でした。 メンバーの感想The End End  すっごく最高だ!ドラムの音色、ベースのリズム、うっかりしていると見過ごしそうなほど穏やかに不穏なムードを演出するギター…コーラスの重なり方やエコーの具合もやり過ぎていなくて、かなり今の耳で親しみを持って聴くことができた。  『Forever Chan

          Love『Forever Changes』(1967)

          Cream『Disraeli Gears』(1967)

          アルバム情報アーティスト: Cream リリース日: 1967/11/10 レーベル: Reaction(UK) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は170位でした。 メンバーの感想The End End  "割れちゃった"みたいな歪み方はアンプによるものなのか、マイク以降のプロセスによるものなのか気になる。これだけガサガサなのにウォームなムードたっぷりだから面白い……ウォームというか、ホットだな。これは。  歌えるリフをたくさん作れるって紛れ

          Cream『Disraeli Gears』(1967)

          Kinks『Something Else by The Kinks』(1967)

          アルバム情報アーティスト: Kinks リリース日: 1967/9/15 レーベル: Pye(UK) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は478位でした。 メンバーの感想The End End  ユニゾンってやっぱり良いですね……コーラスまで使って和音がパッと広がる瞬間も用意されていることで、同じフレーズを全員で弾く瞬間の気持ち良さが何倍にも増幅されている。  全体を通して過剰でないハッピーさがアンサンブルを包み込んでいて、ここのところ増えてき

          Kinks『Something Else by The Kinks』(1967)

          Pink Floyd『The Piper at the Gates of Dawn』(1967)

          アルバム情報アーティスト: Pink Floyd リリース日: 1967/8/5 レーベル: Columbia(US) 「『歴代最高のアルバム』500選(2020年版)」における順位は253位でした。 メンバーの感想The End End  え、このアルバム、金澤ダイスケがキーボードを弾いていますか……?ところどころにフジファブリック感が……  それはさておき。ジミヘンに対して"呪術的"というレビューを多く見たし納得するが、個人的にはこちらの方がドロドロしていて、呪(まじ

          Pink Floyd『The Piper at the Gates of Dawn』(1967)