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ポスト石油通信

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ポスト石油戦略研究所のニュースレターで紹介された記事 https://www.postoil.jp/
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記事一覧

予測とシナリオの違いの重要性について(NHK「視点・論点」出演補足その2)

予測とシナリオの違いの重要性について(NHK「視点・論点」出演補足その2)

(その1からの続き)

IEAの報告書の主張が「予測」ではなく「シナリオ」であるという、一見どうでもよさそうなことに強くこだわったことには理由があります。

まず、事実として間違っているということがあります。番組でも述べたように、報告書内では「予測」という言葉は使っていませんし、はっきりと「予測ではない」と書かれているのにも関わらず、日本を含む一般的なメディアでは報告書の内容を「予測」として紹介し

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IEAのシナリオの変遷(NHK「視点・論点」出演補足その1)

IEAのシナリオの変遷(NHK「視点・論点」出演補足その1)

2023年12月11日、NHK Eテレで午後0:50から放送の「視点・論点」という番組に「エネルギー戦略大転換 ポスト石油時代をどう生き抜くか」というテーマで出演させて頂きました。出演は約10分間で、その中で一般の方々向けにできるだけわかりやすくお話ししたつもりですが、かなり端折ってしまったところもあるので、この場で補足させて頂こうと思います。

冒頭、

とお話ししました。昨今のエネルギー問題や

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ガイアナが世界一裕福な国に

ガイアナが世界一裕福な国に

人口80万人ほどの南米の小国が、今世界で最も急成長し、世界で最も裕福な国になりつつあるという。

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我々はなぜ脱炭素しなければならないのか?

我々はなぜ脱炭素しなければならないのか?

数日前にTwitterで以下の様なアンケートをとりました。

我々はなぜ脱炭素しなければならないのか?

1. 地球・人類のため
2. 日本の責任だから
3. 日本経済のため
4. 実は脱炭素すべきではない

結果は以下のリンク先の様になりました。せひご覧になる前に一度考えてみてください。

私のTwitterフォロワーというバイアスはあるとはいえ、中々興味深い結果になったのではと思います。5

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サウジ石油の人民元決済は実現するか?

サウジ石油の人民元決済は実現するか?

中国の習近平国家主席は2022年12月9日、訪問先のサウジアラビアの首都リヤドで湾岸協力会議(GCC)首脳やアラブ諸国首脳との会議に出席し、「石油や天然ガス貿易の人民元決済を展開したい」と述べ、中国がエネルギーを輸入する際に人民元建ての取引を広げたいとの意欲を表明した。

中国が中東産油国との間で石油等の人民元決済について協議するのは今回が初めてではない。例えば、サウジアラビアのムハンマド・ビン・

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ロシア原油輸入禁止の余波としての輸送問題と米シェールオイル生産の停滞

ロシア原油輸入禁止の余波としての輸送問題と米シェールオイル生産の停滞

4月14日、ニューヨークタイムズ紙はEU当局がロシア産原油の輸入を禁止する計画の草案策定に着手したと報じた。記事によると、輸出禁止は8月から段階的に行なわれるという。このようなやや緩慢なアプローチが検討されているのは、拙速な輸入禁止に慎重な、ロシア依存度の高いドイツやハンガリーといった国々に配慮し、代替供給先を見つけるための猶予期間を確保するためと考えられている。また、当局筋の話として、フランスの

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過小評価される石油会社

過小評価される石油会社

米国の石油ガス探査・生産関連の指標の一つとされるXOP(ETF)は、米国の原油価格指標WTIの年間上昇率58%を上回る、62%の上昇を記録し、2021年の市場の勝者の1つとなった。

しかし、それでもコロナ直前の水準にようやく戻った程度で、従来の原油価格とXOPの関係からすると、いまだに相当安い水準に留まっている。例えば、2018年1月の原油価格は、現在の100ドルより40ドル安い60ドル/バレル

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ブルー水素は天然ガスより環境に悪いか?

ブルー水素は天然ガスより環境に悪いか?

8月16日、英国水素燃料電池協会議長のクリス・ジャクソン氏が自身のLinkedInでの投稿で突然の辞任を発表した。投稿は英国政府が「水素戦略」を発表する数時間前であり、ジャクソン氏はこの政策の内容に同意することができず、辞任を決断したという。

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総裁選候補者のエネルギー政策のまとめとコメント

まだ告示前ですが、現時点で岸田氏、高市氏、河野氏の3名が自民党総裁選の候補者として正式に名乗り出ていて、様々なところからこれら候補者のエネルギー政策について論評して欲しいとの声を頂いていますので、限られた情報の中ではありますが、可能な範囲で書いてみたいと思います。

(申し訳ないですが今回は諸般の事情で有料とさせて頂きます。現時点での3者のエネルギー政策を網羅的に取り上げた上で、他では読めない内容

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