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ことばと情景

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ねがい

ねがい

まっさおなそらに

しろいひこうきぐもがひとすじ

そらたかくとんでいるあのひこうきは

どこにむかっているのだろう

ねえ、わたしもいっしょにつれていって

どこかわからないとおいばしょに

わたしのこともつれていって。

雨

雨は今も

あなたの下で降り続いているでしょうか

あの日の傘は

あなたを雨から守っているでしょうか

想い出は今も、雨とともに

わたしの中で、いきています。

はるかぜ

はるかぜ

散りゆく桜の花びらは、

そよ風に誘われてダンスを踊る。

柔らかな日差しをたっぷり浴びて、

世界を春色に染め上げる。

枝の上で羽根を休めるツバメは、

そよ風にひととき身をゆだねる。

やがて飛び立つその姿は、

春の訪れを世界に告げる。

はるのかぜが通り抜けたら、

世界は色づき、こころは歌う。

流星

流星

まっくらなへやでほほをつたうなみだは、

ながれぼしのようにきらきらひかる。

こぼれたおもいはやみよにとける。

だれにもいえない、ひみつがにじむ。

あさがきたらきっとまた、

なにもなかったかのようにわらうのでしょう。

ぜんぶぜんぶ、

よるだけがしっているひめごと。

ほしだけがしっている

ほしだけがしっている

ことばにならないおもいは

そっとすくいとって

おほしさまにあずけてしまおう

そしたら ほら

よぞらにきらきらまたたくから

ゆめをみるよる

ゆめをみるよる

とおいきみにてをのばして、

ことばとじかんをわけあって、

いっしょにこえようとするよる。

いつか、からだもこころもきみのとなりで、

いっしょにすごすことができたなら。

そんなひをゆめみながら、

きょうもひとりでねむりにつく。

ほしにねがいを、つきにいのりを。

どうか、きみがみるゆめが、

やさしくてあたたかなものでありますように。

砂の迷宮

砂の迷宮

旅人は砂漠を彷徨い歩く。

生命を潤す水を求めて、

果てなき砂漠を彷徨い歩く。

昼は灼熱の太陽に身を焼かれ、

夜は凍てつく寒さに温もりを奪われ、

それでも砂漠を彷徨い歩く。

やがて旅人は幻を見る、

生命の泉の幻を見る。

近寄った先には何もなく、

それでもそこに倒れ込む。

気づいた時には時すでに遅く、

旅人は意識を奪われる。

どうして迷い込んでしまったのか、

どこまで歩けば果

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薄紅に願う

薄紅に願う

薄紅の花に、君を想う。

君の日々が、

花びらが舞うようなものでありますように、と。

舞い散る花びらに、願いを込める。

君のこころに、

春風が吹きますように、と。

よるのうた

よるのうた

会いにいこう、君に。

夜を越えて、どこまでも。

会いにいこう、君に。

たくさんの話したいことを持って。

そうして、夜明けが朝を連れてきたら、

夜を待ってまた会いにいこう。

そうして、夜をいくつも重ねて、

ずっとずっと、繋がっていよう。

【#第二回絵から小説】冬を弔う

【#第二回絵から小説】冬を弔う

はらはら、はらはら、花吹雪。

冬亡き世界に、花びらが舞う。

はらはら、はらはら、花吹雪。

こどもたちは、冬を弔う。

二度と降らぬ雪を希い、澄んだ冷たさに思いを馳せる。

はらはら、はらはら、花吹雪。

降り積もった花弁は、冬の墓標。

いつまでも忘れぬよう、あなたを永遠に想いましょう。

***

清世さんの「第二回『絵から小説』」に参加させて頂きました……!

最近小説が思うように書けな

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水底で眠る

水底で眠る

沈んでいく。深い海の底へ。

沈んでいく。光の届かない水底へ。

待ち受ける暗闇は永遠の安寧。

少女は、海に包まれて眠り続ける。

そしていつしか、ひとつになって、

生命が巡るこの惑星に還る。 

いつかまた会う、その日まで。

少女は深い眠りに落ちる。