ぶつりや種市

超心理物理学者・エセ科学バスター。 超心理現象(テレパシー、ミクロPK)をまじめに科学…

ぶつりや種市

超心理物理学者・エセ科学バスター。 超心理現象(テレパシー、ミクロPK)をまじめに科学する理論物理学者。 同時に「科学的とはどういうことか」、「科学的思考とは何か」を掘り下げる。 エセ科学とホンモノ科学とを見分けるコツについても研究中。 研究者、メディア関係者との連携推進中。

マガジン

  • 誰でもできる「科学的思考」

    震災や感染症などで不安や混乱が取り巻く社会に決まって広がる似非科学、デマ。 SNSが発達した今、あなた自身がデマ拡散に加担しているのかも。 これは、ニセ情報に騙されないハウツーを探求する、科学サイドからの提言集。

  • 科学トピック

    様々な科学関連トピックを分かり易く

最近の記事

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「波動医療」に気を付けて!

バイオレゾナンスは「波動医療」の一種。 1970年代にドイツの技術者(医師ではない)パウル・シュミットが開発しました。 その内容は‥ 「量子力学によれば物質は全て振動していて、それにより波動が出ている。 物質にはそれぞれに固有の周波数がある。 臓器の発する波動の周波数を測定することで不調や病気の原因を突き止める。 共鳴により波長を整えることで治療効果を得る」、のだとか。 一体この「波動」と称するものは何なのか? 「波動」ってなぁに?パウル・シュミットのバイオレゾナンス

    • 人まね子ザルに陥らない魔法の言葉

      アリスは気球にのり、ゆったりと空の旅を楽しんでいた。 ところが突然天気が急変。 突風で気球はあらぬ方向へ流されてしまう。 ずいぶん流されたところで、見渡すと全く知らない景色。 ボブはちょうどそのころ通りかかり、ただよってきた気球を見上げていた。 アリス「すみません。ここはどこ?」 しばらく考えてボブは答えた。 「あなたは今気球に乗っていますよ。」 「なぜ」がミソボブの回答は間違ってはいないが、さりとて役に立つ回答でもない。 質問者の意を介した

      • あとを絶たない陰謀論

        世界は秘密結社に支配されている、とかのやや食傷気味な陰謀論。 もはや化石? いやまったく、デラお元気です(笑)。 いつまでしゃぶるのそのネタ例えばそれはフリーメイソンだったり。 フリーメイソン、正しくはフリーメイソンリー(Freemasonry)は、陰謀論者が好んで「影の世界支配者」に仕立て上げる団体。 実際には推薦人と数千円の年会費で入れるただの親睦団体なのだが。 お笑いさんが、本業で売れなかったのか変な言説広めちゃうし、まったくもうね。 確かに数百年

        • 論理とアナロジー

          細谷功はその著書・「メタ思考トレーニング」(PHP研究所、2016)の中で、論理思考に加えアナロジーを駆使することの重要性を説きます。 論理思考は一貫性と連続性を目的としているのに対し、アナロジーは飛躍を旨とし、新しい発想を生む原動力となる、と。 なるほどな、と思いました。 個人的に非常に興味深く参考になる論考、かつ自分の経験に照らしても沿う内容。 ぜひ紹介したいと思いました。 共通項を見出しより高い視点へ細谷によれば、アナロジー思考は、抽象化と具体化の組み

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        記事

          教師の思考停止型手抜き

          前にもどっかで書いたんだけど、私は中学2年の時東京から山形に転校し、校則の変化に戸惑った経験があります。 特に髪型。 東京のときはまあ自由。 まず、チェックされない。 生徒手帳見れば一応規則みたいのは書いてあったけど、チェックされないから意識もせず、何が書いてあるのか詳らかにせず過ごせた。 だからと言って脂ぎったリーゼントとかモヒカンがいるわけでもなく、皆自然でしたよ。 それが山形はと言えば、五分刈り推奨、やむを得ない場合は前髪は3㎝以内(定規でチェッ

          教師の思考停止型手抜き

          無意識バイアスを最小限に

          人はなぜ偏見をもって人を見、偏見を持って判断するのか。 それはひとことで言えば、身の安全、そして種の持続のため。 生きるための瞬発力人類の何百万年にもわたる長い歴史の中で、気候変動により樹上生活から草原での生活を余儀なくされた先祖たち。 敵の首筋に突き立てる鋭い牙も俊敏な脚力も、空を飛ぶ力もない非力な先祖たちは、身を隠すものも少ない環境であらゆる猛獣の脅威にさらされました。 草陰に潜み、チャンスをうかがう猛獣の気配をいち早く察しなるべく早く危険回避の行動を起こす

          無意識バイアスを最小限に

          スプーン曲げは簡単

          超能力ネタでショービジネスを成功させた人と言えばユリ・ゲラー。 2024年現在の日本でも、この名前を聞けば多くの人が「ああ、あの人ね」と。 子供も真似する、ショーの天才彼が日本のテレビに初登場したのは1974年。 十八番のスプーン曲げの他にも、テレビの視聴者宅にある動かなくなった時計を、テレビ越しの念力で動かして見せる技も披露。 1974年と言えば私は6歳でした。 看過され、家にあったスプーンを試しに曲げて見たら、結構簡単に曲げることができました。 簡単す

          スプーン曲げは簡単

          健康情報フローチャート

          明治大学教授・石川幹人はその著書「なぜ疑似科学が社会を動かすのか」(PHP研究所、2020年)の中で、新聞広告に見られる疑似科学の時代変遷について述べています。 近年では新聞やテレビ等のマスメディア業界が悪徳商法に敏感になり、そういうものにカテゴライズされるビジネスの広告は掲載しないという姿勢を明確にした、と。 そのため昔は見られた催眠術や霊感占い、魔除けグッズ等の広告が消えた、とのこと。 1980年代の漫画雑誌の広告で、札束(らしきもの)で一杯のバスタブに使ってい

          健康情報フローチャート

          物理学におけるダイバーシティ

          「ジェンダーと理科系進路選択」。 これは2024年3月号の日本物理学会誌に寄せられた、大阪大学・服部梓の記事のタイトル。 物理学を志す女性が少ないことを問題視し、この状況をどう打開するかに主眼を置いた論考です。 それによれば、「物理の教育・研究・応用においても男女が互いにその人権を尊重し、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができるように」との理念で、学会内に男女共同参画推進委員会が設立された、と(同委員会は2023年に「ダイバーシティ推進委員会」

          物理学におけるダイバーシティ

          科学の発展に期待する力

          瀉血とは、血液の一部を体外に除去する、中世以降の欧米で行われた治療法。 血を抜くことで体内にたまった有害物質を排出し、それによる治療効果を狙ったものです。 もちろん現代ではその医学的根拠は否定されていますが、当時は通常医療の一環として行われていました。 その背景には、病気や身体に対する知識の発展があると言えます。 また、歯の存在が病になるとの理論(というか信念というか)もあり、ベルサイユ宮殿の造営で名高いフランス国王・ルイ14世は全ての歯を抜いたそう。 想

          科学の発展に期待する力

          高校物理教育の「系統性」

          物理学会の会員に毎月配られる学会誌。 2024年2月号の巻頭言は、副会長・橋本省二の「思いは伝わっているか」。 その内容は、日本における高校生の物理離れ(「物理基礎」履修率の低下)を憂えるもの。 2023年9月の年次総会で東京学芸大・新田英雄が発表した数字として、高校科目「物理基礎」を好きと答えた高校生は10%で、体育芸術系まで含めた全教科で最低。 一方「そう思わない」、つまり好きではないと答えた割合は50%を越え、ぶっちぎりの1位。 「どちらかというと(

          高校物理教育の「系統性」

          「鬼」とは?

          その昔(と言っても昭和ね)、NHK「みんなのうた」で人気のあった「赤鬼と青鬼のタンゴ」。 https://www.nhk.or.jp/minna/songs/MIN197712_01/ コワくない鬼たちがコミカルに歌って踊ります。 ホンモノの鬼は、こんなにかわいくはないでしょう。 しかしそもそもホンモノって? 私たち日本人の心の中の「鬼」像は、地域により時代により激変しています。 それらをあまねく探究してやろうという意欲作をここで展開するつもりは毛頭な

          「鬼」とは?

          アインシュタイン来日、その前、その後

          1922年11月17日、アインシュタインは妻・エルザと共に神戸港に。 ここから43日間、日本紀行の始まりです。 翌日には東京へ到着後京都に移動し一泊。 翌日10時間かけて東京へ移動し帝国ホテルに一泊。 翌19日の慶応大学での講演を皮切りに、講演行脚が始まりました。 一般向けの講演は東京で2回(慶応大学・東京基督教青年会会館)、仙台、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の計8回。 それ以外に東京帝国大学物理学教室で研究者・学生向けの講演を計6回行っています。

          アインシュタイン来日、その前、その後

          学士会は疑似科学に手を貸すのか

          学士会は、国立七大学の卒業生・学生・教員からなる合同の同窓団体であり、会員数約5万人の一般社団法人。 その本拠地・学士会館は1928年神田錦町に創建され、国の有形文化財にも登録された由緒ある建築物です。 老朽化と耐震性の問題から2024年いっぱいで一旦営業終了し、全館改修へ。 歴史的価値の高い部分を耐震化・保存しつつ新たなビル建設を行い2029年竣工の予定、だそうです。 歴史を感じさせる現会館、一度目にされてはどうでしょうか。 学士会で大手を振るのは‥この学

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          科学的事実は鉄壁?

          たまに科学者のことを「科学教信者」と揶揄する人に出会います。 科学で「証明」されたことを信じているだけだ、と言いたいのでしょう。 確かに、そう言われても仕方ない人もいるにはいますがね。 「太陽は東から」は証明されたのか?そもそも科学は何ものも「証明」などしない。 例えば明日の朝太陽は間違いなく東から上るでしょう、今までと同じように。 くる日もくる日もくり返されるこの現象について、太古の昔は太陽神が船に乗って地球の周りを周回している、などといった解釈を当ててい

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          古くて新しいマインドコントロール

          私が疑似科学関連の問題に首を突っ込むようになったきっかけの一つが、オウム事件。 オウム真理教は80年代から90年代にかけて、数々の破壊活動を主導し多くの犠牲者を出したカルト宗教団体。 物理学専攻の、私の大学院の同窓生がこれに加担し、他の教団幹部と共に死刑になりました。 マインドコントロールに目が向けられた時代オウム全盛のころの報道。 捜査員や報道陣の前をうろつく、頭にヘッドギアを付けた異様な姿のオウム信者。 教祖・麻原の説法を聞き続けながら畳1枚程度の狭い独房に

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