まもるンち

お話を書くことが大好きです。カクヨムでも他の作品を連載中。そちらもご一読いただけたらと…

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お話を書くことが大好きです。カクヨムでも他の作品を連載中。そちらもご一読いただけたらとてもとても嬉しいです。→X(Twitter)のリンクから飛べます。 ※無断転載はお断わりしています。

マガジン

  • レオンファミリー

    • 2,917本

    共同マガジン|レオンファミリーの誕生日は2024年5月19日。 参加者は200名以上。 目的は愛を届けること。この一点。 トップの表示の文言やタイトル画面は変更しないでほしい。 変更された場合、予告なくマガジンから追放することがあるから注意。 詳しくはこちらから。 https://note.com/leon0812/n/ne50160a3b856?magazine_key=mfb3685bde725

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恐怖の手触りをさぐる ~このコンテンツの主旨について~

怖い話が好きだ。 人に聞かせるのも、人から聞くのも好き。 ホラー小説もホラーマンガも読む。ホラー映画も観る。 では怖がるのが好きかというと、別にそうでもない。 僕はものすごく怖がりだ。 だからこそ、恐怖という感情の正体を暴いてしまいたいのかもしれない。 恐怖の正体を知りたい。 だから少しでも多くの恐怖に触れるため、色々な人から話を聞いた。 その人自身が経験した怖い出来事について。 その人の友人が経験した不思議な出来事について。 ここにはそういったお話を、できるだけ脚色しな

    • 見ててくれ その1

      僕の周りに、自称〈見える人〉というのが何人かいる。 A君もその一人だ。 A君はいわゆる引き寄せ体質の持ち主で、 選ぶ遊び場、お気に入りの居酒屋、職場なども、 わりと高い確率で「一人は」見えるという。 見えるといっても、 はっきりと人の形をしていないことの方が圧倒的多数だ。 その多くは、嫌な感じを覚えるモヤのような姿だという。 それでも決していい気はしないし、 そうそういつも相手をしていられないとA君も思っているので、 A君から〈見えるもの〉について干渉することはほとんどな

      • 山妖

        僕の父は四国出身だ。 今より何十年も前、父がまだ少年だった頃は、 父の住む漁村はもはや隔離された感もある“超田舎”だった。 前は海。後ろは山。 その山を大きく隔てて隣町がある。 今はその山のど真ん中に大きなトンネルが掘られて、 かつて隔離されていた村は、 “次の町までの通路”みたいな扱いになっている。 もちろんアクセスは楽になった。 村の人は喜んでいるようだ。 子どもの頃は、 夏になると田舎に帰省した。 村の前にある海は水がきれいで、 磯には見たこともない不思議な生き物も

        • 押し入れ

          D君の部屋の押し入れは、 夜11時ちょうどから五分間、開かなくなる。 戸は微動だにしないのではなく、 ちょうど誰かが向こうから押さえているくらいの抵抗で動かないのだ。 5分経つと、すっと戸は動くようになる。 もちろん押し入れの中には誰もいない。

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          何のために、の家 その3

          東西南北すべての面に大きなサッシがあり、 外に出られる。 そこも妙だった。 四人は靴を脱ぎ、廊下に上がった。 すぐにふすまがある。 G君はずかずか進み、ふすまを開けた。 と、中は四畳半の和室。 壁はなく、隣室とはまたふすまで仕切られている。 家具は一つもない。 「すごい。壁が全部ふすまなんて見たことねえよ」 S君がつぶやきを漏らした。 「俺、左から行くわ。S、お前は右から行けよ」 「OK」 G君は入った部屋の左側のふすまを開けた。 そこもまたふすまだけの和室。 S

          何のために、の家 その3

          何のために、の家 その2

          彼女が大学生の頃の話。 Eさんは合コンドライブのようなものに赴いた。 女の子はEさんともう一人Yさん。 そしてメンズが二人。 同じサークルのメンバーだ。 Yさんとは仲が良かったが、 メンズとはほとんど面識がなかった。 だからこそのドキドキがEさんには心地よかった。 向かった先は信州。 町からもそう遠くない山。 近くにキャンプ場のような場所もペンションもある、 割合にメジャーなところだったはずだ。 木々が車道にぐいっとせり出した、 自然のトンネルのような道を、 くねくねカー

          何のために、の家 その2

          何のために、の家 その1

          幽霊屋敷の話ではない、念のため。 僕は30年近く昔、 和歌山のとある山中で妙な家を見たことがある。 山中、といっても分譲されている場所だ。 緩やかな斜面を山の頂上に向かって車で走っていた。 友達と4人。僕は助手席に乗っていた。 道中にも“〇〇台”みたいな、 いかにも最近拓けましたという分譲地がちらほらあった。 しかしそこは、 そういった分譲地よりぐっと山の中にあったのだ。 鬱蒼と茂った木々の狭間に隠れるように、 その4戸だけの分譲住宅は存在していた。 どの家も新しい。

          何のために、の家 その1

          階下の住人

          K君はハイツの二階に住んでいる。 朝、ゴミを捨てた時に、 たまたま真下に住む住人を見た。 三十歳くらいの普通の女性だ。初めて見た。 ちょうど部屋に入るところだった。 背中から声をかけようとして、ぎくりとした。 四十センチほど開けられたドアの隙間から、 室内が見えたのだ。 中に老婆が数十人、 ひしめきあうように立っていた。 みな一様に黙り込み、 ゆらりゆらりと揺れていた。

          階下の住人

          悪夢的な記憶 その2

          悪夢か現実かわからない思い出、2つめ。 これは中学生の頃。たしか1年生だった。 その頃住んでいた家から、 電車で2駅ほど離れた場所に廃工場があった。 僕はその廃工場が好きでたまに見に行っていた。 といって厳然たるおこずかい制だった当時のこと、 余分なお金を持っていたわけでもないので、 その廃工場までは自転車で通っていた。 工場の周辺は空き地になっており、 身の丈を越えるほどの雑草が生い茂っていた。 空き地の外側には、 ぐるりと有刺鉄線が張りめぐらされており、 工場に入るこ

          悪夢的な記憶 その2

          悪夢的な記憶 その1

          このコラムではまるで悪夢のような出来事について書いているが、 これは僕自身が経験した、というか、 今でも実体験だったのか悪夢だったのか、 その境界線がいまいち不明瞭な過去の出来事の話だ。 したがって明確なオチ的要素はないが、 あしからず。 まず1つめ。 恐らく小学校低学年の頃。 たぶん8歳くらいの頃の記憶だ。 両親と、2歳年上の姉、そして僕の4人は、 父の生家がある徳島に帰省していた。 夏休みだ。昼間海でしこたま泳いだので、 夜8時には疲れ切って、 もうすぐにでも寝てしま

          悪夢的な記憶 その1

          スローダンス その3

          オギさんの生き写しだった、という。 他の2体と微妙にズレているようで、 妙にリズム感がいい。 でもカッコいいとか洗練されているとかではなく、 とにかくスローで野暮ったく、 オーバーアクションなところがやけに面白い。 あの絶妙な動き。あの独特の間。 思わず笑ってしまう、あのセンス。 オギさん以外誰もできるはずのないダンスを、 スタジオのロボットんは見事に再現していた。 現場は大いに湧いた。 思いもよらぬ後継者の登場に、 番組の制作陣は心から喜んだ。 「……でも、 これはそん

          スローダンス その3

          スローダンス その2

          オギさんは末期ガンと診断された。 忙しさにかまけて、 少々体調が悪くても病院には行かず、 発見が遅れたのだった。 「状態を説明するために現場に来られた奥さんの顔がね……。 もうがっくり来ててさ。 十も一気に老け込んだように見えて。 あれは忘れられないなあ」 手術はしたものの、 ガンはあちこちに転移していて、 もはや手の施しようが無かった。 そして何度も手術できるほど、 オギさんに体力は残っていなかった。 以前からスレンダーだったオギさんの身体は、 いまや枯れ木のようになっ

          スローダンス その2

          スローダンス その1

          MさんがTV番組の制作会社を辞めて、 もう20年になる。 これはMさんがまだ現役バリバリのTVマンだった頃の、 とても不思議な話。 なので、今から40年ほども前の話だ。 「朝9時からやってた、 生放送の子ども向け番組だよ。 ○○××ってやつ。 関西しか流れてなかったんだけどね。 知ってる?」 知ってた。覚えている。 たまに風邪なんか引いて学校を休んだ日、 布団の中でまどろみながら観た記憶がある。 新人だったMさんはその番組でADをやっていたらしい。 内容自体はよくあるタ

          スローダンス その1

          グラウンド その2

          N実さんは目を凝らした。 「それは血まみれの赤ちゃんでした」 女性が抱いた赤ん坊からは生々しく鮮血が滴っており、 彼女の胸から腹にかけて真っ赤に染めていた。 そして女性は時折顔を上げ、 また俯いては赤ん坊の身体に唇を付けてしゃぶり、 その血をすすっていた。 真っ白な顔の中で口の周りだけが異様に赤い。 「不思議ですよね。その辺りでなぜか、 あ、もう死ぬかもしれないな、ってヘンに覚悟できたんですよ」 とはいえN実さんはかさりとも落ち葉を鳴らすことなく、 ゆっくりと元来た

          グラウンド その2

          グラウンド その1

          今は女性ジャーナリストとして働くN実さん。 彼女もまた奇妙な体験をしている。 「瀬戸内海のある島に行ったんですね」 卒業旅行だ。 スキューバのサークル仲間三人と。 女だけの旅行だった。 「わりと有名な島ですよ。好きな人なら何回も訪れるような」 それはガイドブックにも載っているような島だったらしい。 観光地というほどでもないが、 集落がいくつかあり、大きなグラウンドやテニスコートもある。 古き良き漁村としての顔も持つ、 好事家ウケのするこじんまりとした島だ。 N実さんは

          グラウンド その1

          すうーっ。 その2

          その日の夜。 さっそく妖怪が出たらしい。 O君が布団でとろとろとまどろんでいた時。 すうーっ、と壁から足が出てきた。 それは辺りをうかがうような様子だったらしい。 すうーっと出てはすっと引っ込み、 またすうーっと出ては素早く引っ込み。 眠さで感覚が麻痺していたO君は、 出ては引っ込むその白い足を無感動に見ていた。 そしてまた足が出て、 今度は一気に反対側の壁に走りぬけた。 舞台のカミテから出てシモテに入るように、 それは一瞬で対面の壁に吸い込まれた。 しかし、一瞬ではあ

          すうーっ。 その2