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冷泉小屋エネルギー問題が決着(ひとまずの解答)

こんにちは。冷泉小屋広報部です。梅雨も明け、暑い日々が続きますね。冷泉小屋では8月末のプレオープンに向けて爆走中です。

冷泉小屋とは?
長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる乗鞍岳の中腹に位置する山小屋です。小屋のすぐ脇に湧いている年間通して冷たい(5℃)硫黄冷泉があることが名前の由来。2006年から閉鎖中。2021年夏の再オープンを目指しています。

リノベーションと同時に決めなければいけないのがエネルギーに関することでした。どんなエネルギー源を使うのか、どんな設備を入れるのか。効率と環境への負荷の少なさとのバランスを考えながら検討してきました。

エネルギー視点で見た冷泉小屋の特徴と理想

以前の記事にも書きましたが、冷泉小屋にはこんな特徴があります。
 ・国立公園内。自然環境を守るのはマスト。
 ・完全オフグリッド。都市ガスや電線などのインフラは皆無。
 ・目の前に湧き出る水。小屋の由来となっている冷泉は年間通して安定的な湧き水が得られるので、水資源は比較的豊富。
 ・太陽をたっぷり浴びる立地。長野側の斜面に面していて、さえぎるものがないので晴れていれば太陽光を活用できるはず。

そんななか、「こんなことを目指したい!」という思いも。
 ・環境負荷を少なく効率的にエネルギーを賄いたい
  最先端先端/既存関係なく、効率のよいエネルギー技術を取り入れ、
 ・冷泉はフル活用したい
  水資源はエネルギー源として活用したい。さらに温泉にしたい!

冷泉小屋では「電気を得る方法」だけでなく「お湯を温める方法」も同時に考える必要がありました。

"お湯"問題は二段ロケット

年間通して5℃前後の冷泉の水を、一気に40-42℃の温泉にしようとするのはとてもカロリーを使う=エネルギーが必要となります。

そこで我々が検討したのは、水を一定の温度まで温めることができる太陽熱温水器。太陽光発電に比べてエネルギー効率の良い仕組みで、1980年代までは広く普及していました。屋根にタンクを乗せているおうちも以前よくみかけました。その後、一般家庭で売電ができるようになり太陽光の活用方法としては太陽光発電の方がが人気になったそうです。太陽光に恵まれている冷泉小屋では、お湯を温めるための最適なチョイスと考えています。

とはいえ太陽熱温水器も万能ではありません。アツアツのお湯にする馬力がなかったり、温度調整が難しかったりします。そこで30度程度のゆるま湯にしてから、LPガスを使ってお風呂用に沸かす、という2段階にすることにしました。なるべく太陽のチカラを活用しつつ、しっかりコントロールできるフォーメーション。図にするとこんな感じです。

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一方、諦めた部分ももちろんあります。それはシャワー。水をたくさん消費してしまうし、その分エネルギーも消費します。冷泉小屋は快適ではありたいものの、あくまでも山小屋です。お湯をじゃぶじゃぶ使ってしまうシャワーは国立公園内にある小屋としてふさわしくないと判断いたしました。たっぷりの温泉は用意しますので、手桶で汲んでお風呂をお楽しみいただければと思います。

現状のベストな選択肢を

家電や明かりなどで必須の電気。広報係もリノベ中の小屋に宿泊しましたが、冷蔵庫がないので食料は毎回もって登らなければいけないし、電気はポータブル太陽光発電機などで発電していました。お客様に泊まっていただくためには安定した電力確保が必要です。

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そこで、私たちの今のところの結論は…EV (Electric Vehicle)+ポータブル太陽光発電+マイクロ水力発電+LPガスの合わせ技!いわば一つのソースに頼らないやり方です。

 ・EV=エコなバッテリー
  現地でのCO2排出がゼロという利点があるEV。
    ※追記:ご指摘により修正しました

 ・ポータブル太陽光発電+マイクロ水力発電
  
この2つは、地の利が活かせてエコ度が高いけれど、安定供給や発電効率を考えると、これだけに頼るのはちょっと不安。そのため将来性が大きい未来への投資と考えています。固定のソーラーエネルギーパネルは国立公園の規制上設置できないのでポータブルな太陽光発電機を利用して、さんさんと照るお日様のエネルギーをバッテリーに蓄えます。

 ・LPガスでの発電
 こちらは効率がよいけれど、運搬の頻度や環境負荷を考えると、あくまでもサポートに位置付けたいと考えています。いわば緊急時用のエネルギー源。

図で示すとこんな感じ。ひとつの方法に頼らず、組み合わせることで効率的かつエコな発電を目指します。

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未来への宿題

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これでエネルギー問題は決着?

いいえ、これで終わりではありません。本当に環境に優しい方法がこの組み合わせだとは私たちも思っていません。今後の技術革新によってよりベターな手法も登場するでしょう。

私たちも冷泉の水の落差を利用したマイクロ水力発電の可能性を検討したり、テクノロジーに関する情報を集めたりと、引き続きよりよいエネルギーの在り方を模索しています。

「こんなオススメの発電方法あるよ」「この技術が注目!」などの情報があればぜひプロジェクトに教えてください。

プレオープンまであと1カ月

プレオープンに向けて準備をしつつ、9月いっぱいまで投資型クラウドファンディングも開催しています。「投資型クラファンって何?」「初めてで不安」と気になった方は、8月5日(木)の合同説明会もぜひチェックしてみてください。ファンドを運営しているエンジョイワークスさんが実施中の他3つの投資型クラウドファンディングも取り上げますが、投資型クラファンのあらましを説明する予定です。

乗鞍も梅雨が明け、眩しい夏がやってきました。みなさんも体調には気を付けてお過ごしくださいね。山の上でお会いできるのを楽しみにしています。

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