マガジン

  • 中川多理 Favorite Journal[樺太/サハリン]

    神田『Passage』中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地より 特集[サハリン/樺太]の本を読む

  • 中川多理 Favorite Journal から本を読む

    https://passage.allreviews.jp/store/CX7JTYBNZAS6H5YUEW65NVB2に登録された本は、毎月、あるテーマによって選ばれている。それを読み解き、もって歩きながらの感想を述べる。

  • 山尾悠子・中川多理のコラボレーション・ドキュメント

  • デザイナーの机の上で…見つけた!

    デザイナーの机の上には、デザインが終わって出版された本や、資料用の本や、興味を曳くものがいろいろ見つかる。断って借りてくる。 視点が固まってしまいがちな自分の視点が拡がるのが分かる。

  • 日々之徒然

    日々徒然に思うことを、流して書いて行く。もしかしたら自分のメモに限りなく近いかもしれない。

最近の記事

 唐組『泥人魚』(花園神社公演)

テントを訪れたのは花園神社公演の中頃だった。(中川多理『白堊——廃廟苑於』の展示で初日には身動きがとれなかった)その初日前日に唐十郎亡くなられ、縁の人たちが駆けつける報道が飛びかっていた。 どんな雰囲気なのだろうかとか少し危惧もしたが、唐組さすが、淡々といつも通りの紅テントだった。ただ劇団員の顔に笑みはなかった。 麿さんと熊さんが招待席で存在感を放っていた。 「ヘイ、コーラ」の低い声とともに、ガニが先頭でつづく三人の男たちが、頭上にブリキ板を支えて入ってくる。 足でガラス戸

    • 中川多理『白堊——廃廟苑於』ドキュメント③『鳥葬声宴』川野芽生短歌朗読会

       川野芽生短歌朗読会『鳥葬声宴』が終わった後の会場の床には短歌が書かれた半紙が散華されていた。まさに傷をつけられてようやくのことレスタウロされたジャヤバルマン(三島由紀夫/癩王のテラス)やヘリオガバルス(アルトー)の人形に対する散華であった。  ジャヤバルマンの傍の一枚をひろうと   月に雲 骨に肉叢 月と骨ましるに惹きあへば  肉いたむ                                 と、書かれてあって、[骨に肉叢]が横向きに描かれていた。  この日、

      • 中川多理展『白堊——廃廟苑於』ドキュメント②

         人形たちが、元映画館に運び込まれて並びを待っているとき、まだ、はっきりした展示の方向はまだ見えていなかった。  「このこたちが決めるよ…」 どうしようかと追いつめられていながら、少しだけ呑気に構えていた。 床に、白堊の[堊]の字が描かれていた。奇しくも堊は壁であると…。 全開の、展覧会で、ビスクを始めた中川多理の人形たちに、[白堊]をつけたことが、今回の展示のリードする引用線になっていたことに気づいた。最近のことだけど…も。  壁に新作のオールビスクの人形を並べる。入れる

        • 中川多理展 白堊—廃廟苑於/はくあはいびょうえんにおいて/ドキュメント①

          壁状納骨堂  廃廟苑というタイトルは、壁状納骨堂、Colombarioからの連想から来ている。 Colombarioをはじめて見たのは、ヴェネチアの墓の島・サン・ミケーレ島だったか、シチリア・パレルモの傍の修道院だったか…フィレンツェのサン・ロレンツォ教会…だったか…よく覚えていないが、心に不可思議に刻まれている。 小さなアパートのような白い建物の様な壁に、骨が収められて墓になっている。  元々、イタリアの教会は、床にも壁にも屍体を収める様な設えになっていて、信者に踏まれて

         唐組『泥人魚』(花園神社公演)

        • 中川多理『白堊——廃廟苑於』ドキュメント③『鳥葬声宴』川野芽生短歌朗読会

        • 中川多理展『白堊——廃廟苑於』ドキュメント②

        • 中川多理展 白堊—廃廟苑於/はくあはいびょうえんにおいて/ドキュメント①

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        • 中川多理 Favorite Journal[樺太/サハリン]
          3本
        • 中川多理 Favorite Journal から本を読む
          13本
        • 山尾悠子・中川多理のコラボレーション・ドキュメント
          9本
        • デザイナーの机の上で…見つけた!
          2本
        • 日々之徒然
          13本
        • 戦争を読む。
          7本

        記事

          気づいたらもやもや君が、酷いことになっている…のその先。

          ネット上でこんなやり取りを見つけたよ。酷いね。 と、教えてくれる人が居たので、読んで見たら、たしかに酷い。 に対して、PASSAGEの回答が以下のようなこと。 PASSAGEで売りが立たないのなら、メルカリかAmazonへ行けと。 まぁまぁ塩対応なお返事ですが、簡単に云うと文句があるなら出てきなさいよということですね。今は、棚は引く手数多なので、どんどん入ってどんどん止めてもらうと、最初の入会金が何度も何度も何度も入ることになってうはうわな訳です。一般棚子たちは、運営して

          気づいたらもやもや君が、酷いことになっている…のその先。

          中川多理・人形展・元映画館於『白堊 廃廟苑於』/川野芽生短歌朗読会『鳥葬声宴』+『人形歌集Ⅱ 骨ならびにボネ』/日々是徒然  [~について思う断章]

           できあがる瞬間に化学変位が起きて予想もしなかった形になることがある。その形が時代を作ることもあるし、創造のラウンドをすっと1段階上げたりもする。もちろん創作全部に起きるわけではない。寧ろ稀にしか起きないことだ。 その稀に起きることに結構な回数立ち会ってきた。たぶんそこに吸い寄せられて来たからだろう。だけれどもその瞬間のことを言葉にするのは難しい。自分の能力と立場ではできなかった。多分、今もこれからも…。記述は、今までの言葉あるいは見えている表層をとらえる言葉で行われる。

          中川多理・人形展・元映画館於『白堊 廃廟苑於』/川野芽生短歌朗読会『鳥葬声宴』+『人形歌集Ⅱ 骨ならびにボネ』/日々是徒然  [~について思う断章]

          気がついたらもっと酷いことだった/Amazonとpassageの話。

          一つはAmazonのプリント・オンデマンド版について。 で触れたが、このオンデマンド版、Amazonではペーパーバックと書かれて[ポッチ]を誘っている。 単行本と書くとハードカバーを何となくイメージする。ネットでも検索するとペーパーバックの方が軽くて持ち歩きやすいなどとサクラなのかAmazon自身なのかは分からないが、ペーパーバックを進めている。 僕のよく買っている笠間書院のコレクション日本歌人選は単行本の方もペーパーバックなのである。 高い値段を出して、表紙レイアウトめち

          気がついたらもっと酷いことだった/Amazonとpassageの話。

          THIS IS NOT A BOOK/これは本ではない/相当納得のいかない話

           かからむの 懷ひ知りせば  大御船 泊てし泊りに  標結はましを  額田王女の天智天皇葬儀に対しての歌。  妄想屋の自分としては、沓片方残して消えた天智天皇という方を取りたくて、天智天皇の消失に詠んだ女性の歌を集め読んでいた。この歌も面白くて、現代語訳は、  このようなお考えを事前に知っていたならば、天皇のお乗りになる船が停泊している港に、しめ縄を張っておいたものを となる。『額田王女と初期万葉歌人』梶川信行/笠間書院 そうやって沓一足残して消えてしまうようなお考え/

          THIS IS NOT A BOOK/これは本ではない/相当納得のいかない話

          少し納得のいかない話。もやもや君勃発/Passage by All Reviewsについて

           また停電?かい。  狭いパッサージュでは、停電は致命的だ。僕がもらった棚は、天井に貼り付いた最上部にあり、下から見たら霞んで見えない。(笑) 電気が付いてなくてもね実は下から見えないんだ。困ったもんだ。ここのオーナーは書店というものがどんなものか分からないでいらっしゃる。ついでに出版についてもね…。自分は王様の椅子に坐って真ん中の棚を占拠してらっしゃるから。  3月24日からオンライン販売・システムがダウンして『人形歌集 羽あるいは骨』短歌・川野芽生/人形・中川多理の歌集

          少し納得のいかない話。もやもや君勃発/Passage by All Reviewsについて

          日々徒然読書録2月~3月②

           2月は『鳥の起源を追って』という文章を書くのに『雨月物語』『撰集抄』あたりの本をだいぶ読んだけれど、それとはまったく関係なく、山科の『春秋山荘』で展覧会を行なうために通っていたときのことがまざまざと思い出され、もう少し「天智天皇陵」のあたりを散策すれば良かったと悔いが残っている。山に野生の茶を探しにばかり行っていて、山荘付近の磁場をもう少し身体に含んでおけばよかったと…。鏡山に登ったり…狩り場を探したり…すればよかった。  ということで、歴史に弱い自分は、もう一度、山科の

          日々徒然読書録2月~3月②

          『ヴェーロチカ/六号室』チェーホフ『雪の宿り』神西清 @中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地/(3月) 

           中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地に、そろそろ川野芽生の『人形歌集・羽あるいは骨』の第二刷が入ってくるらしいので、覗きにでかけた。中川多理の生写真がついているらしい、歌集に使われた人形の…。ちょっと楽しみだったがまだ入っていなかった。 代わりに、『ヴェーロチカ/六号室』チェーホフ◎浦雅春訳と『雪の宿り』神西清を手に入れた。 此のパッサージュで教わった『二十六人の男』ゴーリキー、そして『サハリン島』チェーホフの延長にある二冊のような

          『ヴェーロチカ/六号室』チェーホフ『雪の宿り』神西清 @中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地/(3月) 

          鳥の起源を追って/中川多理人形ドキュメント◉第一章『化鳥拾遺』

          薄墨の夜に。  うたた寝をして夢を見て、其の夢から覚め、また夢に囚われる。それを幾度となく繰り返しながら朝を待つ。  稽古茶室に息を顰めるようにして四日目。  「てっぽうだよ!」  早替わりのチャリ裡の声にも似た掛け声がした。遠雷のような鉄砲音がして、撃たれ倒れ込んだ。我が身、猪であったか、鳥であったか…黝い男に撃たれたことしか覚えていない。  そっと目をあけて、いま何処か、いまいつかを確かめる。大丈夫まだ九条山にいる。円窓を細めにあけ、外の気配を伺うと、果たして垣根の隙間

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          鳥の起源を追って/中川多理人形ドキュメント◉第一章『化…

          鳥の起源を追って/中川多理『化鳥』

           知り合いの歌人の姉に、囁くように聞かれた。 「いつから鳥を作っているのですか?小鳥たちが契機ではないですよね。」 「そうですね。以前に、『化鳥』という展覧会をしていますから… 「『化鳥』は… 「『化鳥』は、ですね…」 と、そこまで云ったときに、歌人がすーっと後ろを通っていって机に坐ってスケッチブックを拡げた。頬に手を当てて歌を詠んで書き留めている。万年筆かボールペンで書いている。修正をしないという前提だ。今、浮かんで言葉が進行して行く。頭の中なのか…スケッチブックの上なのか

          鳥の起源を追って/中川多理『化鳥』

          中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地より/『灯台守の話』『オレンジだけが果物じゃない』

           中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地はいま、芥川賞候補になった川野芽生の『人形歌集・羽あるいは骨』で賑わっている。中川多理の『』その中からこっそり、『灯台守の話』『オレンジだけが果物じゃない』ジャネット・ウィンターソンをとり出して、購入した。  最近、吉田隼人から教わった読書線(著作からだけど…)〈ポルトレ〉で、読む。以前、少女漫画に入っていかれなくて大変だったときのことを思い出した。あの時は、萩尾望都さんに会ったり、その作品を劇団の

          中川多理 Favorite Journalポール・エリュアール広場 2番地より/『灯台守の話』『オレンジだけが果物じゃない』

          デザイナーの机の上で/『作家と楽しむ古典』/仮名手本忠臣蔵(松井今朝子)

           デザイナーの机の上で『作家と楽しむ古典』(河出書房新社)を見つけた。このシリーズは、池澤夏樹個人編集の日本文学全集のピックアップ・レクチャー本だ。  基本的に池澤夏樹の読む力の深度に疑問をもっているので、そして池澤が選ぶ、訳者とか選者に目にも納得しがたいものを感じているので、大きなところではアンチ。全集自体は読んでもいなし買っていない。  『作家と楽しむ古典』には、好色一代男・島田雅彦/曾根崎心中・いとうせいこう/菅原伝授手習鏡・三浦しをん/仮名手本忠臣蔵・松井今朝子/春

          デザイナーの机の上で/『作家と楽しむ古典』/仮名手本忠臣蔵(松井今朝子)

          日々是徒然一月①予言喫茶

           気づくと、ふらりと赤坂辺りにでていた。銀座線に乗って適当な処で降りて、町を一周して戻ってくる。そしたら少し気分も晴れるかも…そんなことを思っていた…のかもしれない。良く覚えていない。  赤坂なら『砂場』で蕎麦をたぐって、帰ってくればいい。で、蕎麦はいつの間にか雑煮に代わっていた『虎や』の。 で、ふらふらと裏道をいくつか適当に、抜けていくと『面倒くさい本屋』という名だっけな、面白い本屋さんを見つけて入って、何冊か文庫、新書を買った。どういう基準で品揃えしているかが分からないが

          日々是徒然一月①予言喫茶