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台所短歌

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台所から生まれた31文字
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記事一覧

「楓やな」青葉紅葉に告げてまた舗道こつこつ鳴かせ行くひと

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たまには地面以外も見て歩いてくれと思いつつ掛けた言葉への母の返事。まぁ、「綺麗やなぁ」と杖を支えにしばし眺めてたのでヨシとする。

苧環
2日前
20

ひとつずつ忘れたふりを繰り返し手放しゆかん君への仕え

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仕えてるつもりなんか毛頭ないし対等だと思ってはいるけど、「いつまで母さんに甘えてるん?」と成人した子にも言われてたことだし。今のバタバタに紛れて些細なモノから忘れて(笑)いこう。

苧環
8日前
17

朝陽さえ越えれぬ雲を眺めつつ右手に掴む赤いヘアゴム

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明るくなってはいくけれど厚い雲は染まらなかった。今日は伸び切ったグレーではなくて避けてきた赤いヘアゴムを使おうと思う。頸辺りにちょんとある真紅になんてきっと誰も気にしないから。

苧環
8日前
16

力むのはやめにしようと手に入れた手付き脚立と電動ドリル

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年に何回使う?と見送ってきたモノを今回やっと手元に。業者の若さに驚きつつ我が身の立ち位置を少し理解。小さな無理が効かなくなって大きな怪我を招くんだと同居人にこんこんと。未使用の3段の脚立が鎮座する生活もいいものだ

苧環
13日前
18

ササクレた髪爪肌に手を掛ける朝陽がのぼるこの街のもと

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朝焼けが見え風が入り陽が入る新居。それだけで身体の中が潤う。すぐにネットが繋がらなかったのが良かったのかもしれない。リベンジをしようと手に入れたブライダルベールも順調に毎日花を咲かせてくれてる。今年は株分けしたいな

苧環
2週間前
20

衝撃と不安を君から遠ざける低反発の塊か我

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安心したくて脅かす要素をひとつでも取り除きたいのも自分。誰かのためにじゃなくてこれだけやったという確かなものが欲しいだけ。最悪を想定して落ち込むのも大したことないと言い聞かせるのもどちらも自分。いつも振り子のように揺れながら。

苧環
1か月前
16

こだわりと呼ぶほどでもない居心地の良さを静かに拾い集めて **** 物への執着はない方だと思ってる。今手に入るもので使用に耐えればと物選びにもあまりこだわりがなかった。これを少し変えてみようかと思う。目と手の心地良さの方へ手を伸ばしていきたいなと。勿論お財布が許す範囲でだけど。

何事もなくあるようにするために小さな楔を打ちつつ進む

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母の通院日確保のためにあちこち連絡して私の予定を動かす。昨日言ってくれてたら今日動いてれば のタラレバはそれこそ今更。GWを控えての念の為なんだからと私自身に言い聞かせるけど、彼女の大丈夫をどこまで信じればいいのか

苧環
1か月前
17

髪間からのんびり降りてくる汗が頑張ってるねの声に聞こえて

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頭に汗をかくのはほんとに久しぶり。こめかみや首筋を伝ってくるまで気づかなかったことにも我ながら驚き。
一仕事終えお陽さまが高いうちに浴びるシャワーに得も言われぬ充実感。

苧環
1か月前
19

この目には見えないはずの君たちは空を霞ませ喉に居座る

偏った西よりの風に乗る君が問答無用で同居してくる

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この時期の舌や喉の違和感は黄砂のせいだったとやっと気付いた。歯磨きやうがいをしてもずっと舌の上に残るなにか。洗濯物は部屋干しにしたけど息をしないわけにはいかなくて

苧環
1か月前
14

今日の日を色差すものを掴まえるために躯体の箍を緩めて

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日常に色を差すって言葉を拾った。耳からか目からか、それすら忘れてしまったけど、好きだなと思った。洋服に差し色なんて高度なことは出来ないから、心の中に気持ちの中に小さな差し色を毎日ひとつでも見つけられたらいいなって。

苧環
1か月前
12

真ん中に緑の坊やがちらと見え あらヤマボウシ いえハナミズキ

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もうヤマボウシが咲いてる!と買い出しからウキウキ帰宅したら、どうもあれはハナミズキのよう。自転車に乗ってたせいにしておくつもりだったけど、どうやら毎年間違えてる可能性が出て来た。今度ちゃんと立ち止まってみる

苧環
1か月前
14

しなだれる雪柳の白ちらちらと春と夏とを行きつ戻りつ

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25度以上が夏日なら夏は始まりつつあるのかもしれなくて、春だ春だと騒いでいるのは自力で季節を生き切れないヒトだけかもしれない。しな垂れて弓なりになったユキヤナギやエニシダの白や黄色の波を掻き分け掻き分けまた歩きたい。

苧環
1か月前
11

前提はあくまで綺麗に崩すこと転居荷造り虚しいパズル ウタマロで過去のアタシを拭っても今のアタシも明日には過去 **** 場所に使用頻度を考えて日常に遠いモノから箱詰め。すんなり箱に収まってくれればいいけど、なかなかそうはいかない。荷解き時に過去の自分を褒めてやれるように頑張る