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押しかけ女房としてのドキンちゃん

ドキンちゃんを形容する言葉として「押しかけ女房」よりも適切なものはありません。押しかけ女房とは、相手の合意を得ずに、女性が一方的に男性の家に押しかける様子を形容した言葉です。日本の民話では「鶴の恩返し」などが該当します。ドキンちゃんは、何の前触れもなく、ばいきんまんが住むバイキン城にやってきました。ばいきんまんはさぞ驚いたことでしょう。ドッキリちゃんですね。 押しかけ女房(と呼ばれる行為)の原因や形態は様々であるため、十把一絡げにして考えることはできません。余談ですが、私は

    • ロールパンナは「最後のパン」

      ロールパンナは、ジャムおじさんが最後に作ったパンです。メロンパンナが「お姉ちゃんがほしい。もしくは、パン工場の権利書がほしい」と言ったので、ジャムおじさんが老骨に鞭打って最後のパンを作ったのです。お疲れ様でございます。ジャムおじさんにとって、自身の職場であり住居でもあるパン工場は命の次に大事なものです。それを守るためならば、人面パンを作ることなんて朝飯前です。朝食は焼きたてパンが良いですよね~。 しかしながら、ジャムおじさんの心持ちはどのようなものだったのでしょうか。「新し

      • ジャムおじさんは「ふつうの人間」ではない

        アンパンマンの原作では、ジャムおじさんは「妖精に近い存在」として描かれています。その一方で、テレビ版では「ふつうの人間」として描かれています。しかしながら、ジャムおじさんほど「ふつう」から乖離した人間はそうそういません。彼は、料理、機械、絵画などの様々な分野で特異な才能を発揮しています。「ふつう」どころか「極めて特別」な存在です。「芝居が苦手」という取って付けたような欠点もありますが、これは「演技ができない実直な性格」と言い換えることもできます。私達は、ジャムおじさんの手のひ

        • バタコの心は美しい

          アンパンマンの世界では、バタコ(敬称略)は「最も心の美しい女性」と言われています。バタコが自画自賛しているわけではありません。ばいきんまんが拾った「魔法の鏡」がそのように語ったのです。ただ、バタコが魔法の鏡を脅してそのように言わせたという可能性も捨てきれません。「アタイがこの世界で最も心が美しいって言いなさない。さもないと、鏡を砕いて庭に埋めるわよ」と魔法の鏡を脅迫するバタコの姿を容易に想像できます。イメージというものは、その人の日頃の行いによって形作られるのです。 初期の

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          チーズは言葉を話すことができる

          チーズに対して「言葉を話すことができない犬畜生」というイメージを持っている人は少なくありません。しかしながら、実のところ、チーズは言葉を話すことができます。言葉を話すことができるのですが、その必要性がないので話さないだけなのです。まさに「能ある鷹は爪を隠す」ですね。「いやいや、チーズが隠すのは財産だけでしょ」という意見もあるかもしれません。肯定も否定もできないので何とも言えませんね。チーズの生態は謎に包まれたままです。 チーズは「ただの飼い犬」ではありません。「ジャムおじさ

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          ゲームのキャラクターの名前を決めるのは難しい

          最近、メガテン3(真・女神転生III-NOCTURNE)をプレイしました。このゲームは戦闘がとにかく面白いです。パーティは4人編成なのですが、たとえ主人公以外の3人(3匹)が生きていたとしても、主人公が死んでしまったら即ゲームオーバーというシビアなゲームなのです。プレイ中は一時たりとも気が抜けません。氷川(メガテン3に登場する頭が特徴的なキャラクター)は毛が抜けていますがね。明日は我が身! メガテン3では、コマンドを入力する前に、即死攻撃を受けてゲームオーバーになることもよ

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          多重人格者としてのロールパンナ

          ロールパンナは、善悪両方の心を持つ多重人格者です。多重人格者といえば『幽遊白書』の仙水忍を連想する人も多いでしょう。かくいう私もそうです。多重債務者や多重影分身という言葉を見聞きする度に、仙水の額にあるホクロが目に浮かんでしまうのです。「俺の姿が目に浮かぶのが嫌ならば、お前の命を奪って水に浮かべてやろう」と仙水に凄まれたら、自転車に乗って全速力で逃げるしかありません。中野浩一か。 ロールパンナは二重人格者ですが、仙水はなんと七重人格者です。七重人格と言われても、あまりにも多

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          どんぶりまんトリオはエリート

          どんぶりまんトリオ(てんどんまん、カツドンマン、かまめしどん)は、丼物の三人組です。冴えない風貌をしていますが、彼らはたくさんの丼の中から選ばれたエリートなのです。言うなれば「エリーどん」ですね。彼らは当初、ただの端役に過ぎませんでした。ですが、不思議な力学が働いて準レギュラーに昇格したのです。もちろん、この程度で満足する彼らではありません。レギュラーの座を虎視眈々と丼の蓋を開けながら狙っているのです。わんこそばのようにお椀に蓋をして終了させましょう。 どんぶりまんトリオの

          どんぶりまんトリオはエリート

          てんどんまんは狂人

          「てんてんどんどん てんどんどん♪」と歌いながら、自身の頭の丼のふちを箸で叩く狂人がてんどんまんです。人間にたとえるならば「にんにんげんげん にんげんげん♪」と歌いながら、自身の側頭部のモミアゲを引っこ抜くようなものです。なんともおぞましい。まるで地獄のような光景です。巷間言われているように、地獄への道はモミアゲで舗装されていのです。なお舗装工事の見通しは立っていません。 てんどんまんの一人称は「アタシ」であり、語尾には「ザンス」を付けて話します。言うなれば、オネエとイヤミ

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          カツドンマンがサノスじゃなくて本当に良かった

          カツドンマンは、どんぶりまんトリオの構成員です。「黒豚お肉をパン粉で包み~♪」というたわけた歌を口ずさみつつ指パッチンをしながら登場します。指パッチンといえば『アベンジャーズ』のサノスを連想する人もいるでしょう。この映画では、サノスが指パッチンをすると、全宇宙の生命体の半分が消え失せるというシーンがあります。げに恐ろしや。カツドンマンがサノスじゃなくて本当に良かったですね。 その名の通り、カツドンマンの頭の中身はカツ丼です。てんどんまんと同様に、ばいきんまんにしょっちゅう中

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          かまめしどんは最後の良心

          かまめしどんは、どんぶりまんトリオの最後の良心です。他の2丼と同様に「かまかまどんどんかまどんどん」と歌いながら登場します。「かまかま」ときたら「かまかみりあーん♪」と歌いたくなる人もいるでしょう(カルチャー・クラブの『カーマは気まぐれ』)。かまめしどんも本当は「かまかみりあーん♪」と歌いたかったはずです。しかしながら、アンパンマンの世界観にそぐわないことや著作権で各団体ともめることなどを危惧して、歌いたい衝動をぐっと堪えたのです。まことに堅固な決心ですね。金属製の本領発揮で

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          如実な気配

          如実な気配は、どのような人物にも斟酌しない。心得のある人物であろうが、心根の腐った人物であろうが、皆等しくその背後にまとわりつく。ただ、まとわりつくといっても「ピタリ」という具合に接近するわけではない。如実な気配にしても、一定の距離を保つだけの分別は持ち合わせている。どのような事実であれ、率先して開陳する必要性は全くない。所詮、自分だけがわかっていれば良いことだ。 如実な気配が最も忌み嫌うのは「大それた事象」である。さざ波のような穏やかな日常を希求する如実な気配にとって、大

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          弟ポジションを積極的に引き受けるクリームパンダ

          クリームパンダは、最後に登場したパン工場関連のキャラクタ―です。言うなれば「末っ子」ですね。そのためか、メロンパンナやロールパンナのことを「お姉ちゃん」と呼んでいます。メロンパンナは満更でもなさそうですが、ロールパンナは露骨に嫌そうな表情を浮かべています。自身の感情をそのまま表情に出すのは善なのか悪なのか。ライトサイドとダークサイドの狭間で揺れ動くロールパンナの姿は、アナキン・スカイウォーカーを彷彿とさせます。 クリームパンダはその名の通り、クリームパンを模した姿をしていま

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          石のような男

          石のように微動だにしない男がそこにいた。その男は、よほど久しく長らくの間、その場所を動いていない。なぜそのことがわかるのか。それは私が根気強くその男に視線を向け続けたからに他ならない。私は、所持している時間の最大限をその男の観察に費やしてきたのだ。もちろん、私の行動それ自体に賛辞を贈る者など誰一人としていない。私は賛意も称揚も礼賛も求めていない。ただ一つ「自らの意思によって策定した視点の固定」のみを求めていた。その求めに応じることは容易ではないが、やってできないことはない。希

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          はみがきまんは名医

          はみがきまんは、アンパンマンの世界では数少ない医者(歯医者)の1人です。身体は歯磨き粉を模したチューブ状になっていて、上部と下部がピンク色になっています。歯磨き粉というよりも絵具に似ていますが、それはまぁいいでしょう。絵具を使って歯を磨く姿を想像して下さい。それはあまりにも悲しい光景です。ポケットモンスターの世界だったら「こういうものには つかいどきが あるのじゃ!」とオーキド博士に叱られるでしょう。持つべきものは有名ジジイですね。 はみがきまんのトレードマークは「大きくて

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          肩の膨らみ

          「火中の栗を拾うのですよ」 左の肩から、唐突に声がした。半醒半睡の状態にいた私の耳に、その声は遠雷のようにじんわりと響いた。重たい瞼をこじ開けて左肩を凝視してみると、中央の部分がうっすらと膨らんでいた。声の主は、どうやらその部分に潜んでいるらしい。私は何の迷いもなく、その部分を手元にあった短刀で切り落とした。切除するにあたっては、何の迷いもなかった。ただ私の意識が「その膨らみは災厄をもたらす」と告げたのである。私は、自らの意識の忠告に従ったまでだ。 切り落とされた膨らみは、

          肩の膨らみ