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WordでA5小説同人誌の本文データをつくる(明朝体サンプル有)

つづき。Wordで本文データをつくる編です!

本にするとなると、小説本文ページ以外のページが必要になります。

なので、本のページ構成を考える→Wordのページ設定をする→小説本文を流しこむ→小説本文のフォントを決める→残りのページのデザインをする→PDFに出力する…という順番で本文データをつくります。


本のページ構成を考える

どういう本にするか具体的に考えます。

自分がつくった小説同人誌は、大体以下みたいなつくりになっています。本によって、中扉がなかったり、あとがきがなかったり、あとがきと奥付を同じページにしたり、白紙のページをはさんだり…そのあたりは好みだと思います!

1. 扉
2. 目次
3. 中扉
4. 本文
5. あとがき
6. 奥付

 

1. 扉
表紙を開いて一番最初のページ。本のタイトルとかを入れます。文字だけだったり、表紙と近いデザインにしたりします。


2. 目次
各話タイトルと開始ページ数を入れます。自分が出す本はほとんど短編集なので入れますが、長編の場合などはなくてもいいと思います。


3. 中扉
各話のタイトルが入ったページ。タイトルを本文に含んで省略することも多いです(中扉を入れるとそのぶんページがかさむので…)。

あとは、短編の話のそれぞれがゆるやかに続く場合は、中扉は省略した方が各話が分断されすぎないかなと思って、本文中にタイトルを含ませています。逆に短編の各話で完結する場合は、中扉を入れて各話の空気感ができるだけ独立するようにしています。


4. 本文
小説本文のページ。A5では小説本文を二段組にしています。中扉に応じてタイトルが入ったり入らなかったり。本文ページには各話タイトルをヘッダー(ページ上部)や、ノンブル(ページ番号)をフッター(ページ下部)に入れています。


5. あとがき
その本のこぼれ話とかのコメントとかのページ。ここ読むの大好きなので、個人的には入ってるとうれしい!


6. 奥付

奥付は、発行物の素性、責任所在等を明確にするものです。

というわけなので、自分がつくる小説同人誌にも一番最後のページを奥付にしています。赤ブーさんのイベントガイドに則って、タイトル/発行日/サークル名/著者名/発行責任者名/発行責任者住所等連絡先/印刷所名などを入れています。あとは感想フォームにつながるQRコードとか、無断転載とかは禁止してますっていう主旨の注意事項とか。

くわしくは赤ブーさんのイベントガイドを参照してください。

R18について考えよう
https://www.akaboo.jp/guide/item/p0005.html




Wordのページ設定をする

いよいよWordのページ設定!

印刷所さんによってテンプレートが用意されていたり、サイズが違ったりするので、まずは印刷所さんのWEBサイトをチェックしてみてください。

自分が入稿したことのある印刷所さんで比較表をつくってみました。

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塗り足しは、実際に仕上がるサイズ(A5)よりも少し大きめにつくった部分のことで、大体上下左右3mmくらい必要になります。ページぎりぎりまで挿絵などが入る場合は、一度塗り足しまで印刷してあとから切り落とすことできれいなフチなしの印刷に仕上がります。

booknextさんの入稿データでは、ページぎりぎりまで挿絵が入らない場合でも、この塗り足しが必須です。

またPrint-ONさんの入稿データでは、ノンブル(ページ番号)が必須になっているので、全部のページに入れるか、見せたくないページでは印刷範囲外(塗り足し部分)に入れる必要があります。



じゃあ実際にそれぞれの印刷所さんに合わせて、Wordのページ設定をしよう!ということになるのですが、これが結構ややこしいです。

自分は下記のサイトを参考にしながら、Wordのページ設定しました。とても親切に書かれているので、落ち着いて最初からやればできます!

最初に設定しちゃえば、次からはデータをコピペしてできるから!!1冊目だけの難関!!!


無理そうだな~~って思ったら、印刷所さんが配布しているテンプレを使えば楽だし、間違いないです。気になるところだけ、好みに合わせてカスタムすれば大丈夫。

検索すれば、個人でも小説本のテンプレートを配布されているところがいくつか見つかると思うので、そういったものを利用するといいかもしれないです。

本文書くのが一番大変だから、そのほかはできるだけ楽にしたいよね…!!




小説本文を流しこむ

ページ設定が終わったら、書いた小説本文を流しこみます。もともとの書式が反映されちゃったりしないように、Wordじゃなくてメモ帳とかWEBアプリとかの装飾のない文字だけの状態(プレーンテキスト)からコピペした方がトラブルが少ないです。


それから本文のフォント決め!

使うフォントによって、イメージや読みやすさが変わるので超重要だと思います!!Wordにもたくさんフォントが内蔵されていますし、いろんなサイトでフリーフォントも配布されているので、ぴったりくるフォントを探すのはとっても楽しいです!


フリーフォントを使うときは利用規約に注意!「商用利用可」や「同人誌での使用可」になっているか必ず確認します。

それぞれのフォントによって使える漢字が違ったり、濁点かながなかったり、ダッシュ(──)がくっつかなかったりするので、早めにPDF出力して印刷してチェックした方が無難です。何回〆切直前で気づいて泣いたことか…!!

行間や文字間なども、フォントを決めたあとに気になれば微調整します。納得がいくまで、ポイントを変えてはPDFにして確認→そのあとプリントアウトして実際の紙の上で確認してみる、の繰り返しです。



Officeのストア版を利用しているときは、フォントをPCにインストールしてもWordで反映されないことがあります(自分は源暎ちくご明朝がダメでした…)。デスクトップ版に変更すれば使えるようになりましたのでご参考までに!




小説本文フォントサンプル

自分が過去使用したことのあるフォントでサンプルのデータをつくってみました!

booknextさんのテンプレートを使用して、本文は宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の第一章『午後の授業』を青空文庫さんから。すべてタイトルは10.5ptで太字、本文とヘッダーは8.5ptにしています。


MS明朝
ひらがなが大きめで読みやすくてバランスがいい。文字から受けるイメージが少ないと思うので、いろんな話が入っている短編集で基本のフォントとして使っています。標準でダッシュつながります。

MS明朝


IPAex明朝
筆運びがほとんど残っておらず、ハネやハライが太めで短いのでMS明朝よりポップな印象!コメディとかの楽しい話のときに使っています。標準でダッシュつながりません。

IPAex明朝


游明朝体(Light)
MS明朝よりもひらがながやや小さめで細め。ハライが長めで、やわらかなゆがみがあるので、ちょっと上品でロマンチックなフォントだと思います。かわいいイメージの話の時に使います。標準でダッシュつながりません。(上/標準・下/Light)

游明朝体

游明朝体Light


源暎こぶり明朝 ※20/6/16追記
MS明朝よりもひらがながやや小さめで細め。游明朝体よりもややしっかりめ(比べると「り」などが幅広く、全体的にハライとゆがみが少なめ)。品と力強さのバランスがいいフォントだと思います。シリアス寄りの話だけど、しっぽり明朝だと雰囲気が出すぎてしまうな…というときに使っています。濁点かな対応・標準でダッシュつながります。

源暎こぶり明朝


源暎ちくご明朝
小さめのひらがなだけどやや太めなのでしっかりした印象。うつくしい筆運びと強弱のついた線でほどよいやわらかさもあります。ちょっと硬派な文の時に使っています。濁点かな対応・標準でダッシュつながります。

源暎ちくご明朝


しっぽり明朝
源暎ちくご明朝よりも細く、よりたおやかなイメージ。濁点が小さくて品があります…!色気のある感じ。シリアスな話のときに使っています。濁点かな対応・標準でダッシュつながります。

しっぽり明朝




残りのページのデザインをする

本文以外の扉・目次・中扉・あとがき・奥付を、Wordのテキストボックスやワードアートでつくって配置します。

文字を並べるだけでもじゅうぶんだけど、表紙に使う画像を入れたり、ワードアートの基本図形並べたりとかいろいろできます。

今度実際に何パターンかつくってみようと思います!




PDFに出力する

Wordでつくったファイルを入稿するときにはPDFで保存します。そこからプリントアウトして確認するとフォントのチェックとかもできます!


印刷所さんの環境にないフォントを使用してしまっていると、印刷所さん側でデータを開いたときに勝手に別のフォントに置き換えられてしまいます。PDFにしたあと、つくったデータのフォントが「埋め込みサブセット」になっていれば大丈夫なので、念の為確認します。


できればページ全文を実際に印刷してみてチェックした方がいいと思います。データ上の問題だけでなく、思わぬ誤字脱字も発見できたりするので…!!




問題がなければ、本文データはこれで完了!
あとは表紙データだけ!!

基本の表紙データをつくる編につづきます!





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